正直、1作目のスーサイドスクワッドは微妙というか、悪役が主役なんて真新しいでしょう〜(ドヤ)という製作陣の荒い息を感じてちょっと苦手だったんですが。これは好き。
大好き。

ワンダーウーマン、最新のチャーリーズエンジェルとかが好きな人には好まれるんじゃないかと思います。あとオーシャンズ8とか。

以下、良かった点。

・女性陣が全員良い。みんなそれぞれに美しく格好良く、脆く優しく、強く逞しく、すごく良い。色んなエスニックバックグラウンドの人たちが集っているのも良いし、全員の見た目が最高

・性暴力が、性暴力として描かれている。被害にあう女性をエロい目線で楽しんでいないのが良い。何もできずに傍観者でいることを強制されたキャナリーが涙してるのも、良かった。性暴力シーンがある「から」いいのではなくて、性暴力をエロとか興奮するシーンとして描いてないのが良い。

・レニーの元パートナーが女性だとさらりと描かれているところ。見てください!このキャラ、レズビアンですよ!!な感じじゃなくて、そりゃ人間だもの、同性愛者も異性愛者もいるでしょ、というスタンスが良い。

・動物が死なない。ここは私的にポイント高し。

・キャナリー。とにかく、キャナリーが素晴らしい。鼻ピアスがあんなに似合う人、他にいますか?レベルで格好良い。ドレッドで刈り上げみたいになってるのも格好良いし、アクションもいい。終盤、長い髪のせいでバトルに集中できないから、ハーレイにヘアゴム借りてたのも可愛かった。

女性がbad assな映画が大好きなので、本当に楽しかったです。

2023年1月18日

読書状況 観終わった [2023年1月18日]

開始数分で、なんかこれやたらとガイ・リッチーの匂いがするなと思って調べたら、ガイ・リッチー作品だった。

R18作品じゃないからか、なかなかグロいことは起こるものの、そのものの映像は見せないので、精神衛生上マイルドというか、ガイ・リッチーの優しさみたいなものを感じます笑。

ヘンリー・ゴールディング、今まで見てきた彼の役が、お育ちが良くて誠実な男性キャラばかりだったので、突然のFワード連発にびっくりするというよりも、どうしちゃったのヘンリー、反抗期?の気持ちに。個人的には、心優しい役の彼の方が魅力があると思います。

中盤に差し掛かるまでコリン・ファレルが出てこなかったので、一体どんな黒幕で登場するのかと思いきや、まさかの不良少年を更生させるコーチ。これまでのコリン・ファレルの役と、彼自身のプライベートのあれこれが融合してないと出せないキャラクターで、とても楽しかったです。

完全に真っ黒なビジネスに手を染めているのに潔癖症なレイモンド役のチャーリー・ハナム、溢れ出るカリスマという文字にすると嘘くさいものを体現するマシュー・マコノヒー、ぬるっとした質感が画面越しでも伝わるジェレミー・ストロング、最後までひたすら狡いヒュー・グラント、主要キャラ以外もみんな良い味出してました。
が、ロザリンド役にミシェル・ドッカリーをキャスティングしたのが、あまりに英断すぎます。

何が起こっても眉ひとつ動かさず、驚きもしない。Fワードを使うのに、下品にならない。大して語られもしないけれど、夫のビジネスに負けず劣らずのビジネスを自分で持っているのが伺いしれる空気感。
映画って共同作業だと思うので、脚本が面白くても俳優がダメなら駄作になってしまうし、どれだけ俳優が熱演しても音楽や映像の編集でつまらないものになってしまう。
そういう意味で、ミシェル・ドッカリーがロザリンド役に決まった時点で、この映画の引き締め役が決定していたのかなと思います。

もう一度見たいかと言われれば、まあ一度で十分なんですが、娯楽作品としては好きな類でした。

2023年1月18日

読書状況 観終わった [2023年1月18日]

