こわれた腕環: ゲド戦記 2 (岩波少年文庫 589 ゲド戦記 2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001145892

感想・レビュー・書評

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  • お墓の地下迷宮とか、名なき者たちとか、恐い要素が沢山のなかで、ハイタカとテナーのやりとりが驚くほど健全で明るくて普遍的でホっとする。

  • 再読本。
    若い頃はもっとありありと、映画を観るようにアチュアンの迷宮での出来事をドキドキしながら読んだけれど、年老いて、想像力が衰え、イメージも面倒になってきたのを実感。それでも充分の読み応えと、刺さる言葉の数々。自由は不安と責任を伴う。
    自ら決めること。ゲドの宿命に応じた生き方も、今なら納得。
    この後の巻を読むのも楽しみ。

  • アチュアンの墓所の「名なき者」に仕える大巫女アルハ。地下迷宮は孤独な彼女の友でもあったのかもしれません。迷宮の地図って心が躍りますね。闇に馴染みすぎた彼女が、真の名「テナー」をとり戻し、不安を克服して自分を解放できてよかったなぁ。
    「影との戦い」で、孤島の老女がゲドに渡した半欠けの腕環の由来が、ここで明らかになるんですね。

  • 闇にいるアルハと闇を知るゲド。光にたじろぎ自責にかられ何度も闇へ戻ろうと一人になろうとするアルハと、アルハの内なる灯を見つめ手を広げて待つゲド。マインドコントロールから自ら脱する物語とも読める。
    [闇の奴隷として、なじみある場所で、囚われた、けれど安穏な暮らしを続けるか、それとも、たとえ困難でも自由と光明の世界に出ていくか](訳者あとがき)
    正義を希求する誠実な旅。

  •  特殊な風習で縛られている環境の中で、自分はテナーかアルハかどちらかを迷っている様子に共感した。
     自分が自由になるのか、奴隷のようでいるのかを選んでも、自分を愛してくれた人を裏切った罪悪感の苦しんでいる様子が、自由の大変さを表していた。

  • 第一巻の魔法の世界を期待して読み始めたら!
    全然違う!
    なんだこの閉鎖的過ぎる世界は!
    というかゲドはどこ!

    となったけどちゃんと最後まで楽しく読めました。

    とにかく最初からテナーの思考回路というか、価値観の描き方が凄く良い。確かにそう思うよな、私も行った方がいいと思う….とまるで自分がテナーと共にあるような錯覚を覚えながら読んでいた。

    テナーとして生きるのか、アルハとしてここに留まるのか。テナー自身の葛藤と、その後選択をしてからもなお自由の重さに潰されてしまいそうになるテナーの姿を見て自分自身の愚かさとテナーの強さに涙した。奴隷でいることは簡単だけど、自由でいることって本当に険しい道なんだよな……でも自由にいることこそが人間の目指す場所なのかと思うと、自分の立場に甘んじる今の生き方が恥ずかしく思えた。

    ちゃんと今回も冒険のワクワク要素もあり、世界観のつくり込みに圧倒される場面も沢山あり本当に最後まで楽しく読めた。このまま3巻へ行きます。

  • 異常な環境も慣れてしまえばそれが普通だと思い込み、
    迷い込んできた普通のものを異物だと思い込んでしまう
    風習とか宗教とかの怖さを思い出した。
    縛られていた人が自由を得ると選択する恐怖を感じるのか、と読みながらびっくりしたけど、そりゃそうか、選択できる自由があるって素晴らしいんだなと改めて思った。

    人に与えられたものだけで生きていくより、自分で選択して私は生きていきたい

  • 1は自分の内なる影との戦いだったけど、2は影や死の世界と繋がる真っ暗な地下の迷宮で、他者を闇から救う物語。今回の舞台である、名を持たぬ者(?)の墓がとにかく暗い!描写で暗闇がありありと表現されている!恐ろしい姿のモンスターは全く現れないのだけれど、こわい。

    人間の慣れとは恐ろしいもので、ひどい環境や扱いを受けていたとしても、それが当たり前になってしまうことがある。気付かなくなってしまうのだ。違和感って実はすごく大事なのかもしれない。主人公の彼女も自分の小さな違和感を見逃さなかった。それが彼女の運命を大きく変えていく。テナー、よかったね。自由は辛く厳しいこともあるけれど、自分で選択する、ということが生きることだと私は思う。アルハのままでは、どうしたって幸せにはなれなかっただろう。しかし、生まれてきてすぐに過酷な運命を背負う、というのは、ひどい話のように思うが、誰も自分の親も国も選べない。容姿も能力も選べない。不平等な世界で、それでも、どう生きるか、の選択ひとつひとつが自分を人生を決めていくんだ。きっと。彼女が墓の番人から解放された夜の星空の輝きに胸を弾ませたその感覚を、ずっと持って生きたいものです。

    2021.05.10

  • とても面白かった。第一巻・「影との戦い」の時は傲慢だったゲドが「こわれた腕輪」では人に寄り添い、優しく、ミステリアスな青年になっていて、成長を感じた。闇と葛藤するテナーと「テナー」の心を尊重するゲド。この二人の冒険譚は心を温かくさせてくれる。

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著者プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル・グィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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