1973年のピンボール (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • かなり淡々としている。
    村上春樹の他の作品に比べて
    火星の風のメタファーがわからない
    ファンタジー要素がなくて、僕の身に起こったことだけが描かれるのが心地いい
    たまに入り込むラジオ番組、デレク◦ハードフィールド。
    鼠の小説には優れた点がある。セックスシーンがないこと。それが優れているならなんで村上春樹セックスのことばかり書くのか。書かずとも書きたいことを表せる、という点が優れている。ということか。

    ゴロワーズという煙草を吸ったことがあるかい

  • 青春と孤独をテーマにした作品。登場人物の内面描写が深く、懐かしい雰囲気が漂う物語は、読者を引き込む。特に、ピンボールの描写は独特で、青年の心情とリンクしているように感じさせる。時間が経っても色あせない魅力がある。

  • 双子の姉妹との不思議な日常とお気に入りのピンボール探し、ジェイズ•バーと突堤の灯台の近くに住む彼女との日常を淡々と語るだけなので、何が面白いのかよく理解が出来なかった。双子の姉妹はピンボールのフリッパーのメタファー?鼠はなんで彼女と別れて旅に出るのか?羊の冒険を読めば分かるのか?しかし純文学の読み方がわからないせいか、イマイチ理解出来ないのて読むかどうか迷う。

  • (図書館)

    鼠シリーズにおいても2作目。
    大学を出て社会人になった僕(24歳)と鼠の物語が交互に語られる。

    ルーティンで働く僕は僕でこんな人生でいいのか悩み、大学中退以降社会からドロップアウトしたままで25になった鼠も同じように感じている。

    大学生の頃に夢中になったピンボール台に急に会いたくなる、というのがタイトルのエピソードである。そして再開した彼女(ピンボール台=学生時代の自分)に別れを告げる。
    好むと好まざるとに関わらず、人生を歩み続けるしかないのだ。

    まぁ、若い頃にありがちな悩み……。
    とはいえ答えがあるものではないので、今の春樹氏がどう考えるかはちょっと興味があるなぁ。

    あと、双子は実在しているの?これは僕の作り話(妄想)かなーって感じた。(実在だとちょっと有り得なさ過ぎて恥ずかしくなる。)

  • 風の歌を聴けと同様に、鼻につく言い回しになんだこの野郎と言いたくなるが、甘いキザな人物がウダウダしているのを嫌う自分も終盤の寂しさには同調せずにいられなかった。前作からの大きな物語が動き始める予感も感じられてよかった。

  • 再読。とは言っても最初に読んだのは30年以上前だ。ほとんど覚えていなかったけど、読み終わったら懐かしさが湧き上がった。村上作品はこうだ、というような、後の作品のエッセンスが凝縮されていると思う。特に「僕」の行動や考え方などには。それに対して「鼠」は、こんなに写実的に泥臭い青春を生きていたとは、と思った。「僕」とは真逆の印象だ。しかしどちらも同じ人間の表裏のようにも感じてしまった。
    2冊目でようやく、「やれやれ」が登場。

  • 「風の歌を聴け」に比べて、ぐっと複雑になっている。
    2023年の「街と、その不確かな壁」を読み終えてから、この初期作品を読み返したら、初読時とは全く異なる感想を持った。
    軽妙な文体や差し挟まれるユーモアによって、一貫して垢抜けた印象の作品だが、直子の登場とその死、その後の「僕」と「鼠」の心のありようが記された作品であって、最終盤にかけて話は深刻さを増していく。

    直子の死と、断片的なエピソード。
    ピンボール台とは、何なのか。
    鼠は何をそんなに気に病んでいるのか。

    処女作にも同種の暗さ、不穏さ、不吉さが織り込まれていたように思うが、この作品ではより色濃い。
    エピローグになって、「僕」に関しては憑き物が落ちたかのような回復が描かれていて、読後感は悪くなく、むしろさわやかだと思った。

     今作での「双子」「配電盤」「貯水池」「ピンボール」が、以降の長編ではより複雑な姿をとっていくことになる(なったのだろう)。

  • 2023/04/10

  •  ピンボールが出てくる後半から一気に懐かしくなってきた。
     読んだ当時はまだインターネットで検索!なんて全然ない時代だったから、いまは思う存分、ピンボールがいかなるものかを改めてググって確認。そうそう。これこれ。
     なんとなくなんだけど、村上春樹の書くものは下半身(性的なもの)と頭が別れている感じがする。これがかっこつけているのか本当にそうなのか。
     日本の話なのに全然そう感じないのもなんでかなあと不思議に思う。
     気になるのは「鼠」と「僕」が小説の中で別々に描かれていること。ジェイズ・バーは存在している。うーむ。これどういう意味だっけ。また次ぎ読んで思い出さなくちゃ。

  • 青春三部作は「風の歌を聴け」「羊をめぐる冒険」「ダンスダンスダンス」だと思って、「1973年のピンボール」を飛ばして「羊をめぐる冒険」を読んでいた。
    そのため、このあとの鼠の行方、僕を待ち受ける運命的を想像して胸がチクリとした。

    21世紀生まれ、実家暮らし、男遊びもしない、酒に飲んだくれていない自分にとっては初期ニ作は全く共感ができず、ただ憧れの眼差しで客観的に僕と鼠の人生をみている。もうすぐ一人暮らしを始めるのだが、そしたら共感することも増えるだろうか。

    過剰な表現と比喩の多さに飽き飽きしながらも、日常をこんなふうに書き留めるようにしたら世界をもっと面白がれる気がした。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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