- Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041014288
感想・レビュー・書評
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こういうの!こういう道尾さんのお話をずっと待ってました!
ラジオのパーソナリティを務める、その見た目とはあまりに不釣り合いな、耳にした人が思わず振り返るような美声の持ち主、桐畑恭太郎が主人公。
そのギャップがキーポイントになって物語がどんどん進行していく。
エンタテイメントがっつりなんだけど、でもそれが楽しい。んなわけあるか!な展開満載、バカバカしくて痛快、可笑しくてでも優しくて、そして切なくてあったかい。
泣けちゃうんです。
道尾さんの書くこういうお話が大好きです。
ちょっと暗いうら悲しいお話ばっかりじゃなくて、もっともっとこんなのを書いてほしいな~。
『カラスの親指』が好きな人は楽しめること請け合い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
泣けちゃった。
弱さをさらけ出して、助け合って、
格好いいじゃん -
何となく非現実的で、作り話っぽい軽さを感じながら読んだが、結末でのどんでん返しがとても切なく、いとおしいものを感じさせてくれた。変わりたいと願うための嘘が、つらい事実にあっても生きていける現実をつくってくれる、そんなことを想った。
15-189 -
ホワイトデーの今日も馴染みの店「if」に入ったラジオパーソナリティー桐畑恭太郎。輝美ママに常連の百花のイタズラに引っ掛かり、常連の石之崎のあとに来た初めて見る十八、九の女の子は放心状態で「コースター」と呟きそのまま帰っていった−
◆「笑うハーレキン」以来の道尾作品2作め、この2作しか読んでないからいつもこういうカラーかわからないけど凄腕の刑事やら探偵やらスパイみたいな技術があるわけじゃない、「一般人巻き込まれ」型。前半、わけのわからんイタズラが繰り返されて何の意味あるのかとちょっとイライラ。
でも、嘘は塗り重ねて二転三転。「嘘だ」と思っても助けにいったみんな、最後の最後にあかされた真実に…。・゚・(ノД`)・゚・。 -
前半、どこに向かっているのかわからなくて、読み進めるのに苦労した。ifに集まる面々は、キャラもたっていて面白いのだけれど、最後はズンと重かった。そうだったのか…子供の頃の透明カメレオンのあたりから何かあるとは思ってたのですが、みなさんにそんな過去が…。切ないお話でした。
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声は抜群だけと容姿に難ありの、深夜ラジオのパーソナリティが主人公。
彼を始め、深夜小さなバーで疲れを癒す常連客が、偶然飛び込んできた若い女性と関わったことから、ハチャメチャな計画に巻き込まれるコミカルな展開、と思いきや…。
大人がくすくす笑えるずっこけ振りは、荻原浩を思わせ、こんな面白さを出せる人だったんだと意外な驚き。ばかばかしく思える小道具も、ことごとく伏線として機能していて、よくまあこれだけ散りばめたものだと感心した。
最後まで読むと、「if」というバーの店名さえもが、大きな意味を持ってくる。
だからこそ、ラストで明かされる真相には、ショックを受けた。耐え難い真実と、再生のための嘘。それまでの登場人物の笑顔が、ピエロの泣き笑いだと気づかされる。
どんでん返しが用意されてるとは言え、この作品の醍醐味はトリック的な驚きではない。ある程度年齢と経験を重ねた、大人が楽しめる作品だと思う。
私にとっては、作者のベスト作品だ。 -
(15-49) こういう優柔不断な男性って好きじゃないんだよなあ、おまけに彼に絡む女性には反感しか覚えない、と、初めのころはいらいらしながら読んでた。脇の人たちが結構魅力があったので、途中で止めるほどではなかったけど。
それがふと、書かれているとおりではないかもと思えてきて。それはそうだ道尾さんだものね。で、ラストになだれ込んでから、そんな事だったとは・・・そんな真相を知ったら私泣いちゃうよ、ほら涙が出てきちゃった。読んで良かったです。 -
カラスの親指と同じような感じ。
父親の会社を潰した人物への復讐に協力することになった主人公のパーソナリティーとバーの常連客。色々なドタバタ劇があり、その中にも色々伏線があって楽しめた。 -
『透明カメレオン』 道尾秀介 角川書店
冴えない容姿にそぐわない「特殊」な声を持つラジオパーソナリティ恭介。
ちんちくりんの見た目と、声のギャップを気にしないでいられるのは、放送局のブースと、行きつけのバー「if」。
そんな彼が「if」で仲間と飲んでいたある晩、ずぶ濡れになった女性が突然店に入って来る。ひょんな事から彼女の復讐計画に仲間もろとも巻き込まれ…。
実は道尾秀介作品を読むのはこれが初めて。作風に一切先入観が無く、これを読んでみて、とても良かった。楽しくて、笑えて、謎解きに驚いて…。最後の方は、結構感動して。そして…遅く帰宅した夫に食事を用意して、さて、と最終章を読み始めたら…夫に気取られ無いように、涙を堪えるのが精一杯でした(T ^ T)
切ないけれど、優しい気持ちになり、知らない誰かの幸せを祈りたくなりました。変わったタイトルも、洒落たバーの名前も、読んで初めてしみじみと心に染みる物語でした。
ある種の「嘘」と「小説」は、人を傷つけず、救いを与えてくれる点で似ているのかも。好きな作品になりました。