朝日文庫時代小説アンソロジー『なみだ』

  • 朝日新聞出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649942

作品紹介・あらすじ

貧しい娘たちの幸せを願う蚊帳商のご隠居「松葉緑」、親子3代で営む大繁盛の菓子屋「カスドース」、訳ありの旅人と常連たちが集う街道沿いの居酒屋「『なるみ屋』の客」など、ほろりと泣けて心が温まる傑作7編。

感想・レビュー・書評

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  • 人情と涙をテーマにした7編のアンソロジー。

    《つゆかせぎ》
    旗本、大久保家で勝手掛用人は、妻が、竹亭化月の筆名で戯作を書いていた事を、亡くなってから知った。

    《松葉緑》
    貧しい浪人の娘・美音は、呉服屋「西村屋」の内儀に見込まれ、奉公する事に。その後、蚊帳商「山里屋」
    の内儀になり、隠居後は、貧しい娘を集めて、稽古を付けていた。

    《カスドース》
    出生にある秘密を持っている治兵衛は「南星屋」と言う菓子屋を営んでいたが、店で売った「印籠カステラ」が、平戸藩松浦家のお留め菓子“カスドース”ではないかと疑われる。

    《「なるみ屋」の客》
    居酒屋「なるみ屋」に、旅の浪人夫婦が、その店に来て酔い潰れていた男を迎えに来た、お奈津の事を聞き出した。

    《目が覚めて》
    腕の良い簪職人の猪吉は、酒が過ぎると、記憶を無くす悪癖があった。師匠の娘・お咲の婿が、同い年の弟子・幸助と決まって、ますます酒を飲むようになった。

    《皿屋敷の真実》
    鏡磨ぎ師の梟助は、物知りで、得意先の老舗の瀬戸物商「但馬屋」の奥様は、梟助と話すのを、楽しみにしている。
    「但馬屋」の一人娘の真紀は、大店に嫁いだが、八ヶ月で、出戻ってきた。

    《菖蒲湯》
    仙台堀で溺れかけていた、塀吉とそれを助ける為、飛び込み、溺れかけた徳兵衛。
    作治は、金槌だったがために、見ているしかなかった。

    「なみだ」と言う題名なので、泣く気満々で、読み始めたが、泣く事もなく、アッサリと、読了。

  • 【収録作品】「つゆかせぎ」青山 文平/「松葉緑」宇江佐 真理/「カスドース」西條 奈加/ 「『なるみ屋』の客」澤田 瞳子/「目が覚めて」中島 要/「皿屋敷の真実」野口 卓/「菖蒲湯」山本 一力
     人情話のアンソロジー。
     己の分を弁え、目立たぬよう生きてきた「私」が逞しい庶民の生き様に触れる「つゆかせぎ」、貧しい娘たちの行く末を思う大店のご隠居が行う恩送りの様子を描く「松葉緑」、菓子屋が門外不出の菓子を扱った疑惑を晴らそうとする「カスドース」、わけありの親子を常連客と店主が見守る「『なるみ屋』の客」、腕はいいが酒癖の悪い簪職人の身に降りかかるトラブルを描いた「目が覚めて」、鏡磨ぎ師の老人の得意先での皿屋敷伝説談議が娘の心を解きほぐす「皿屋敷の真実」、父親が金槌であることに負い目を感じる息子の心を思いやる「菖蒲湯」。
     互いに思いやって助け合っていく姿は尊い。しかし、それも自分の余裕が必要。

  • オール讀物2014年7月号つゆかせぎ:青山文平、月刊J-novel2011年4月号松葉緑:宇江佐真理、小説現代2010年3月号カスドース:西條奈加、問題小説2009年8月号「なるみ屋」の客:澤田瞳子、小説NON 2017年2月号目が覚めて:中島要、2015年4月文春文庫ご隠居さん書下ろし皿屋敷の真実:野口卓、読売新聞社サイトyorimo連載を加筆修正し2009年12月中央公論新社まねき通り十二景から菖蒲湯:山本一力、の7つの短編を収録して2021年6月朝日時代小説文庫から刊行。青山さん「つゆかせぎ」の微妙なバランスで成立する人々の人情に味がある。澤田さん「なるみ屋の客」の客とご近所さんの人情勝負が心地よい、野口さん「皿屋敷の真実」の出戻り娘が元気を取り戻す所作とご隠居の皿屋敷、女性の幽霊の蘊蓄が楽しい。野口さんのご隠居さんシリーズが気になる。編者の細谷さんのチョイスが良く解説も面白い。

  • 円熟の短編七編とキャッチにはあるが、円熟とはいいかねる。四人の直木賞作家の作品があるが、これを「なみだのアンソロジー」と括るのは無理がある。テーマがそれぞれ違うのではないか。

  • 江戸モノのアンソロジーでしたが、インパクトは弱い。強いて挙げれば青山文平さんの文章が綺麗でした!

  • お涙ちょうだいみたいな感じかと思ったがそうでは無い話が多かった。
    連作ものが多いので通して読んだ方が良いかも。

  • テーマは「なみだ」だけど、そんなに涙涙してないと思う。

    不条理と隣り合わせに、ひたむきに生きる人たちの息遣いを感じる作品集。こういう味わいは時代小説ならではでしょうか。

    特に、親子が出てくる作品がそれぞれに印象的でした。

  • 時代小説の良さを再認識させられる
    珠玉の一冊!
    時代小説の名手たちの
    それぞれの作風を存分に楽しめる、
    何とも贅沢過ぎる傑作短編集。
    「底本」を深読みすべく
    本屋に走らねば…。

  • 逸品揃いというよりは、だんだん落ちていく感。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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