なんだかふと、そういえばシャネルという女性について、あんまり知らないな…と思い立って読んでみた本。

非常に強く、複雑で、そして悲しいほどに孤独な女性でした。軽はずみな気持ちでは、彼女に憧れるとか、彼女を尊敬するなんて言えないんじゃないかなと思うくらいに。同時に、ここまでの熱量で生き切って、ここまでの孤独を味わうほどに仕事に打ち込んだ人でなければ、死後何年も経っても自分の名前が君臨するような人生は送れないのだろうな、と思ったり。

まだまだ女性の地位が確立なんてされていなかった時代にこんな考え方をしていたら、いったいどれだけの逆風を浴びなければならなかったのだろうと考えると、あらためて彼女の強さと熱情に圧倒されます。

後半部分におもむろに差し込まれた、コクトーとのツーショットで息を呑みました。かっこいいとか、エレガントとか、そんな言葉では言い表せない、ファッション界で戦ってきた戦士の姿。伝説になるのも然もありなん、と数分間見つめていました。

2019年1月8日

読書状況 読み終わった [2019年1月8日]
カテゴリ 和書(や行)

読み終えるまでゆうに数年をかけてしまいました。
面白くないわけではないのですが、でも最後はやや尻切れとんぼ。

精神科医が書いた、音楽はなぜ人の精神に影響を与えるのか、という内容に触れた学術本。

後半にある、ショーペンハウアーとフロイト、ニーチェとユングの音楽に関する感じ方の違いが大変興味深かったです。全員に共通しているのは、無宗教だったこと。前者2人はもともと宗教的ではない家庭で育ち、後者2人は(対照的に)非常に宗教色が強い家庭で育ったにも関わらず、4人はある一定の時期から神の存在を信じられなくなった。
ニーチェにとっての音楽は、そのままでは生きるに耐えられない人生を生きる価値のあるものにするものであり、ショーペンハウアーにとっては音楽は、人生で最も意義のあるもの(=死)を彩るために心を穏やかにしてくれるものであったそうな。

音楽は音の集合体であり、その個々には意思も思惑もないのに、なぜある一定の音の集合体は人の情動に影響を与えるのか。
音楽そのものは自動的でないのに、「動いている」と人は感じるのか。

問いとしては非常に面白かったですが、いかんせん情報が古いので、ここに書かれているものをまるっと信じるわけにはいかず(他の本も読まないといけないので)、でも、個人の意見として拝聴するぶんには有意義な本でした。

2010年4月25日

わかっているけどできない、ということはつまり、本当には理解していないということだ。
という箇所が、ここ数年、早く寝ようと努力しているはずなのに、ついつい夜更かしをしてしまう自分に向けて書かれているようで、ぐさりときました。なるほど、私はまだ早寝の効果や早寝するべき理由を本当には理解していなかったのか…と粛々とした気持ちになりました。

100個のエッセイで、どれも前作に比べると辛辣さが減ったというか、まろやかな優しさに変化したような。それよりも、多様性についての表記が増えたように思いました。

引退する、と知ったときは世界が崩壊するんじゃないかというくらいの衝撃を覚えたのに、いつのまにか引退するとおっしゃっていた時期を過ぎても本が刊行されていて、いつのまにか新しいシリーズもスタートし、もしかして引退を取りやめたのだろうか、だとしたらこんなに嬉しいことはない、引退をとりやめてくれてありがとう!と思い続けた数年であったというのに、なんと森先生はすでに引退されていたのでした。引退しても仕事をそのまま続ける人もいるでしょ?の一文に、久々にまんまとしてやられた感を味わい、取り越し苦労だったとがっくりくるやら、これこれ、こういう気分にさせてくれるから好きなんだ、と思うやら。

100個のエッセイ、いつもこちらの感情をぶんぶんと振り回してくれて、とても楽しいです。

2019年1月8日

読書状況 読み終わった [2019年1月8日]
カテゴリ 漫画(ま行)

