気持ちの変遷、疑い、すれ違い。

力技の物語。

2024年5月9日

読書状況 読み終わった [2024年5月9日]
カテゴリ 文芸

理想的本棚から。

読書状況 いま読んでる
カテゴリ エッセイ

丹念にまとめられた労働と読書の歴史、現代における読書・勉強と情報・娯楽の違いの考察が興味深い。
主題の考察は疑問。歴史からわかることは、昔から階級差の中で多くの人にとっての読書は娯楽か自己啓発であり、著者の言うノイズ除去。働くと本が読めなくなることに共感する人は元々読書をしていた人か。著者も触れる文化資本・経済資本の影響が大きいのでは。
半身で働くことが解決策ではない。
仕事が全てではないが、「仕事なんて、所詮仕事」と言うこともまた社会との接点が見えない。見えるからこその読書。

・自己啓発、ファスト教養の今昔。今に始まったことではない。
・社会不安が大きくなれば、宗教と社会主義の本が流行るかもしれない。

・自己啓発書の特徴は、自己のコントローラブルな行動の変革を促すことにある。つまり他人や社会といったアンコントローラブルなものは捨て置く。

・(片付け本の)部屋=私的空間をときめくもので「聖化」するという行為は、「聖化」を必要とするほど社会=外部が居心地の良くないもので埋め尽くされている、という感覚によって成立する。

・インターネット的情報と自己啓発書の共通点は、読者の社会的階級を無効化し、今ここの行動に注目するところ。

・読書ーノイズ(歴史や他作品の文脈・想定していない展開)込みの知を得る
・情報ーノイズ抜きの知を得る

・大切なのは、他者の文脈をシャットアウトしないことだ。仕事のノイズになるような知識を、あえて受け入れる(略)それこそが、私たちが働きながら本を読む一歩なのではないだろうか。

・知は常に未知であり、私たちは「何を知りたいのか」を知らない。何を読みたいのか、私たちは分かっていない(略)だからこそ本を読むと、他者の文脈に触れることができる。自分から遠く離れた文脈に触れることーそれが読書なのである。

2024年5月6日

読書状況 読み終わった [2024年5月6日]
カテゴリ 人文・社会

「世代」の枠で一括りにしない、データによる変化の有無を見る。多様化と二極化。
人材育成の解像度を上げる。

・可視化された自分の情報のコントロールに関する部分は10代が高いが、他の部分は30代・40代とそれほど大きな差はない。
・大企業とベンチャーとも就職したい人が多い。
※ただしスナップショットでは、いつの時代もある年代による傾向の可能性あり。

読書状況 いま読んでる
カテゴリ ビジネス

改めて読む。
悲しみをどう受け止めるか。

読書状況 いま読んでる
カテゴリ 文芸

荒々しいまでに、ありのままの生業の描写。
また次の漁に出る。

2024年5月3日

読書状況 読み終わった [2024年5月3日]
カテゴリ 文芸

読み(直し)たくなる名作たち。
小説の読み方入門を名目に面白さを語る。軽やかに、楽しげに。

◯小説の読み方基礎講座
・小説は、悩みを抱えているとき、ほとんど唯一、ちゃんと相談相手になってくれるモノ。

・タイトルから内容がわかりにくいのは、「その小説が抱えている悩み」を取り巻く複雑に入り組んだ全体を表しているから。悩みに誠実であること。

・人生のテーマと、小説のテーマが呼応するときが最良のタイミング。

・小説の「テーマ」を密かに表現する「メタファー」。「作者の意図」と「表現が表すメタファー」は必ずしも一致しなくてよい。作者が無意識につくっている、しかしこう表現することがしっくりくるメタファーを読む。

・つらいことが多いくらいの人生で、でもそのつらいことも、実は小説を読むのに使えるのだと知れば、つらいこともまぁ経験しておくかと思たりする。現実逃避ではなく日常を戦うために読む。

