1973年のピンボール (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • うーん、私には難しい…。
    僕?鼠?前にも読んだことある?って思ったら、鼠三部作の二作目なのね…。

    村上さんはメタファーをよく用いられますが、私がアホすぎて想像できないというか、ピンとも来ない…。

    読む順番もバラバラでしたが、順番通り読んでもわからない自信がある…。

    いつのまにか村上作品も29冊を重ね、たくさん読みましたが、インタビューや旅行記の方が好きで、小説は私のマインドとは合わないなぁ。

    ホント、好きな方申し訳ありません。

  • この作品について感想を書くのは難しい。

    文章自体は平易で読みやすいが、あらすじを説明してみろと言われるとなかなか容易ではない。
    それは物語が25の細かい章に分かれていて.時系列はバラバラで「僕」と「鼠」の2人の視点から書かれているからだ。
    簡単な説明をするとピンボールのように繰り返される自問自答の末の決別の話ではあるのだが、実際はこの作品だけを読んで完結する話ではない。

    色々な作品が相互に関わりあってできる重層的な奥深さを感じ、まだ村上春樹を2作品しか読んでいない自分には安易に感想を述べることが出来ない。とにかく早く長編全ての作品(特にノルウェイの森まで)を読みたい。

  • ドーナッツとコーヒーとタバコとビール。

    20代の頃、繰り返し繰り返し、それこそ講談社文庫のカバーが擦り切れて破れてボロボロになる程読んだ。

    文体を模倣して、その頃の、村上節にかぶれてしまった若者たち同様、自分でも大学ノートにボールペンでせっせと文字を繋げていった記憶が。

    それから数十年して再び読み返してみると、もちろん二十代の頃とは受け取り方が違うものの、心の隅がちくりと痛むノスタルジーと共に懐かしい思いが蘇った。

    初めて買ったThe Beatlesの「ラバー・ソウル」もうどこにいったかわからなくなってしまったが、令和の今はamazon musicですぐ聴くことが出来る。同様にスタンゲッツもバニー・ベリガンも。
    すごい時代になったもんだ。あの頃は想像もできなかったな。

  • 感想を書くのがなかなか難しいな、という本。
    主人公は双子の女の子と暮らし、翻訳業を営む。
    タイトルにあるピンボールは本作では過去の栄光のような。主人公はそれを”彼女”と呼ぶ。
    配電盤にここまで敬意が払われた文学先品はないかもね。

    金持ちを否定する金持ちの息子・鼠は前作「風の歌を聴け」と同じように変わらずジェイズバーでビールを飲んでいる。本作の最後では、モラトリアムからの卒業を示唆させる。

    多分、二週間もすれば全然ストーリーを思い出せなくなる話。
    そのうちまた読み返さないと

  • 三部作の中で一番地味な印象だけれど、好きな文章がたくさん出てくる。


  • 青春小説だと思います。
    やるせない悲しみや逃げられない辛さに直面した鼠と主人公、二人を描いています。
    彼女に何も伝えず苦しみ抜いて街を出る鼠。何も生み出さないピンボールに多くの時間を費やした主人公。
    二人が具体的に何に苦しみ、悲しでいたのかは書かれません。おそらくそんな必要はないのでしょう。
    ただ美しい情景描写、印象的な会話、いくつかの感情表現が話を綴ります。

    ーこの土地には雪こそほとんど降らなかったが、そのかわりにおそろしく冷たい雨が降った。雨は土地に踏み入り、土地を湿っぽい冷やかさで被った。そして地底を甘味のある地下水で満たしたー


    ー時折、幾つかの小さな感情の波が思いだしたように彼の心に打ち寄せた。そんな時には鼠は目を閉じ、心をしっかりと閉ざし、波の去るのをじっと待った、
    夕暮れ前の僅かな薄い闇のひとときだ。波が去った後には、まるで何一つ起こらなかったかのように、再びいつものささやかな平穏が彼を訪れたー


    ーねえ、誰が言ったよ。
    ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲めってね。
    鼠はジェイに向かって微笑み、ドアを開け、階段を上る。街灯が人影のない通りを明るく照らし出している。鼠はガードレールに腰を下ろし、空を見上げる。そしていったい、どれだけの水を飲めば足りるのか、と思うー


    ー僕は一人同じ道を戻り、秋の光が溢れる部屋の中で双子の残していった「ラバーソウル」を聴き、コーヒーを立てた。そして1日、窓の外を通り過ぎていく十一月の日曜日を眺めた。何もかもが透き通ってしまいそうなほどの十一月の静かな日曜日だったー


    何ももう苦しまなくていいんだ。全て過ぎ去ったことなんだ。全ては追憶なんだ。
    そんな安らぎを読者に与えてくれる稀有な作品だとおもいます。
    村上春樹の小説の中で1番好きな作品です。

    あなたにとってのピンボールはなんですか?

  • ノルウェイの森の直子の種が撒かれていて、ただただすごいなと思った。解釈は別れるところだろうけど、配電盤の葬式や、ピンボール台との再会は、どうしても直子の影を感じてしまう、、
    鼠はどうなったんだろう、羊をめぐる冒険も読まなきゃです。

  • いつもの村上春樹さんの独特なペースがあるけど、ちょっと暗いかんじ?
    ジェイさんは好きなキャラ。
    人のことをよく見ていて、かけるべき言葉をかけているところがいい。
    ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲め。

  •  この作品は村上春樹のデビュー作である「風の歌を聴け」に続く、三部作のうちの第二弾であり、第一弾に登場した「僕」と「鼠」がこの作品にも登場する。

     この第二弾がタイトルでも分かるとおり、1973年を背景として、「僕」と「鼠」のそれぞれの視点から話が進んでいく。

     学生時代にハマったピンボールは、貴重な時間と引き換えに数字で表されるプライドしか与えてくれない。それでも社会人になった時に思い出されるのはそういうたわいもない時間で、取り戻そうと動いてしまうのもなのか「僕」の行動を見て感じた。
     
     第一弾で本を読むのが嫌いだった「鼠」が小説家として働いているのがなんというかよかった。
     ただ大学生活のことを社会人になってから振り返るということがまだできない年であるからか、前作に比べて感じることが少ないように感じた。
     

  • 前作、風の歌を聴けの続編。同じ雰囲気が心地よい。
    2018.10.15

    双子の存在が雰囲気を幾分ユニークに暖かくする

    2022.3.18

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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