- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022606075
感想・レビュー・書評
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なかなか読み進むことのできなかった、「ベトナム戦記」をやっと読了。多分、年単位で時間がかかっている…
先にこっちに興味があって、行く前にかその後に読み始めたか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
たなぞうで紹介されていて出会えた本。面白かったです。著者に対してほとんど知識がなく恥ずかしながらお酒やファッションにこだわりのあるおしゃれな冒険家、文筆家、程度のイメージだったので記者時代の仕事には初めて触れました。アメリカ軍に従軍して取材したり、サイゴンで見聞きしたことが書かれています。戦闘やデモの緊張感と、目覚めたらいつもどおりチャシュメンをすすっている著者と、公開処刑されるベトコンの青年と、意外と気楽に本音を語ってくれる米軍兵士と、どからともなくおそってくるベトコンに対する恐怖と、きっと本当にそうだったのでしょうが、激しい戦闘があれば普通の生活もあったのだといまさらながら感じさせられました。描写が記者というよりはすでに作家の文章という感じで、多少キザだなとも思いましたがこれが開高ワールドなのかしら。
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若い頃はまってしまい、抜け出すのに苦労した。
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ヴェトナムに行って、あの国のたくましさを体感しましたが、この本を読んでいったことが、見方を正してくれた気がします。
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ベトナム戦争は、私が物ごころついたら始まっていて、突然終わったのは、確か高校生のころ。正直、終わらない戦争だ、と思っていたのを覚えている。そして、アメリカがベトナムと戦争しているのではなくて、ベトナムの内戦にアメリカが兵を出している、というのがどうにもピンとこなくて、(だって、資金で圧倒的に優るアメリカがどんどん泥沼状態に陥って“じり貧”だったし、日本に『休暇』でやってくるアメリカ兵たちの話や、小田実がやっていたべ平連の話とかには、10代の少女だった私にも随分心かき乱されたものだったから)何がどうなって始まって、いったい何が行われていたの??という疑問は、気持ちの中に残っていた・・・。で、今回ご縁があって開高健の「ベトナム戦記」を手に取ったわけですが、そっかぁ〜〜〜〜、そうだったのかぁ〜〜〜の連続でただただ驚いておりました。小説家の開高健が、小説に行き詰まり、ならばということで、ベトナムに飛んだ、という話を角田光代さんの新刊で読んだゆえ、なのですが、開高さんは100日間の間、南ベトナムのあらゆるところにカメラマンと共に出かけ、ベトナム兵・ベトコン・将軍・僧・そして一般ベトナム人から突っ込んだ話を聞いている。ベトナムという国の歴史から、その国民性、アメリカ軍が介入したことにより、ベトナム兵がベトコンに移行していくさま、など、ホントによぉ〜〜〜くわかったし、彼の筆致から伝わる現地の湿った気温、猥雑さ、無力感、頭の芯がキリキリするほどの恐怖感が今も私の身体にまとわりついているよう・・。映画「地獄の黙示録」の場面も多々思い浮かべながら読んだのだが、日本人の目から見たベトナム戦争、これはもうアメリカが撤退するしかないだろう、と言っているのがアリアリで、こんな素晴らしい戦記を日本にもたらした開高健! ため息が出てしまう。私が10代のころに出てたんだから、そのころに読みたかったなぁ。それだけが残念でたまらない。
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僕と同じ年代にとっては終わった戦争、過ぎさった過去のひとつとして結果ぐらいしかしらないベトナム戦争のルポルタージュを開高健が書いたこの作品。現地の緊張感が伝わり、なんとも言えない気持ちにさせられる。なんのための戦争だったのか?アジアの小国に得るものはあったのか?理不尽な結果しか残っていないのではないか。
攻撃をすればするほど農民をベトコンに変えてしまう負の連鎖にワシントンは気づけなかったという下り、世の中のすべてのことに言えるんだろうと読んでいた。力による支配は何も生まない。 -
開口健は、ゲリラに襲われて自分の死を感じた瞬間の事を書いています。
銃弾をよけるために必死で木のかげに飛び込み、自分の死を目前にした時に見たモノ...。
それは、「アリ」でした。
どんなに激しい戦争を行っていても、アリ達は自分のいつもの生活を続けている。
開口健は、このアリに日本にいる日本人の事を見たのではないのでしょうか?
多くの人がベトナムの戦地で命を失っている。
しかし、場所を離れると日本ではオリンピックでお祭り騒ぎを行っている。
しかも、このアリ達はこのベトナム戦争を目の当たりにしているにも関わらず、いつもと変わらず、何も変わらない日常を過ごしている。
人間の生死をかけている行動も、地球規模でみると取るに足らない事なのか...。
開口健は、「人が生きる」という事の意味にすら疑問を持ったのかもしれません。
考えてみれば、人間の「感じ方」には不思議な事が多くあります。
戦争で多くの命が失われる事に対しては、遠くで起これば起こるほど無関心なのに対して...
