- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041021347
作品紹介・あらすじ
水やりはいつも深夜だけどは窪美澄さんの小説です。セレブのママとしてブログを更新していきながらも周囲からの評価に怯えている主婦。仕事が忙しく子育てに参加できなくて妻などからうとまれている夫。自己嫌悪になっている主婦や義母に戸惑う女子高生など。同じ幼稚園に子供を通わせている家庭の生きる姿を描いている五つの物語です。
感想・レビュー・書評
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『これがほんとうに、おれが望んだ家族のカタチなんだろうか、という思いがふいに胸にわき上がる』。
この世には数多の『家族』があり、その数だけ『家族』の『カタチ』があります。例えばある『家族』が夫と妻、長男、長女という四人家族だったとして、それと全く同じ『カタチ』の『家族』はどこにも存在しません。それぞれの『家族』には、それぞれの『カタチ』があり、私たちは、他の『家族』とは違う、その『家族』の中に、その『カタチ』を当たり前のように感じながら生きています。
そんな『家族』をその構成員が見る時、そこには、かつて自身が属した別の『家族』の『カタチ』と比較してしまう、そういったことが無意識のうちにあると思います。そう、自身が幼かった頃のこと、つまり同じ四人家族の子どもの側にいた時の経験というものは、そこに幸せを感じていたのであれば同じように幸せを築き上げようという思いが生まれる一方で、そこに不幸を感じていたとしたら、自分が親となる『家族』では、子どもにそんな思いをさせまい、そんな風に思うのは人として当然の感情だとも言えます。
さてここに、そんな『家族』の『カタチ』に焦点を当てる物語があります。かつて、『父と話らしい話をしたこともない』と子どもの頃を振り返る男性が主人公の一人を務めるこの作品。そんな男性は『大学に受かっても、就職が決まっても、おめでとう、などと言われた覚えはない』と過去を振り返ります。しかしその一方で、自分が父親となった『家族』を見るその男性は『おれと、章博もおんなじことをくり返すのかな、と思うことがある。けれど、それはいやなのだ』と息子との関係を思います。
この作品は、『いったいおれのどこが悪かったのか?』と、今の『家族』の『カタチ』に戸惑う主人公たちの物語。『ほんとうの私。そのほんとうが自分でもよくわからなくなっている』と自身の感情のあり方に戸惑う主人公たちの物語。そしてそれは、『家族』の今に悩み苦しむ主人公たちが、『ここから逃げたらまた同じだ』と今の『家族』を真正面から見据えるその先に、『家族』の『カタチ』とは何かを読者が目にする物語です。
『私はいまだに中学生のときに自分の身に起こった出来事をうまく整理できていない』と『制服を着た私立中学生らしき集団』が歩いてきたのを見て緊張してしまうのは主人公の杉崎。そんな杉崎は『幼稚園のママたち』がいるスーパーを避け、『去年できたばかりのスーパーC』へと向かいます。『妊娠をきっかけにこの町に越してきて六年』という杉崎は、『子どもの教育には湯水のようにお金をかける』親たちが多いという街の『マンションの一室で、私は息が詰まりそうになっている』と感じています。『私を含めて全部で十五人』という『電車も通っていない深い山のなか』の小・中学校で九年間を過ごした杉崎は、小学六年の時、『男子たちが私の前で赤くなったりする』ことをきっかけに他の女子に睨まれるようになります。そんな杉崎を『気にしない気にしない』と『いつも助けてくれたのは、M』でした。しかし、中学に上がってさらに『いやがらせを受けるようになった』時、『その首謀者がM』でした。そんなある日、『今にも日が暮れそうな山道をMと二人で歩いて』いた杉崎、一方で『足の遅い』杉崎に構わずどんどん先に歩いていくMに『待って』と声をかけた杉崎は、『いっしょに帰ろ。ね』と追いつきます。その瞬間、『Mがカーディガンの上から私の右腕を嚙』みました。『やめて』という『自分の声で目が覚めた』杉崎。そんな今の杉崎が、『遅くなりました』とPTA室のドアを開けると、『四人のママたちが笑顔で』杉崎を見ます。その中で『一人だけ笑わない』『拓斗君のママ。甲斐さん』が苦手だと思う杉崎。そして、軽作業が終わると、『お先に失礼します』と甲斐だけが『錆びついた自転車に乗って帰って』いきました。『私も用事があって』と言いそびれて他のママたちと付き合うことになった杉崎は、しばらく付き合った後『姑がくるんだ』と嘘をついてその場を離れます。『意味のない会話に身を浸して時間の無駄遣いをすることに、もう一分も一秒も耐えられなかった』という杉崎。そして、別の日、幼稚園の先生から電話がかかってきました。『有君、拓斗君と喧嘩して… あの、腕を拓斗君に嚙まれまして…』というその電話。そして、『園バスから降りてきた』有の『シャツの袖をぐいっと引っ張り上げ』ると『くっきりと歯形が見え』ました。『私がMに嚙まれたのと同じ場所だ』と思う杉崎。そんな過去のMとのことを引きずりつつ、幼稚園児のママとなった今の杉崎が、『ここから逃げたらまた同じだ』という瞬間を見る物語が始まりました…という最初の短編〈ちらめくポーチュラカ〉。この物語展開にして、この読後感の良さ!と驚く好編でした。