◯カラマーゾフの兄弟
・あらすじを先に読んでおく
→テーマと向き合う。
→登場人物の言動、台詞のパンチライン、演出などあらすじだけではない面白さに満ちている。

◯グレート・ギャッツビー
・古典海外文学は翻訳を何冊か読み比べて好みの合ったものを読む
・光文社古典新訳文庫は平易なもの多し。

◯吾輩は猫である
・前提を楽しむ。
→漱石の人生という前提を知っている人だけがわかること。
→元ネタを知る。

◯ペスト、金閣寺
・起承転結より隠された作者の思想を思って読む。メタファーに潜む思想。
・自分の身近なものに置き換えてみる。

◯うたかたの日々
・「文学的」とは「細部までこまかく描写すること」
・細かさを味わう。

◯羅生門、雪国
・小説は必要なことだけ書かれる。
→ゆっくり文章を楽しむ。なぜこの表現が、この順番で書かれているのか。
→書かれていないことを察する。

◯キャッチャー・イン・ザ・ライ
・その小説の年齢・性別を考え、その自分を引き出し読んでみる。
→小説を読むという行為は、自分の中の多重人格性を癒す作業。

◯ゴリオ爺さん
・俗なテーマの長期連載青年漫画を読むように。
→知らないキャラに神経質にならずに、気に入ったキャラ視点で。

◯ドグラ・マグラ
・信頼できない語り手

◯亜美ちゃんは美人、お父さんは心配なんだよ
・「これは何?という問いを持つ」「違和感に着目する」こと。
・小さい問いを解く→大きい問いを解くの順で。
 ①「なんでこんな台詞・エピソード・人物描写が入ってるの?」と疑問を持ってしまう、不思議ポイントを見つける
 ②その小さな問いを解く(ヒントになる場所を見つける)
 ③作品について誰もが抱く大きな問いを解く

◯眠り
・自由に妄想を広げる。

◯サラダ記念日
・短歌を「解凍」する。

◯源氏物語
・古典はプロの解釈合戦を楽しむ。
→作品そのものが曲だとすれば、解釈する読み手は演奏家。一流のピアニストの演奏を聴き、改めて作曲家を理解する。

2024年5月4日

読書状況 読み終わった [2024年5月4日]
カテゴリ エッセイ

終戦時に書かれた、逆説的で本質的な人間論。

・武士道は人性や本能に対する禁止事項であるため非人間的、反人道的なものであるが、その人性や本能に対する洞察の結果である点に於ては全く人間的なものである。

・堕落ということの驚くべき平凡さや平凡な当然さに比べると、あのすさまじい偉大な破壊の愛情や運命に従順な人間達の美しさも、泡沫のような虚しい幻影に過ぎない気持がする。

生きているから堕ちるんだ。

2024年5月5日

読書状況 読み終わった [2024年5月5日]
カテゴリ エッセイ

バランスよく、ていねいな地域案内。

2024年5月1日

読書状況 読み終わった [2024年5月1日]
カテゴリ ガイド

小説では書けなかった昭和前期、戦争の原因。
統帥権による魔法の森。

・圧縮空気(=国家成立の精神以上、イデオロギー未満)としての朱子学・教育勅語。モダン過ぎた大日本帝国憲法とのバランス。

読書状況 いま読んでる
カテゴリ 人文・社会

・科学と社会のズレ、問いの違い。

読書状況 いま読んでる
カテゴリ 人文・社会

不条理で悲惨に感じる生活が、やがて慣れていき、本質的に変わらない何かを指摘しはじめるときの恐ろしさ。

2024年5月1日

読書状況 読み終わった [2024年5月1日]
カテゴリ 文芸

虜人日記を下敷きにした冷静な歴史の検証。
時制の峻別。その時代の目撃者の証言か後代の記録か。

戦時中の愚かしさ、それが今なお変わらぬこと、二重に戦慄する。

・予定稿を押し付ける記者となれ合う取材者、世論。これに侵されていない記録としての虜人日記。

◯人びとは危機を叫ぶ声を小耳にはさみつつ、有形無形の組織内の組織に要請された日常業務に忙しい。そしてこの無反応を知ったとき、危機を叫ぶ者はますますその声を大にする。しかし声を大きくすればするほど(略)人びとは耳を傾けなくなる。(略)だがそのとき、だれかが、危機を脱する道はこれしかない、と具体的な脱出路を示し、そしてその道は実に狭く(略)全員の過半数は脱出できまい、といえば、次の瞬間(略)一斉に総毛立って、その道へ殺到する。

◯バジー海峡の「死のベルトコンベア」
→制海権のない海に一坪14人の兵員を満載したボロ船で戦地に送る。戦わず何もせず死ぬ。士気、思考の喪失。
→意図、方法論、組織立ったこともなく場当たり的な対処で結果としてアウシュヴィッツ以上の効率で大量殺人装置となる。
→同一方法、同一方向へとただ繰り返し拡大にのみ終始し、その極限で崩壊。「やるだけのことは、やった」

◯「員数」という架空の数を実数と仮定しての命令だから、はじめから実行不可能。できぬといえば精神が悪いと怒られるので服従するが、実際問題として命令は実行されていない。

◯「相手を自分と同じ人間とは認めない」という立場で発言しており、その立場で相手の非を指摘することで自己を絶対化し、正当化している。
→一方で、ゲリラとの会話により交渉している個人もいた。