初読のときはとにかく先に進みたい気持ちが大きくて、そのせいか再読すると、意外と忘れてしまっている箇所があったりして。
ただ、再読しても感心する場所は同じ。作者の、子供達の語彙を増やす方法がとにかく素晴らしい。冒頭から現れる、nervousとanxiousの違いと例の豊富さと分かりやすさ、そしてそのあと、ごく自然にストーリー上に組み込まれる単語。そのときにMr Poeのような大人が用法を間違えることによって、子供自身が「あ、使い方を間違っている!」と気付ける。学習の最終形態は使えるようになることだし、それが使えるかどうかは、他者にそれを教えられるかどうかである程度は判断できる。どこからどこまでを意図的に書いてて、どこまでが作者のインスピレーションだけに頼っているのか、読んでいていつも気になります。

お話としては、またしても3姉弟妹の前に現れる愚かな大人が印象的。怖がっていては何もできないのだと教えてくれたAunt Josephine、〇〇がないよりマシだと声をあげなかったせいで片足を失った大人、そして今回は、「喧嘩したくない」からとすべての議論から逃げる大人。
喧嘩をするのはよくないことだけど、たとえ意見がぶつかり合っても、議論すべきときとすべき内容がある、と暗に何度も教えてくれる。

途中、歯だけで壁を登るサニーのシーンなんかは、さすがフィクション!というリアリティのなさだけれど、お金にがめつい大人、子供の言うことだからと信じない大人、議論したくないからと責任を放棄する大人、なんかは誇張はされてはいるものの、驚くほど実社会にもいるので、それはそれで恐ろしい。

2019年1月8日

読書状況 読み終わった [2019年1月8日]
カテゴリ 洋書(P〜T)

1巻にあたる疵と蜜でも出てきた二人がメインと知って読んだのですが、前半は1巻の二人の短編でした。

理知的な二人のお話なので、まあ、くっつくまでが遠慮と気遣い合戦みたいで、もどかしいこと、もどかしいこと。こういうときに直情型のキャラはぐいっと相手のテリトリーに踏み込めるので、ストーリーが早く動くんだなと痛感しました。

もどかしいもどかしい展開の後は、晴れてそういうシーンになったわけですが、ページ数的にそういうシーンはたった1回で、やや消化不良なところはあります。というか、もっと読みたかった、が正直な感想です。

全然BLとは関係ないですが、ストーカーの人物が、駅から相手の自宅までを尾行したことを「一緒に帰る」と表現していたのが、ぞわっとしました。たしかに、ストーカーの人ってそういう認識なのかもしれない!と思って。

2018年11月26日

読書状況 読み終わった [2018年11月26日]
カテゴリ 和書(た行)

上巻に引き続き、蔦代が恐ろしいです。信心深く、親孝行に熱心で、卓越したビジネスセンスを持っていて、時代の風を感じ取る機微もあり、部下を教育する能力にも長けている一方で、人を欺くことをなんとも思わず、手に入れたいものをどれだけ卑怯な手で手に入れても決して心が痛まず、相手の心をずたずたにしても「私は良いことをしたのだ」と心底から信じられる。悪人とは、決して悪行に手を染める人間のことだけではないのだ…と空恐ろしい気持ちで読んでいました。この蔦代が主人公ではないがゆえに、彼女が本当はどういう気持ちで色々なことを言ったりしたりしているのかがわからないところもまた、作者のすごい腕だなあと。

上巻の始めでは大正初期だったのが、下巻では満州事変から第二次世界大戦の終戦までが描かれていて、なるほど「普通の」人々はこんな気持ちで毎日を過ごしていたのかと、歴史の教科書をなぞるだけでは決して理解できない、当時の人々の暮らしぶりや心情を垣間見られたような。

特に、戦争が終わった瞬間に疎開していた物品を取り出し、着物を風に当て、家のあちこちを掃除して回り、我慢していた湯船で長年の垢を落とし、「生活」するためにすぐに動き始めた女性陣と、終戦の意味が腑に落ちず呆然と部屋で虚空を見つめる男性たちの対比は興味深かったです。

女同士のマウントなんて言葉では表せない蔦代の所業と、それに立ち向かって切り抜ける力を見せる正子、自分にそこまでの力がないと理解して違う解決法を見つける鶴弥、そして蔦代の本性に気づけない、己の力量を正しく測れないがゆえに過大な自信を持つ弥千代。
お見事でした。