“思い通りにならない毎日。募る不満。言葉にできない本音。それでも前を向いて懸命に生きようとする人たちの姿を鮮烈に描いた、胸につき刺さる6つの物語”と内容紹介にうたわれるこの作品。『サボテン』、『サンカヨウ』、そして『ポインセチア』といった植物の名前がタイトルについた6つの短編から構成されています。6つの短編のうち大きな繋がりがあるのが五編目と六編目、他の短編は強い繋がりはありませんが、同じ街が舞台となっていること、また、幼稚園に通う子を持つ親が登場するという共通点があり、雰囲気感を見事に共通としています。
では、そんな6つの短編の中から私が気に入った三つの短編をご紹介しましょう。
・〈サボテンの咆哮〉: 『章博とおれとの間で交わされる言葉はとても少ない』と悩み、幼稚園児の息子との関係を『ボタンをかけ違えてしまった』のではと考えこむのは主人公の武博。そんな武博は『話らしい話をしたこともない』父親との関係を思い出し『父とおれの関係を、そっくりそのまま、おれと章博が受け継いでしまう』と思います。そんな中、武博は『園の運動会』で父と子の『二人三脚』に出場することになりました。
・〈ゲンノショウコ〉: 『ひとつひとつに、やたらに時間がかかる』と、娘の風花(ふうか)のことを思うのは主人公の美幸。そんな美幸は『心のどこかで普通の子どもではないのかもしれない』と風花のことを疑っています。そんな風花に『中程度の知的障害』と診断され、『普通の子どもではない』と認識した妹の彩のことを重ねる美幸。そんな美幸は同じ幼稚園に娘が通う桜沢の息子が『特別支援学校』に通っていることを知ります。
・〈かけそきサンカヨウ〉: 『自分のさ、いちばん古い記憶って覚えてる?』と言われ『自分には思い浮かぶことがまるでな』いと思うのは主人公の陽(よう)。そんな陽は、夕飯の支度をしている時に、ふと『空だ』と一つの光景を思い出します。『母の背中で揺られている』というその光景。一方で『恋人ができた』と『高校に合格したばかり』の陽に宣言した父親が再婚。そして、新しい母親・美子とその子・ひなたと暮らす陽は美子のことを 『お母さん』と呼べずにいました。
6つの短編は、幼稚園児が登場するという共通点が目立ちますが、それ以上に感じるのが、主人公が子どもだった頃の記憶と、今とを対比させ、その両者の重ね合わせの中でさまざまな感情を抱いていく様が描かれていくことです。その点で一番印象に残ったのが上記でも少し触れた〈ゲンノショウコ〉でした。『なんで、毎日こうなんだろ』と、『ひとつひとつに、やたらに時間がかかる』と娘の風花のことを気にする母親の美幸は『風花のことを、心のどこかで普通の子どもではないのかもしれない』と疑っています。『出生前診断を受けるつもりでいた』にも関わらず、『最後まで決心はつかず、夫にも反対され、検査は受けなかった』という美幸は、『出産するまで』不安が消えなかったと、出産後もその思いを引きずる日々を送ります。そんな美幸の思いに隠されていたのが『二歳近くになっても言葉が出てこなかった』という先に『中程度の知的障害』を告げられた妹・彩の存在でした。そんな美幸は『「何人きょうだい?」と聞かれ、「ひとりっ子」と即答』するようになっていきます。『私は妹の存在をこの世から消してしまった』という美幸が、例え距離を離れてもそんな妹の存在に取り憑かれていく一方で、幼稚園ママの桜沢の息子が『特別支援学校』に通うことを知った先に展開していく様が描かれるこの作品は、『障害』に真正面から向き合っていきます。『出生前診断を受ける人の多くは、最初の子どもに障害のあった親だ』という先に、『普通でない子どもを育てているからこそ、ごく普通の子どもが欲しいと思う』という感情を『誰がそれを責められるだろう?』と描いていく物語は非常な重量感をもって語られます。そんな物語が、まさかの結末によって、信じられないくらいの読後感の良い結末を迎えるのにはとても驚きました。”それぞれ家族のスタイルは違いますが、家庭のなかで小さな行き違いがあって、それを絆創膏を貼って修復していくような話を書こうと思いました”と語られる窪美澄さんの優しい眼差しを感じるこの作品。幼稚園児のママ通しのリアルな関係性を上手く演出素材にしながら、読後感の良さが共通する6つの短編には主人公の心の機微が見事に描かれていたと思います。
同じ街、同じ幼稚園に子どもが通う家庭を舞台に、そこに暮らす主人公たちの過去と今の思いを絶妙に重ね合わせていくこの作品。そこには、『これがほんとうに、おれが望んだ家族のカタチなんだろうか』と、自分が思い描く『家族』の『カタチ』にはならず、自分の記憶に残る自身の忘れたい記憶と今が重なっていくのを、意識せざるをえなくなる主人公たちの心の葛藤が描かれていました。それぞれに重量級の内容が描かれるにも関わらず、極めて読後感の良い結末に導かれるこの作品。
