楽園のカンヴァス(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「暗幕のゲルニカ」を読んで、原田マハさんがお気に入りの作家のひとりになりました。この作品も期待に違わず、大変面白い小説でした。

    生前は全く認められなかった素朴派の画家、アンリ・ルソーの大作「夢」。それと同じ構図の「夢をみた」の真偽をめぐり、2人のキュレーターの一騎打ちが描かれます。舞台はルソーの生きていた20世紀初頭のパリ、1983年のバーゼル、そして2000年の倉敷。作家の生きていた過去と、主人公の活躍する現在が交差します。この構成は、「暗幕のゲルニカ」と同じですが、これにより読者は主人公だけでなく、ルソーの感情、考えにも触れることができます。

    本の終盤に「なんか … …生きてる 、って感じ 」というセリフが出てきます。何でもない言葉ですが、本はその言葉に重みを与えています。

    おススメの★★★★★。
    なお、本に登場する絵画を知って読んだ方が楽しめます。
    https://matome.naver.jp/m/odai/2135955626248173201

  • なんとか読んだけど、つまらなかった…。早くおしまいまでたどり着きたい…という思いばかり。ちょっと話や書き方が、古臭いのかもしれない。

    「永遠を生きる」とか、芸術作品について情熱的に語られてるけど、わざとらしい感じがして、のめりこめなかった。残念。

  • ていねいに作り込まれた作品。
    著者の小説は、何故か最初は反発を感じるが、読み進めるうちに楽しく、心に響くものが多い。

  • 付き合いで美術館や博物館に出かけることはあるものの、特に好きな画家や作家があるわけでもなく、興味のある時代も国もなく、絵画に関しては全く白紙に近い状態で読み始めた。
    インターネットで、「原田マハ著『楽園のカンヴァス』に登場する絵画のまとめ」というページを見つけ、実物の絵画も目にした。

    織江の研究者としての才能と、母親として、また娘としての一面。
    自身のボスに届いたであろうと思っている招待状を持って出かけるティム。
    ドキドキハラハラしながら、また、疑心暗鬼になったり信じて救われたりしながら、楽しくグイグイ読み進むことができた。

    原田マハさんの本、好きだなあと改めて思った。

  • 美術ミステリーというジャンル。ルソーの名前は知っていたが作品までは分からなかった。興味が湧きピカソ、ルソーの作品を知ることができた。

    ストーリーはモネの絵の真贋をめぐり、ルソーに魅せられた二人、早川織絵とティム・ブラウンが講評を競い合う。条件はコンラート・バイラーという謎のコレクターの屋敷よばれ、ピカソとルソーの手記、史実を読み解く。という美術ミステリー。

    目次には年号がふってあり、第1章2000年では少し反抗期の娘、17歳の真絵が出てくる。そして、一介の美術館の監視員である織絵の過去がルソー研究の第一人者であったことがわかる。

    導入部分が上手く、次なる展開に興味をそそられた。目次の年号は意識付けしたほうがこの本は楽しめると思う。

    反抗期な娘、真絵がキーパーソンだが、次はいつ出てくるのかと期待しながら読み進めた。次に真絵のセリフが出てくるのは最終章、母、織絵との会話が心を和ませる。アートなど興味無い振りをして、わざと、とぼける真絵を愛おしく思ったり、自分と同じモダン・アートに魅せられた感性を持っていることに気づき心を動かされたり。

    真絵は1983年の過去の章ではお腹の子として登場して織絵と一緒に火花を散らしていた。

    美術ミステリーというジャンルで美術業界の情熱とその裏にある利権、巨額な金が動く、ダークな面を知ることができるだけでなく、母と娘の物語でもあり、織絵の研究者としての頑固さ劇しさと母として愛情持った優しさ強さの対比が、心に訴えるものがある。

  • 大学の専攻で美術には触れてきた方だけど、ルソーの絵については全く知らなかったから、読みながらに勉強になった。どんどんと読みすすめてしまうほど、面白かった。

  • 人生で何かに情熱を傾け
    出産や子育てと引き換えにそっと
    「パンドラの箱」に仕舞う女性は実は多いのではないかと思う。
    その箱を開ける時に繰り広げられる物語が 今 結びつく時に
    とても美しい楽園のカンヴァスが広がる
    素敵な本です。

  • 長らく積読だったのを発掘。読み勧めたら展開が予想外すぎてグイグイひっぱられたし、アンリ・ルソーに興味が湧いてきた。複雑に絡んだいろんな事象も、最後には綺麗に解けてラストはとても希望に満ちたものだった。
    この作品を読んで、美術館(特に大原美術館)へ行きたくなった。

  • MoMAに行って夢を見てみたい

  • 家にあった本で、強いご縁があって読み始めた。
    今年入って本を読み始めた中で最速で読み終わった。
    魅惑的な世界観にいとも簡単に惹きこまれた。

    passion, love, energy.
    物語に出てくる作品から登場人物たちが感じたのを、私は彼らからも強く感じた。

    しばらく余韻にひたってしまわざるおえない、「冒険」に私も一緒に行けた

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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