むらさきのスカートの女 (朝日文庫) [Kindle]

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  • 朝日新聞出版
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感想・レビュー・書評

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  • 今村夏子にしか書けない世界がある。はじめすごくやさしく見えるその世界の軋みが、少しずつ浮かび上がってくる過程でみえてくるのはこの社会はやさしくなんかないしやさしくあることはやさしさとはちがうという矛盾。
    2人は同一人物だとも読めるし、現代の孤独を切り取ったとも見えるし、非正規雇用の不安定さ、女性に序列がつけられる構造、男女の不均衡などさまざまな読みが可能。すごい。

  • 往復1時間の電車で読み終わってしまった。ボリュームが軽めというものあるが、展開が気になりすぎて久々の超集中力を発揮してしまったためだ。
    さて、読み終わって母にどんな本?と聞かれたのだがとっても困った。なんなんだろうこの本。
    読書数や経験も多くないので似た本も思い浮かばないし、ジャンルもよく分からない。そこで僕が咄嗟に言った言葉が「不思議ちょいコメディーミステリー」であった。今思い返すと割と我ながらいい表現なんじゃないかと思っている。
    この言葉の通り、何が起こるか予測不能の不思議な話である。商店街や公園、職場がメインのシーンなので、読みやすい。そこにいる変わった人の話である。笑わせてくれるシーンも唐突に出てくるので最初はびっくりしたが、絶妙に面白い。ファンになりました。

    最後に、巻末に今村さんのエッセイが載っているのでぜひ読んでほしい。淡々と今村さんの過去のエピソードとともに頭の中が描かれていくのだが、その内容が癖になる面白さだった。少し暗いけど物の見方が面白い。書いた作品が賞を取っていることからもだが、この人は天才なんだろうなあ。

  • むらさきのスカートの女よりへんな女の話

  • 芥川賞は読むのには難しいと、内心決めている私です。
    でも、面白く読みました。何より短編ですので。そのあとのエッセイも・・
    読みやすかったです。

  • 読みやすかった。
    最後黄色のカーディガンの女の正体が分かった時読み直したくなった。

  • 「町内で有名な変な人」であるむらさきスカートの女と友達になりたいと画策する主人公(自称黄色いカーディガンの女)。
    どうにかお近づきになろうとあの手この手でアプローチ(超遠回しな方法)
    割と序盤からこの主人公も相当変ということが見えてくる。
    希望かなって同じ職場で働くこととなり、これから…というところで意外とむらさきスカートの女の順応性というか社交性というかが発揮され、ちょっと置いてきぼりの主人公。
    でもやっぱりむらさきスカートの女はやばかった。
    そしてそれ以上に黄色いカーディガンの女もやばかった。
    読みやすくて一気読み。

  • 冴えない人間の、冴えない人生を、ひたすら観察するだけの物語。
    「むらさきのスカートの女」を観察する「黄色いカーディガンの女」、そして「黄色いカーディガンの女」を観察する我々「読者」。

    風変わりな女が、風変わりな女を付け回す。
    一歩間違えるとストーカーまがいの怪しい女なんだけど、人間観察って面白いもので、なんとも言えない中毒性がある。
    学びも得るものもないのだけど、いい意味で起承転結があって、最後まで楽しんで読めたし、今までにない不思議な読書ワールドだった。

    「第一印象で決まる新人イビリ→徐々に仲間として認めていく過程→上司に気に入られた途端に集団で仲間外れ」と言った女社会でよくあるコロコロ変わる風当たりだったり、冴えない人間が意外とどっぷり不倫しちゃって少しずつ変わっていく身なりだったり、目立たない存在の人間が、空気のように扱われることだったり、そんな身近にありそうな「あるある」がとってもリアルで面白かった。

  • 始終不思議。
    黄色いカーディガンの女はむらさきのスカートの女のストーカーなのかなって思ったけど、
    黄色いカーディガンの女が所長にお金を借りるための嘘と妄想を散りばめた壮大な痛いストーリーなのか…って思ったり。
    この話は一体なんなんだ。妙にリアル。

  • タイトルと表紙に引かれました。文章が読みやすく、全体を通して不気味な雰囲気や表現がすごかったです。
    結末や主人公の意図を掴むのが難しく…読み終わってはてなマークだらけでした。

  • 実際に会ったら、黄色いカーディガンの女が怖いだろうに、小説の中ではその行動を、なんとなく納得してしまう。
    全部でではないけど、同じようなこと普通にみんなやってるよね、きっと

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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