「水やりはいつも深夜だけど」という書名に感じる意味深さの中に、主人公たちが胸に抱き続ける感情の有り様を強く感じた作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
5篇の短編集。
子供を育てる家庭の話が続く。
「ゲンノショウコ」が印象的だった。
知的障害のある妹を持つ美幸が、自身の娘風花も知的障害があるんじゃないかと心配して心のバランスを崩しそう。
知的障害のある家族が他人から向けられる不躾な視線、態度、言葉。よく分かってるはずなのに同じ態度を風花の同級生で知的障害を持つ良樹君のお母さんに取ってしまい自己嫌悪に陥る美幸。
「ねーね、ねーね」と美幸の事を大好きな妹を、美幸も好きなのに同時に疎ましくも思ってしまう。その罪悪感が最悪の形で強制的に固定化されてしまう。
苦しいだろうなと想像する。
いい思い出だけを残して、少しでも罪悪感が消えればいいなと祈る -
ブクログを通じて知り、大好きな花になった
「サンカヨウ」にまつわる作品もあるということで、手に取りました。
一話毎にひとつの植物が大切なモチーフとなっている五つの短編集。
どれも読んでいて暗いなあ…と感じる心理描写が多かったが共感できる部分も多く、読みやすかった。
結婚はゴールじゃなくて生活していけば
夫婦間や親子間や、子育てについてや、自分自身の心の有り様での悩み事は、尽きることなく続いていくもの。
外からは幸せそうに見えていても実はそうでもないと感じている人って実は多いように思う…。
でもこの作品はどれも暗くなりすぎずに、
ちょっとしたことから光を見いだしていく展開にしているところがとても良かった!!
家族は、植物を育てるのにちょっと似ているかな…。
家族も植物も、知らない間に枯れかかってしまったりする様な難しさがある…。
でもたとえ水やりは深夜になったとしても
忘れずに水やりすれば良いんだよね…と、
優しい気持ちになれるような一冊だった。-
チーニャさん、こんばんは!
しじみさんもこんばんは(*´▽`*)
サンカヨウのお花の出てくるこの作品
家族のいろいろなあり方を考えさせ...チーニャさん、こんばんは!
しじみさんもこんばんは(*´▽`*)
サンカヨウのお花の出てくるこの作品
家族のいろいろなあり方を考えさせられました!
ブクログで、サンカヨウのお花の可憐さを知って
そしてチーニャさんやしじみさんと
同じサンカヨウのお花が出てくる作品を読めるって
なんか、すごくいいですよねぇ!
嬉しくなっちゃいます(*^-^*)2023/08/27 -
「たかが水やり、されど水やり」
ですよね…!ホント。
水やりの加減もねぇ、難しい!(笑)
家族関係もいろんな加減が難しいって、この作品でも...「たかが水やり、されど水やり」
ですよね…!ホント。
水やりの加減もねぇ、難しい!(笑)
家族関係もいろんな加減が難しいって、この作品でも思いましたね…。
「かそけきサンカヨウ」の中で
陽ちゃんの父と離婚した母との関係もそんな描写がありましたね。
「うまく行かなかったとき、ぼくたちはどちらがどれだけ悪いかということを、はっきりさせすぎた…」なんてね…。
陽ちゃんがかすかに覚えている実の母親との唯一の思い出が「サンカヨウ」という!!なんとも
切ないお話でしたね〜。
でも、次のお母さんの美子さんは素敵な人で良かったですよね。
陽ちゃんは「美子さんのように、もっと、もっと、透明で、強い女の人になりたいと強く思った」というところがあとで描写されていたので、ホッとしました…。
「サンカヨウ」には、幸せという花言葉あるみたいですねぇ☆彡
しじみさ〜ん、ありがとうございました(*^^*)♡2023/08/27 -
かなさ〜ん、こんばんは〜(*^^*)
かなり…遅くなりましたが…
かなさん、しじみさんに続いて「サンカヨウ」のお話を
ついに!やっと…(笑...かなさ〜ん、こんばんは〜(*^^*)
かなり…遅くなりましたが…
かなさん、しじみさんに続いて「サンカヨウ」のお話を
ついに!やっと…(笑)
読めたこと、凄く感激してます〜(*^^)v
この作品を読んで、
「サンカヨウ」のイメージを
「可憐」なだけではなくて
「透明で強い女性」や
「幸せ」等も
私の中で追加しようかな〜と思いましたよ〜♪
ちょっと切なく苦しく感じるところもありましたが、いい本でした〜♡
かなさ〜ん、ありがとうございました〜(*^^*)♡♡2023/08/27
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幼稚園に通う子どもを持つ家族の5つの短編集。
産後鬱のお母さんの話しとかジーンときてしまいました。
最後のサンカヨウの話も良かったかな
お母さんが背負子に子供背負って山登りしてサンカヨウ見に行くなんてとてもパワフルなお母さん、てか普通はお父さんが背負うと思うのですがここら辺にも離婚の原因があるような気がしてしまいましたっw
水やり忘れると萎んでしまう植物が、
シャキンとしていくようなそんなお話が綴られてました。
最後の話は前に映画で見たような高校生ぐらいになった娘が母の個展をこそっと観に行くところがデジャブ
なんだったけかな??