読書状況 いま読んでる
カテゴリ 人文・社会

司馬史観の集大成として、明治国家を概観する。
歴史が横でつながる。

◯三人の国家設計者
・改造:小栗豊後守忠順(上野介)
・解体:勝海舟
・文明という普遍性:福沢諭吉

・小栗上野介による横須賀ドックで、江戸幕府は土蔵付の売家に。

◯藩の多様性
・薩摩:物事の本質をおさえておおづかみに事を行う政治家や総司令官
・長州:権力操作に長け、官僚機構をつくり動かす
・土佐:野にくだり、自由民権運動(長曾我部家から続く一領具足の郷士)
・佐賀:実直で有能な事務官(鍋島家の長崎警備かたの軍洋式化、学問・科学技術発達)

◯廃藩置県
・津田出による和歌山でのミニ明治国家

・廃藩置県の鎮魂としての荒城の月

・倒幕の中の保守家・島津久光

・植民地支配の恐怖が廃藩置県を円滑に進めた

・明治政府とプロテスタントの親和性

2024年4月30日

読書状況 読み終わった [2024年4月30日]
カテゴリ 人文・社会

禅の源流、真髄を知るには身体知が必要か。
要再読。

2024年4月28日

読書状況 読み終わった [2024年4月28日]
カテゴリ 人文・社会

理想的本箱から。
時間の流れの不思議。

2024年4月21日

読書状況 読み終わった [2024年4月21日]
カテゴリ 文芸

死との距離。
豊穣な描写。

読書状況 いま読んでる
カテゴリ 文芸

さらりと読める、アートの一側面。

◯アートは「常識をぶち壊す工夫」「違和感を内包するもの」「いまの時代ではまだ実用性が見えていない、それでも存在できるもの」

・現実から遠いか否か ※美しさは必須ではない

・思考の柔軟さ、視野の広さ、多面発現のきっかけ。

・アートはそれが目的、行き止まりであり、自分を見つめることになる。

◯視覚芸術、言語芸術、聴覚芸術
・触覚、嗅覚、味覚は解釈が入り込まず論理構造がはっきりしないため、アートにならない。

・現代アートは、心に響く理由をいかに「言語化して、説得できるか」「哲学が込められるか」
→批評家、投資家が「意味」を見出すか
→プロモーションスキルの一面も

・アートを育む「多様性への寛容の精神」

・アートを進化論で捉えると、生存の余裕の誇示、「子孫繁栄」という「これ以上ないくらい実用的」なところから始まった。

2024年4月15日

読書状況 読み終わった [2024年4月15日]
カテゴリ 人文・社会

企業分析の手前の下拵え。会社四季報の読み方はわかりやすい。

第1章 企業を知るための基礎知識

◯出資比率
・50%:親会社/子会社
・15〜50%:持ち分法適用会社(グループ会社、関連会社)

◯DtoC(Direct to Customer)

◯リクルートのよる企業分類
・5000人以上:巨大企業
・1000〜4999人:大企業
・300〜999人:中堅企業
・300人未満:小規模企業

◯外資系企業:明確な基準なし

◯東証の新上場区分
・プライム:国際的に展開する大企業1838社。上場基準株主数800人以上、時価総額100億円以上
・スタンダード:国内中心に事業展開する企業1449社。株主数400人以上、時価総額10億円以上
・グロース:成長性の高い新興企業509社。株主数150人以上、時価総額5億円以上
(2022年12月16日時点)

・295社がプライム上場基準を満たしていないが、4年の経過措置あり

第2章 有望企業の探し方<新聞・TV・証券アナリスト>
◯日経新聞:1面見出し、経済面、私の課長時代、大機小機

◯日経平均株価:増減、総額の記録。ニュースとの照合・推測

第3章 有望企業の探し方<会社四季報・就職四季報>
◯会社四季報9カ所見ればその企業がわかる
・業績:①売上高、②営業利益(本業によって儲けた利益)
→記載の期間でトレンドを見る

・経営力:③年(平均年収)、④左隣括弧書(平均年齢)
→同業他社と比較する

・将来性:⑤海外(海外売上比率)
→大きいほうが将来性がある

・会社の実力者:⑥役員、⑦株主
→オーナー企業か

・安定性:⑧自己資本比率
→同業他社と比較する

・⑨ キャッシュフロー

2024年4月15日

読書状況 読み終わった [2024年4月15日]
カテゴリ ビジネス

心の全面化と、それによる消失の時代。通史から見る心の正体。

◯人間や心は、与えられた自明の存在ではないし、必然的で本質的な存在でもない。また、唯一で決定的でもないし、変容不可能でもないし、理想へと収束もしない。あらゆる歴史があり得たように、あらゆる人間とあらゆる心があり得た。本書はそういう視点に立つ。
◯ひとつの「発明」であると考えた上で、その創造と更新の歴史を辿ってみる。

