1973年のピンボール (講談社文庫) [Kindle]

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  • 【 2021年4冊目】
    ストレッチをしながら読み進める。僕と双子と鼠の物語。配電盤のところは物語の中でも特に「静」という感じがして好きだった。

  • 「感想」という感想を書くのは非常に難しく捉えどころのない作品なのだが、『風の歌を聴け』と似て非なる僕の静寂や鼠の決意が美しい言葉で断片的かつ重層的に綴られており、初期の村上春樹の「らしさ」が匂い立つように感じた。
    『スペースシップ』と交わす最期の会話では、終始抽象的な文体にも関わらず涙が出た。僕と彼女の関係も心情表現も情景描写もあまり想像できないまま読み進めてしまったのに、それでも出所の分からない苦しさというか、理由も掴めないのに胸が締め付けられるような。双子、ジェイズ・バー、翻訳、猫、耳掃除、そしてピンボール。もう一度読むことがあれば、もしくはこれを含めた村上春樹の初期三部作について語らう機会に恵まれれば、時間の許す限り全てのファクターにおいて一つ一つ噛み砕き解釈を加えるという形で丁寧に読み解いていきたいが、今はただこの独特な雰囲気に浸るしかあるまいと思う。

    「人間てのはね、驚くほど不器用にできてる。あんたが考えてるよりずっとね」
    鼠は瓶に残っていたビールをグラスに空け、一息で飲み干した。「迷ってるんだ」
    ジェイは何度か頷いた。
    「決めかねてる」
    「そんな気がしてたよ」

    「またいつか会おう」
    「今度会った時は見分けがつかないかもしれないぜ」
    「匂いでわかるさ」

  • とにかく比喩が多いと思った。最初は慣れなかった。普通の物語とは違い、話が全然繋がっていないように感じた。どうでもいいような話が延々と続くように感じられた。
    音楽の名前がいちいち細かかった。
    全体的に暗い雰囲気(というかボンヤリとした雰囲気)
    学生運動の背景を感じられた。

  • 前作「風の歌を聴け」に比べて、”非日常感”が増していて、その分村上色も強まっている印象を受けた。

    どこか世を拗ねた感じの登場人物ばかり。特に”僕”は金も性も満足していながら、いわゆる本流からは外れたはぐれ者。
    そういう人物を通して、普遍的な”ここじゃない”感を描写しようというのだろう。

    まるで、当時の日本の空気は感じられない。
    だからこそ今でも読み返したくなるし色あせない。
    土着性がないから、世界的にも読まれているのだろう。

  • 学生時代によく読んだが、さすがに今となると古臭く感じる。

  • 順番通りに読んでいれば全く違った印象を持ったに違いないので、「羊をめぐる冒険」を先に読んでしまった事が非常に悔やまれる。
    この小説の主人公たちは特定の世代(団塊世代)の、特定の時代の苦悩を具現化したキャラクタなのではないだろうか。その世代について詳しいことは知らないが、自己実現って言葉がもてはやされたり、戦後復興で代わっていく日本に戸惑った世代なんじゃないかと想像している。
    まぁ、気持ちは正直なところよくわからんかった。鼠とか何に苦しんでんねん?とか、主人公も何を失われたものに固執してんねん?とただ、ピンボールはやってみたくなった。

  • ピンボールの話がやたらと長かったし、今まで読んだ村上春樹的な面白さが今一分からなかった。
    また、時間を置いて読んでみる。

  • 「1973年のピンボール」(村上春樹)「電子書籍版」を読んだ。何度も何度も繰り返し読んだ二十代のあの頃の匂いがよみがえる。劣等感とかやり場のない憤りとか自己憐憫とか、とにかく泥濘んでいたあの頃をよくもまあ乗り切ったもんだなとつくづく思う。(少からずの人を傷つけながらではあるが。)

  • ゆっくり歩け、たくさん水を飲め。
    大学時代に読んで最近読み返してみた。
    全く覚えていない…ピンボールの世界観と双子と鼠。それぞれの別れが意味のないものだけど、なんとなくその人を形作ってるのかなと思う。自分の学生時代を思い出しながら、意味のない日々だったなぁと思いながら読んだ。

  • 前作よりは記憶に残りやすい。
    魅力的な双子が出てきたり、フリッパーズ・ピンボール・マシンを捜したり、耳の穴が曲がったりしているからだ。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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