2018年11月26日

読書状況 読み終わった [2018年11月26日]
カテゴリ 和書(あ行)

着物が出てくる小説が読みたくて、おすすめいただいた本。自分では選ばない作者さんに時代設定だったので、とても新鮮な気持ちで読めました。

上巻のスタートは大正。まだ明治生まれの人々もいる中、東京の花柳界にやってきた芸者を目指す二人の少女がメインです。

すべてにおいて対照的な少女二人、正子と䔍代。正子は勝気で負けず嫌いで、優等生気質で曲がったことが嫌い。䔍代は賢いというよりもずる賢く、プライドよりも利益を取るタイプ。
この二人の描写が素晴らしかったです。

正子が意地になって着物に愛人のモチーフを入れたりするところなんかは、なるほどそうやって自己主張していたのかと思わされましたが、䔍代のあれこれは、まさかに開いた口が塞がらない気持ちに。決して見習いたいタイプの知恵の使い方ですが、でも、䔍代みたいな生き方をしないと生きていけない人も、䔍代みたいに策をめぐらせられなくて自滅していった人もたくさんいたんだろうなと思うと考えさせられます。

上巻の最後の方、江藤にお金はかかるけど私に任せてと䔍代が言うのが不安でしかなかったですが、それが最悪の形で現れて、開いていた口をさらに開ける羽目になりました。どうやってあんなことを思いつくものなのか…。

2018年11月26日

読書状況 読み終わった [2018年11月26日]
カテゴリ 和書(あ行)

星1000個くらいつけたい。

なんの前情報もなしに、作品紹介とパッケージの雰囲気でこれ面白そうと手に取るフランス映画が高確率でフランソワ・オゾン監督なのですが、こちらもオゾン監督作品。そしてオゾン監督作品で刺さらなかった作品がない。

末期ガンで余命半年から一年を宣告されたゲイのカメラマンが、自分の人生にどう決着をつけるか、というテーマ。
見始めた当初は彼がゲイであるということに理由はあるのかなと思いましたが(ファッションカメラマンという華やかな職業は、ガンというこれからの人生との対比なんだろうなと思ってました)、中盤で、なるほどそうきたか!と。さすがです。

人生の終わりを見据えたからこそ関わる人間たちとのやり取りが、チープなファミリードラマにも感動お涙頂戴系ヒューマンドラマにもなっていないところが、すごくフランスらしいなと悶絶する思いです。

祖母(ジャンヌ・モロー!)に会いにいったときの会話、
「どうして私には話すの」
「似た者同士だからさ」
「……」
「もうすぐ死ぬ」
とか、帰り際写真を撮りたいといった瞬間にポーズを取るジャンヌ・モローとか、眠れないと祖母の寝室に訪ねたときの会話とか、ちょっとした瞬間がびっくりするほどリアルで、映画なのに演者が演技をしていることを忘れる瞬間があって、そういうのもオゾン監督作品が好きな理由だろうなと。

そしてエンディング。圧巻でした。
なにも説明されてなくて、モノローグもなにもなくて、すべては観客の解釈次第と言わんばかりの、でも淡々とエンドロールが流れる中、海の波の音が耳に入ってくる数分間。
次の日、目が腫れてしまうほど泣きました。

誰かと観たい映画ではなくて、一人でじっくりと観て、内省したり内側に向かって対話したくなる映画です。

2018年11月26日

読書状況 観終わった [2018年11月26日]

理由はわからないけど、どうやらアルベルトと東城のカップルがそこまで好きではなかったらしい。

1冊まるまるこの二人の話だったので、だんだん途中から飽きてきてしまい…。
ただフランソワと最上のカップルは大好きなので、二人が出てくるパーティーシーンは楽しめました。この時点はまだ二人は再会していないはずなので、ニアミスニアミス…とほくほくしてました。

2018年11月26日

読書状況 読み終わった [2018年11月26日]
カテゴリ 和書(あ行)

