楽園のカンヴァス(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 芸術に疎く美術鑑賞の仕方も分からないような私だが、本の力を借りて(主人公の眼を借りて)、美術作品に関わる人生を覗いてみたいと思い、本書を手に取った。
    知識、深い洞察、ルソーへの愛に溢れた作品だったが、自分の知識不足から「どこまでが史実でどこからがフィクションなのか」を常に気にしてしまい、勿体ない読み方をしてしまった。
    しかし、本はそれまで知らなかった場所に連れて行ってくれる。自分にとっての「友だち」を見つけに、美術館に行きたくなった。

  • 今回は絵画のミステリー的ストーリー!
    まさかあそこから回想シーンとは!ラストもしっかりとした内容で絵画に縁がなかった人でも絶対に絵画にハマる。原田先生の絵画小説これからも読みたい!

  • アンリ・ルソーの「夢」をめぐる物語。
    隠された作品「夢を見た」。
    それは、本物か贋作か。

    階段を1歩1歩降りていくような、少しずつ、少しずつ真実に近づいていく感じの美術ミステリー。

    どこまでが本当で、どこまでがフィクションか。
    その境目がわからなくなる感じが、引き込まれます。

    初めての原田マハさん。
    聞いていた通りすごくよかったです。
    美術館に行きたくなります。
    物語の温度感も淡々とした感じで、落ち着いて読めるのもすごく好きです。
    この方の他の作品も読みたくなりました。

  • 美術が好きなのに、美術の世界から遠のいていた。
    知らない画家のこと、ピカソの絵もまた観たくなった。

  • 恥ずかしながらルソーという人物について全く知らなかったのだが、この本を読むにつれて人を魅惑させるルソーの絵にすごく興味を持ってしまった。
    読了後、いろんなルソーの絵を検索してしまうくらい。
    全く知らない分野でも興味を持たせてくれる不思議な力がある原田ワールドにどっぷり浸かれて良かった。

  • この本を読むまでルソーのことを知らず、先入観に囚われないよう作品をみる(検索)ことをせずに一気に読んだ。
    知識がないが故、私の想像する「夢」もとい「夢をみた」はもっと写実的なものを想像してしまったが、実際の「夢」をみて答え合わせできたのも醍醐味だと感じた。
    この本にも、そして作中の物語「夢をみた」にもぐんぐん引き込まれ、読書の持つパワーに圧倒された。今まで読んだどの本よりも強い力を感じた。
    読後感は決して悪いわけではないが、また1章から読み返したくなるような、そんなお話だった。

  • 友人に勧められた本。
    美術に造詣があるわけではないが、美術作品を題材にした小説はなぜかテンションが上がる。美への欲求的な感情は、僕みたいな人間にも少しはあるのだろうか。

    この作品を読むまでルソーという画家のことを知らないほどバックグラウンドはなかったが、非常に楽しく読めた。読後感が非常にさわやかで、読み終わるのが少し切なかった。いい小説の証。

    最近、情熱を傾けて作られたものや行動に、ひどく胸を打たれるようになった。年かもしれない。ルソーに限らず美術作品は作り手の情熱を感じられるからこそ、人の胸を打つのだろう。絵の裏側に潜む作り手の情熱を感じさせてくれる小説だった。

  • 原田さんの小説は初めて読んだけれど、ルソーのことが事細かく、そしてそれに関する美術への知識量が圧倒的で凄かった。内容も文句なしに面白く、ラストまでぐいぐいと読み進めてしまった。あのあと再会した二人はどうなったのだろう。

  • 読み終わってから、数分間、動けなかった、本当に。
    ニューヨーク近代美術館のアシスタントキュレーター、ティム・ブラウン宛に、1通の手紙が届く。未だ世に出ぬアンリ・ルソーの作品の真贋調査の依頼だった。それはボスのトムブラウン宛に届いたものに違いなかったが、ティムは、トムになりすまし、バーゼルへ向かう。迷いはなかった。そこにはティムだけでなく、織絵ー日本のルソー研究者も招かれていた。通された部屋には、ルソーの作品、『夢』に酷似した作品があった。ティムはそれを人目見た瞬間に、真作だと思った。『夢をみた』ー5日間、1日1章ずつ、〝ある物語”を読み、真贋を見極める。5日後、優れた講評をした者に、この絵『夢をみた』の一切の取り扱い権限を与える。この絵の所有者バイラーはルソーとその女神ヤドヴィガが永遠になることを願っていた。ルソーへの愛と崇拝心、人間の欲、純粋な恋心、ルソーの情熱、そして研究者の情熱。自分も夢をみているような、そんな不思議な体験をした。5回かそのくらい鳥肌が身体中を襲うことがあった。『夢』をみたい。

  • NY旅行のために読んだ。謎解きを楽しんで読んだ。美術館のキュレーターの仕事に興味を持った、MoMAに行くのが楽しみになりそう。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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