比較的近くで起こる、教師の暴行による生徒には強い同情心を持ちます。
もちろん、どちらの命が尊いと比べる事は出来ません。
しかし、「戦争」となると命に対しての考えが軽視されるのはなぜなのでしょうか。
人は、自分自身で経験をした事でないと本当の意味で理解をする事は出来ない。
この本を読んで、そう痛感をしました。
頭で理解をしたフリなら簡単に出来ますが、本当に「理解」する事は実際の経験を伴わないと出来ない。
しかし、そのために全てを実践するとなると多くの犠牲を伴う事が必要になります。
だからこそ、私たちは机上の空論と言われても「学ぶ」必要があるのだと思います。
ただし、必ず忘れてはいけないのは「私たちは本当の意味では理解をしていない」という事。
これを忘れてしまっては、学ぶ事の意味すら無くなってしまうとCarrieは思います。 -
ベトナム戦争時に従軍した著者によるお話。著者のちょっと滑稽な物の書き方が、小田実氏の”何でも見てやろう”を思い起させた。ただ文章が、私の感覚と合わないのか、同じベトナム戦争について書いている近藤紘一氏と比べ、言葉がすっと入ってこず、しっくりこない箇所が少なくなかった。ただ最後の従軍中にベトコンに囲まれて乱射を受け、命からがら逃げ出す箇所、その後、戦争について思う箇所が非常にリアルで印象に残った。
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「隊長殿。ヨロシケレバアナタヲ好キニナリタイノデアリマス。メルシ!」
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ひたすら重い。
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1964年末から1965年初、ということは40年以上前の話であるが、ベトナム戦争初期の頃に現在のホーチミンシティ、当時のサイゴンに住み、また実際に米兵を含む政府軍の作戦にも従軍し危うく命拾いをした筆者の現地からのベトナム戦争報告。ベトナム戦争の経緯・経過はにわかには記憶にのぼってこないけれども、国と国の関係、とはほとんど何の関係のない立場の弱い人たちが結局は一番悲惨な目にあうという構造には、戦闘自体の悲惨さに加えて二重の痛ましさを覚えざるを得ない。
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著者の約100日間にわたるベトナムでの体験を記したルポである。
ベトナム戦争が徐々に泥沼化していく状況下のなか当時の南ベトナムの人々の姿を著者の筆が生々しく伝える。
人々が大きな渦に飲み込まれ、それに抗し難い状況に陥っていくいく姿は戦争の虚しさを感じずにはいられない。
間違いなくベトナム戦争に関する素晴らしい作品だ。 -
この人のいう「いじらしい」ってことばがほんとやさしさにみちててよい。
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1965年あたりのベトナムの様相を報告したルポである.本書を読むと,このころから既に南ベトナム側の情勢が悪いことが分かる.
そして,平凡な南ベトナムの農民がベトコンになってしまうくだりは切ない.本当であればベトナムの豊穣な水田を耕し生活する彼らが,なぜ武器を手に取るのか.それは,自分たちの生活が脅かされるためである.一方でベトナム戦争は資本主義勢力と共産主義勢力の代理戦争とも言われている.ベトナムの農民は,自分たちに関係のない思想の対立のために,武器をとり,そして命を落としている.戦争において罪もない人々が命を落とすことは切ないことだと思う.しかし,その人々が自ら命を落とす選択に迫られたことは尚切ない. -
ベトナム従軍記。
らしいが、受けた印象は、戦争当時のベトナム国内の様子。
従軍記なら下記の「戦場カメラマン」のが凄いかも。
ただ、解放軍の少年兵が広場で公開処刑される様や国内のお坊さんたちの様子(仏教国なので)など別の意味で興味深い部分は多かった。 -
なんか週刊誌の連載を本におこしたらしく、時間や移動の推移がわかりづらくてイマイチだった。
仏教(宗教)信じる者の高潔さというか、誰にも犯すことのできない芯の強さみたいなのはハンパねぇって思った。長い歴史の持つ重みなんかねぇ。
それに対し、たかだか100年くらいの歴史しかないのに共産主義もつえぇ。
それに莫大な資本力を持つアメリカ、それに便乗するベトナム将校とかが絡んでくるからややこしい。
ほんと、よくこの国統一できたよなぁ。。 -
今読んでもいい!
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戦場でのベトナム兵はまるで神経がない。呻きもせずもだえもせずピンに刺されたイナゴのように死んでいった。そうかと思えば手榴弾を運ぶ少年はもっと危険だ。アメリカ兵であれベトナム兵であれジャングルに連れ出しマシンガンなど持たせたら彼は豹のように駆けまわって乱射し人を殺すだろう。あるいは泥の中で犬のように殺されるだろう。少年は英雄にもなれば殺人鬼にもなる。よってその少年をこの場で蜂の巣のように射殺する。衝撃による反射がまだ残っているのでこめかみにとどめの一発。”グー・ド・グラース”(慈悲の一発)を撃ち込む。これが戦争だ。氏はこの体験を「私の中の何かが粉砕された。」と綴っている。地獄絵図そのものだ。平和とはなんだろう。考えてしまう。のだ。
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2007.05.07