イギリス、フランス、ハンガリーの合作映画。東欧が絡むと画面が少しねっとりとするというか、闇の色が深くなるような気がします。

第一次世界大戦終戦直後からヴェルサイユ条約までのあいだの期間のお話。
主人公は、アメリカ人の父親(政府の要人)とドイツ人の母親の元に生まれた、女の子のように美しい少年。

まるでオペラのように幕が決まっていて、ぶつりと章が終わると画面が暗くなります。

どういう映画かと聞かれると、ネタバレせずに説明するのが大変難しいものなのですが、正統派の映画が好きな方は楽しめるんじゃないかと。
人工的な光ではなく、自然光を多用したカメラワークや、特定のキャラクターに寄り添うことのないストーリー、主人公であるはずの少年を「理解できない」と思わせる演出に、不安をやたらめたら煽ってくる音楽。観客を楽しませよう!というエンターテイナーな感じではなく、まるで10代の頃に背伸びして入った格式高いレストランのような雰囲気。理解できないのなら、それで構わないという匂いが個人的には好きでした。

リアム・カニンガムが父親役だったのですが、ゲームオブスローンズのときとまったく違うキャラだったので、何度か、これは本当にあのオニオンナイトなのか?と思ったり。
母親役の彼女も、アーティストで見かけた時と全然違って硬質なオーラで、演者はいちいち素晴らしかったです。

印象に残ったのは、少年に優しくしていたメイドさんが解雇されたときに言った「残りの人生すべてをかけて、奥様と奥様たちご家族のご不運を祈ります」。怖かった…!

2018年11月26日

読書状況 観終わった [2018年11月26日]

作者の深夜の〜の方を借りて読んでいたので、なんとなくこちらを。

面白かったです!
短編集なのですが、どのお話も甘くなりすぎず、くどくない程度に毒が盛られていて。

どのお話にもどうしようもないアホな男性が出てきますが、「優しい毒薬」の彼氏が一番嫌でした。アレルギーを好き嫌いと勘違いするだなんて、そんな人本当にいるのか?と思う反面、こいつなら勘違いしそうだなと思わせる頭の悪い感じがダメで…。興味がなくなると、途端に顔の造形が崩れるというのも、すごく女性らしいなと思ってしまいました。

2018年11月19日

読書状況 読み終わった [2018年11月19日]
カテゴリ 漫画(あ行)

表紙のユーグが麗しい。
R.A.Mシリーズの書き下ろしではハードボイルドんユーグが、ワーズワースと組むとやや可愛らしくなるのが、初めて読んだ時から萌えの塊でした。

吉田先生が急逝されてからもう10年以上経ちましたが、いまだにあの衝撃から完全に立ち直れているとは言えず、こうして再読していても、巻数が進むにつれて、お話の盛り上がりとは裏腹に心はしんみりとしてしまいます。

男臭くて頼りになるレオン、瀕死の状態でも皮肉なユーモアを忘れないワーズワース。脇役がとびきり魅力的で、敵はとびきり邪悪で、三下の敵はとびきり愚かで、そして主人公はどこまでもキラキラと主人公然としていて、キャラクター小説とはこういうものなのだ!と、脳みそ全体に栄養がいきわたるような興奮を読んでいて味わいました。

5巻でようやくユーグの孤独な復讐劇にも幕が下ろされ、最後、ふっきれたように仲間を仲間と呼んでくれる彼の姿に感動します。こっそりとサポートに回ってくれたハヴェルにも、彼がこの後どういう運命を辿るのかがわかっているが故にじんときました。

確実に、この世界のキャラクターたちは今でも私の心の中にしっかりと生きているなと再確認した再読でした。

2018年11月19日

読書状況 読み終わった [2018年11月19日]
カテゴリ 和書(や行)

シーズン1と比べると、心理戦の印象が強くなり、見るに耐えない殺人シーンとか、グロすぎる死体とかも少なくなった印象。
と思っていたら終盤のメイスンでどばっとやってきて、画面をあんまり直視できませんでした。

このシリーズを勧めてくれた知人からは「シリーズ2からは、壮大なハンニバルからウィルへのラブレターだと思って」と言われていて、たしかになと納得するようなところが多々。最終話、キッチンでウィルの頬を愛おしげに撫でるハンニバルも撫でられるウィルも、どう贔屓目に見ても恋人同士のようにしか見えず。