第1章 心の発明
ホメロスからソクラテスへ、すなわち「風のような心」から「制御する心」への移行。
自律した統一体としての心への変容。

◯ソクラテスによるホメロスの否定の本質とは、世界を視ることによって生きるのではなく、世界を視た上でさらにそれを観るというメタ意識の創造であった。
◯世界について考えるのではなく、世界について考えたことについて考える。

第2章 意識の再発明と近代
◯デカルトの行った意識の再発明。
 ①世界の存在を根拠づける基盤
 ②精神と身体を区別して身体を機械とみなす
 ③魂の物質への変更、意識という新たな認識装置を概念化

◯パスカルの「弱い心」
 ・「人間はひとくきの葦にすぎない。自然の中で最も弱いものである。だが、それは考える葦である」
 ・私は宇宙に呑みこまれる存在でありながら、同時に宇宙を呑みこむ存在なのだ。人間が考える心を失うのであれば、人間はまたたく間に宇宙に呑みこまれ、無限の深淵に消えてしまうという恐怖の表れでもある。
 ・神と接続しなくてもかろうじて幸福でいられるのは、神とは無関係に自律して心を充実させることができるからではなく、単に問題から目を逸し、気を紛らわせているから

◯気晴らし=慰戯(divertissement)→多様性、娯楽

◯神が地上から去るとき、「労働する心」と「消費する心」の二人の落とし子を残して去った。

◯カントの意識論は、意識に可能な思考と不可能な思考を規定する、鋭くて冷静な、しかし機械的で形式的なモデルであった。
・世界に始まりや終わりが存在するかというような問いは、人間に備わった思考の形式に適合しないアンチノミー(二律背反)

◯カントにおける心は、いわば世界の表面的なデータを受容する形式的なアプリケーションである。心ははじめから(ア・プリオリに)すべての人間にインストールされているデフォルト機能。
・感性:対象に触発されて認識の素材として表象を得る受動的な能力
・悟性(知性):感性によって受け取った表象を組み合わせて概念を形成する積極的な能力
・構想力:両者を媒介する能力。多様なデータ(感性の受け取る表象)と各オブジェクト(悟性の与える概念)を繋ぐインターフェースのような役割

◯カントは、人間の心は「全能でありながら無」(完全なシステム/空虚な心)であることを要請した。このことは、一方でではこれまでの心の問題を見事に解決した方法でありながら、他方では心の問題を抹消してしまったとも言える。

第3章 綻びゆく心
◯フッサール:流れであり、出退であり、射映の起点となる身体があり、自己と他者の響き合いであり、生活世界から取り出されるものである。
・出現、退場という捉え方が無意識を発見する。

◯ハイデガー:道具、気分、生命

第4章 認知科学の心
◯20世紀の心をめぐる3つの考え方の潮流
 ①心の本質を「言語」であると捉える
 →世界と意識を言語化(言語化できる世界に限定される言語的転回)→究極の言語である記号の操作による計算→コンピュータによる計算システム→システムによるシステムの再生産→心の人間からの技術的な離脱(テイクオフ)
 ②心を「神経科学的な現象」であると捉える
 →神経細胞の膜電位における電気パルスの伝達/非伝達の0/1システム→①②で「心はコンピュータである」という完璧なメタファー獲得...

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読書状況 いま読んでる
カテゴリ 人文・社会

たっぷりとした文章。
文章に迷い込む。読みにくさの極致に見える文体は、再び読むとなぜか生活の息遣いまでとらえ、途端に立ち現れる情景。不思議な読書体験。

2024年3月31日

読書状況 読み終わった [2024年3月31日]
カテゴリ 文芸

人類の叡智の大系。

フランスを起点にした世界の見方としてもおもしろい。

2024年4月20日

読書状況 読み終わった [2024年4月20日]
カテゴリ 人文・社会

日本の人事の歴史を概観。
職務無限定で誰でも階段を上る、日本の雇用システムの構造の変遷。

・欧州の入職までの公的職業訓練制度。欧米のインターンシップ。

【黎明期】
・戦前の身分制、戦中の職工協同、戦後の経営刷新の混乱、左翼解放による過激な労働争議を経て、労使協調、誰でも階段を上がる社会へ。
・当時一部だった「三種の神器(終身雇用、年功序列、企業内組合)」の発見、目指すべき方向とされた流れ。

【完成期】

読書状況 いま読んでる
カテゴリ 経済・政策
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