むらさきのスカートの女 (朝日文庫) [Kindle]

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  • 朝日新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  • ふわぁと読み始めて、さら〜っと読み終わった。
    不思議な話を読んでしまったな。で、どういう解釈が正しくて、この人物たちの像をどう捉えてはめていったら物語としての正解があるんだ?と考えるのも一旦やめて、夏の暑い時期にちょっと怖い話を挟めたな〜という読了感で終わっておこうと思った。
    2023.8.16 読みました

  • 大学卒業後は、アルバイトを転々としながら生活しました。工場や電話代行や警備会社やホテルの客室清掃などです。一番長く続いたのがホテルの客室清掃で、この仕事のおかげで働くことの楽しさや、人と関わることの楽しさを知りました。

    第161回 芥川賞 受賞作
    ベストセラー第一位、
    「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。文庫化にあたって各紙誌に執筆した芥川賞受賞記念エッセイを全て収録。

  • 「黄色いカーデガンの女」を自称する女性が「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性について観察したことを語るストーリー

    語り手が職場でも生活圏内でもほとんど存在感がない。語り手が語る「むらさきのスカートの女」に関する噂話もどこから仕入れた情報なのか不明で、信憑性はない気がする。そこはSF作品における「設定」のようなものだと思って受け入れて読むことにする

    語られるストーリー自体は、それほど意外性のあるストーリーでもない気がする。ただ、語り手の性格・生活が破綻していることがところどころに現れているのに、語り手が経済的にも精神的にも追い詰められていることをほとんど語らない。生活が破綻してることを無視して、「紫のスカートの女」に執着し続けてストーリーが語られるので、読んでるこっちが不安定な気持ちになってしまう

    Kindle Unlimitedで読んだけど、お金を払って購入して再読したい

  •  

  • 不気味だったのは「わたし」だった。

  • 今村ワールドへようこそって感じ。ゆるくてホンワカしてるのにキモイ。なんか変。でもおもしろい。ついまた今村ワールドへ行きたくなる。

  • 驚くほど読みやすく、
    気がつけばハマっている。
    むらさきのスカートの女を
    執拗に追い求めるわたし。

    芥川賞受賞作というと、
    直木賞に比して、
    敷居が高い印象だが、
    今村夏子ワールドは違う。

    文章も読みやすく、
    癖のある登場人物たちに
    あっという間に引き込まれ、
    気がつけば、
    最後まで一気に読んでいる。

    この物語は
    黄色いカーディガンの女と
    自称するわたしが、
    町の目立った存在である
    むらさきのスカートの女を
    ストーカー並みに追い続け、
    ついには自分が働くホテルに
    仕事先として誘導し、
    さらに展開する。

    むらさきのスカートの女は
    クリームパンが好きで、
    それを買って、公園の
    むらさきの女専用ベンチで食べることや、
    驚くほど歩くのが速く、
    人混みでも人にぶつからずに
    スルスルと抜けていくことが、
    わたしの口から語られる。

    そして、仕事をしていない状況を見てとり、
    求人誌をむらさきの女専用ベンチに置き、
    自分が勤めるホテルの清掃員へと
    誘導していく。

    そこから、さらに事件が起こり、
    どんどん展開する。

    目立った存在のむらさきのスカートの女。
    存在感がなく、影の薄い
    黄色いカーディガンの女こと、わたし。

    一人称のわたしは
    執拗にむらさきのスカートの女をストーカーし、
    同じ職場に招き入れ、
    友だちになりたいと願うが、
    結末は思いもよらぬ方向へ。

    読みやすいのに、
    奇妙で、登場する人々が
    どこか薄気味悪い
    今村夏子ワールドへどうぞ。

  • 《地方の都市伝説妖怪のようなタイトル》
    《ツッコミどころ満載で不気味な表紙》
    《帯の"何も起こらないのに面白い"》
    ずっと気になっていた本作をやっと読んだ。

    物語は一人の女性による、むらさきのスカートの女(妖怪じゃなかった)の生態観察記。
    むらさきのスカートの女という名詞のインパクトや彼女が街で一目置かれている存在だということでカモフラージュされているが、薄々見えてくる語り部の女のやべー奴感。
    いつの間にか、むらさきのスカートの女を観察している語り部の女を観察している読者の私といった謎構造が出来上がっていた。

    本作は確かに何も起こらない。
    ただ、読後感じた底知れぬ孤独感はふとすると自分の日常にも置き換えられてしまいそうなリアリティさがあったからなのかも知れないと思った。

    読了し本を閉じた後、表紙のイラストの印象が少し変わった。

  • どろっとした気分。わからなくなるという怖さはどことなくあるものだ。人間、人生、この世はたまたまなんだなと。

  • 今村夏子さんの本は読んでて後味が悪くなる(こちらあみ子も…)。でも読んでよかったな、と思える。
    この話も何も生み出さないし何も解決しないけど、なぜかクセになる。そんな本でした。また読みたい。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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