いろんな人がいろんな思惑を抱いて動いているので、誰がどこまでを知っていて、どこまでを予測しているのかがわからないのが面白いです。逆に、知恵が足りなかった者(チルトん)、警戒が足りなかった者(ビヴァリー)からどんどこ脱落していくので、グロいシーンさえなければサスペンス・スリラーなのかなと思ったり。

個人的にアラーナの馬鹿さ加減にいらいらしました。おまえは!ウィルと!恋人同士だったにも関わらず!彼の頭脳のことを!何も理解していないではないか!!と肩をガクガクさせながら言ってやりたい気持ちで、アラーナがハンニバルとベッドインするのを見てました。

最終話、ハンニバル無双で終わっちゃったので、どうやってシーズン3は話が展開していくのか楽しみです。

2018年11月19日

読書状況 観終わった [2018年11月19日]

これがケイト・ウィンスレットの銀幕デビュー作品だと後から知り、戦慄しました。上手い。圧倒的に上手かったです。

ストーリーは実話に基づいて書かれていて、ドキュメンタリーの側面を持った映画。ニュージーランドに住む思春期の女の子が、イギリスからの転校生の女の子と意気投合し、思春期らしい「私にはあなたしかいないの!」「私たちは他の誰とも違うの!」といった選民思考めいた結束を高める中、彼女たちの仲の良さを「心配」する大人たちが描かれます。そして物語の後半、大人たちの都合に振り回される理不尽を嘆いた少女たちは、子どもらしい短絡さと、少女らしい潔癖さ、そして未成年らしい残酷さと楽観的思考でもって、恐ろしいことに手を染めます。

冒頭から不穏で、観る側としては、これから何がどうなっていくのかが分かっているが故に、非常に不安を煽られます。

とにかくメイン二人の演技が素晴らしい。もう私は子供ではないのだという気の強さと、親に突き放されると不安になってしまう、その両極端な感情が、自分でもコントロールできない激しさで心に居座っている様子が、本当に上手で。ケイト・ウィンスレットの病院での涙は、ああ、人間は本当に辛いとき、美しく涙を流せないのだ、と思い出させてくれるようなものでした。

ポーリーン役おメラニー・リンスキーも、圧巻でした。小言の多い、ジュリエットの母親のように煌びやかでない、家庭の匂いのぷんぷんする、学もない母親に対する憎悪の瞳が、カメラを通してですら、こちらがぞっとするほど侮蔑に満ちていて。でも、その母親がポーリーンに望んでいることは、ただひたすらに我が子の幸せであり、小言の大半はしつけの範囲内なので、もう大人になってしまった私としては、母親の気持ちもよくわかる。だからこそ、そんな母の気持ちがこれっぽっちも伝わっていないことに深い悲しみを覚えました。

良い映画です。でも、二回観たいかと問われれば否かもしれません。

2018年11月19日

読書状況 観終わった [2018年11月19日]

なぜか先に2巻にあたる方を読んでしまったのですが、やっと1巻が読めました。2巻と同様、ドッグイヤーだらけになりました。

インタビュアーの方の膨大な知識、クラシック音楽に対する深い愛、インタビューをするピアニストに対するそもそもの深い理解が、文面から香ってくるようです。色々なピアニストたちが、数回のインタビューでここまで素直に(赤裸々にではなく)打ち明けてくれているのは、彼のインタビュアーとしての能力の高さだと思います。

ロシアピアニズムに焦点をおいて選ばれたピアニストたち。胸をつかれるような言葉がたくさんあって、何度も読んでいる最中に本を閉じて、彼らが経験した様々なことに思いを馳せました。

時代が違うと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、割と多くのピアニストたちが「練習は苦ではなかった」といっているのが興味深かったです。技巧的に難しいと思ったことがあまりないというピアニストも多いので、そこでの苦労が少ないと、必然的に年齢に関わらず音楽的な命題を扱えるので、練習の辛さが緩和されるのかもしれないな、なんて思ったり。

日本にたくさんいるピアノを学ぶ人たちの中で、一体何人が「練習は苦ではない(やらないといけないと分かっているという意味ではなく、自発的にやりたいものだ)」と言えるのだろうか、と考えてしまいました。

2018年11月19日

読書状況 読み終わった [2018年11月19日]
カテゴリ 和書(さ行)

実は10年も前から着物に興味があったのだな、と着物を着始めてから実家で発掘したムック本。

ほっこり系で現代物の着物を主に紹介しています。
木綿だとかウールだとか。柄もチェックだったり水玉だったりで、着物からのトランジションがスムーズにいくように、と考えられていたのかもしれません。

当時は着物といえば礼装のときやお茶会の古典的な着姿しか頭になかったので、この本に載っているようなほっこり系の着姿は非常に新鮮でした。
手ぬぐいを半襟にとか、足袋は白くなくていいとか。
今だったら当たり前のことだけれども、当時はなんだかすごくおしゃれに見えて、こんな風に気取らない着物姿で毎日過ごせたら格好良いのになあ、なんて思っていました。

カバーと巻頭特集のモデルをされてる麻里さんが可愛いです。

2018年10月28日

読書状況 読み終わった [2018年10月28日]
カテゴリ 和書(さ行)

イタリア人アルベルトと、通称アイスドールの東城の巻。

一度読んだはずなのにびっくりするほど内容を忘れていて、2巻でハッピーエンドになるものだとばかり思って読み進めていたら、まさかの続く!展開に驚きました。あの終わり方はさすがにアルベルトがかわいそう。

初めて読んだときよりも大人になり、そういう知識も無駄についたので、今回は酔っ払った益永を浴室に連れ込むシーンで、酔っ払ってるのにお湯は危ないのでは?ていうかなんでわざわざシャワー浴びたのに洗浄しないの?とか思ってしまう自分がいて、これはファンタジーなのだと言い聞かせました笑。

2018年10月28日

読書状況 読み終わった [2018年10月28日]
カテゴリ 和書(あ行)

たしか、初めて買った座裏屋先生の漫画が、コヨーテの1巻だったのですが、そのときに巻頭のカラー頁のピアノを弾くマレーネを見て、まるで音楽が聞こえてくるみたいだ、と思ったのを思い出しました。

架空の国、架空の街なのに、マレーネが窓を開けると鳥の声が聞こえてくる気がするし、コヨーテが家に戻ると砂埃を感じるような気がするし、ヨシュアが歩いていると道路を通る喧騒音が聞こえてくるような気がします。
そういう意味で異色の漫画かなと。

お話としては、マレーネとコヨーテが絶賛すれ違い中で、どちらにも言い分があって大義名分があって、譲れないものや守りたいものがあるので、ここからどうするんだろうとやきもきしてしまうのですが。
でも、すれ違う原因になった写真の件とか、二人ともが醸し出す匂いとか、実に自然で、とってつけた感じがないのが素晴らしかったです。

座裏屋先生といえば濃厚なベッドシーンですが、今回もすごかったです。映画のカメラのようなアングル切り替えで、文字通り360度楽しませてくれるというか。大変美味でした。ごちそうさまでした。

2018年10月28日

読書状況 読み終わった [2018年10月28日]
カテゴリ 漫画(さ行)

ふせんブックを楽しみにしていて、発売日当日に買いに走りました。大満足です。

今回、描き下ろしで犬くんの血統書をたどる!みたいな企画があるのですが、血統書どころか親がどんなだったかわからない、拾われた猫と犬くんの共通点というオチにほろりとしました。

徹頭徹尾マイペースな犬くんと猫さまが今回もたんまりと笑わせてくれました。
個人的に大好きだったのは、トカゲにびびる猫さまと、注射にびびる猫さま、そして虫を捕まえられなくて言い訳しまくる猫さま。

犬派とか猫派とか、そんなのどうでも良い問題だなって思うくらい、動物っていいなって思わせてくれます。

2018年10月28日

読書状況 読み終わった [2018年10月28日]
カテゴリ 漫画(ま行)

星を5つと言わず、100個くらいつけたいです。大好きでした!!

榎田先生の名前も、この作品のタイトルも、何度も目にしてはいたのですが、寿たらこ先生のイラスト版が手に入らず、結局古本屋さんで買いました。

まず表紙から心臓を鷲掴みにされます。そう!たらこ先生の描くこういうでっかい男子が私は大好きだ!と世界に向かって叫びたくなるくらいな素敵な表紙。

読み始めると、榎田先生の見事な文章に開始早々から舌を巻きます。読みやすいのに、ちゃんと状況説明も人物描写もしていて、でもそれが説明過多にはならず、また無理矢理入れた説明文のようにもならず、ごくごく自然に、過剰でも過少でもない言葉でキャラクターたちが置かれている状況、場所、学校の制度、友人関係に家庭環境がするすると語られていくのが圧巻です。

読んでいて何度か鳥肌が立つシーンがあったのですが、まずは出会うシーン。平均台の上に立って爪先立ちをしているだけ。たったそれだけをあんなに美しく、でも誇張せずに描けるなんて、本当にすごいです。

キスしちゃうかも!のシーンは、読んでいてドキドキしましたし、鏡張りでのスタジオでのシーンはあまりのエロさにくらくらきました。
しかも青春ものとしてもピカイチで、双子のちょっとした言葉尻とか、孝明がどうしてコウメイと呼ばせないのかとか、お母さんの反撃とか、絶妙にリアルなものを取り入れていて、読んでいるあいだ、完全にあの高校に住んでいるような気持ちになれました。

新装版では、彼らの10年後が書かれているようですが、寿たらこ先生ファンの方はこちらをお勧めします。

2018年10月28日

読書状況 読み終わった [2018年10月28日]
カテゴリ 和書(あ行)

驚くほどに肌に合わない本でした。決して内容が悪いわけではないと思いますが、なにせ相性が悪くて、数ページ読むだけでだんだんと気分が悪くなってしまい、結局4分の1ほど読んだところでギブアップしました。

人間は性差はあれど1日で数千から数万までの言葉を口にするそうですが、それ以上の言葉を脳内で考えているそうです。この本の中ではSelf talkと呼ばれる、脳内だけで行われる、自分から自分へ投げかける言葉。それがどれだけ自虐的で、自分自身を縛り付けるものになるのかを理解していない人が多い。けれども、それをどのように上達させていけば良いのかわからない。
という人たちのために書かれた本です。

元々の本のアイデアはすごく好きだったので購入したわけですが、作者さんが筋金入りのキリスト教教徒で。いえ、それがだめだということではないのですが、とにかく二言目にはキリストはこう言われた、聖書にはこう書いてある、神はそのような我々についてもこのようにおっしゃられている、その言葉を読むためには聖書を…と、かなり宗教色の強い本で、それがどうにもこうにも合いませんでした。

宗教的な救済ではなく、あくまでも心理的に自分自身との対話の話がなされるのかと思っていた私には、少々荷が重く。

元々キリスト教を信じてらっしゃる方か、宗教的な話が気にならない無宗教論者の方だったら、もう少しこの本が言わんとすることが理解できるのかもしれません。

2018年10月28日

読書状況 読み終わった [2018年10月28日]
カテゴリ 洋書(P〜T)

もう10年も前の本なんですね、これ。
すごく久しぶりに読み直しましたが、やっぱり面白かったです。

初めて読んだ当時は、東京という場所には行ったことがなくて、作中に出てくる恵比寿や自由が丘やらという地名に憧れていました。懐かしい。

嫌いだと思っていた相手を、実は好きだった…!という展開は王道ではありますが、すごく上手にすべてのエピソードを使ってそれを語ってくれるので、ごくごく自然に益永さんの気持ちに寄り添うことができます。

ファッションも食事も、建築もデザインも、恋愛以外の要素もすごく面白くて、やっぱり面白いものは何年経っても面白いんだなとあっという間に読み終えました。

2018年10月24日

読書状況 読み終わった [2018年10月24日]
カテゴリ 和書(あ行)
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