桃井かおりが老婆役で浮かんでくるんですが・・・-
チーニャさん、こんばんは♪
ようやくゆっくり本を読む時間がとれました。コメントもらえてすっごく嬉しいかったです。(((o(*゚▽゚*)o)...チーニャさん、こんばんは♪
ようやくゆっくり本を読む時間がとれました。コメントもらえてすっごく嬉しいかったです。(((o(*゚▽゚*)o)))♡
2023/07/30 -
しじみさん、こんばんは!
家族のいろんなあり方を考えさせられた作品でしたね!
サンカヨウのお花が出てくる(*´▽`*)♡
しじみさ...しじみさん、こんばんは!
家族のいろんなあり方を考えさせられた作品でしたね!
サンカヨウのお花が出てくる(*´▽`*)♡
しじみさんのプロフ画像のサンカヨウ、
やっぱり、ステキです!癒されますっ♪2023/07/30 -
かなさん、おはようございます♪
そうそうサンカヨウ出てきましたね。
この時期は花は終わりブルーベリーみたいな実がたくさんついてますよ...かなさん、おはようございます♪
そうそうサンカヨウ出てきましたね。
この時期は花は終わりブルーベリーみたいな実がたくさんついてますよ♪
コメントもらえてすっごく嬉しいです。
☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆2023/07/31
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どこにでもある家族の形態、幼稚園生くらいの子供のいる家族の5編に及ぶ短編集…。それぞれのストーリーは独立しています。自身のブログを持ちながらママ友からどんな風に自分が見えているのかが気になって仕方ない主婦、仕事のため育児に参加できないことを妻や義理の両親に批判される夫、自身の娘の発達障害を疑わずにいられない主婦、出産後の主婦の変化に新たな刺激を求める夫、父の再婚で一緒に暮らすことになった義母とその娘に対して戸惑う女子高生…。
なんか読んでいて、共感できるなぁ~ってことも多くありました。一番心に残っているのは「ゲンノショウコ」で、 自身の娘の発達障害を疑わずにいられない主婦のお話…泣きそうになりました。様々な家族の形があってそれぞれに家庭の事情もあるけれど、それを乗り越えることで一層家族の絆って強くなるんだろうなって感じました。
ポーチュラカ、サボテン、ゲンノショウコ、テラリウム、サンカヨウ…それぞれのストーリーに込められた植物、なじみのあるのはサボテンくらい??でも、以前辛4さんにこの作品の存在とサンカヨウの美しさを教えてもらいました♪それからずっと読みたいと思っていた作品です。辛4さん、よい作品を紹介して頂きありがとうございました。-
かなさん、こんにちは~♪
『サンカヨウ』♡素敵ですよね~
私も『サンカヨウ』以前…一緒に
画像検索してみてから凄く印象的で忘れられませんよ...かなさん、こんにちは~♪
『サンカヨウ』♡素敵ですよね~
私も『サンカヨウ』以前…一緒に
画像検索してみてから凄く印象的で忘れられませんよ……☆彡
今日、偶然にも思い出していたのですよね~♪2023/04/29 -
チーニャさん、こんにちは♪
チーニャさんと辛4さんに教えてもらった「サンカヨウ」
本当に可憐で可愛いお花ですよね(^^)
チーニャさん...チーニャさん、こんにちは♪
チーニャさんと辛4さんに教えてもらった「サンカヨウ」
本当に可憐で可愛いお花ですよね(^^)
チーニャさんも忘れられないみたいですね!
この作品を読むと、あぁ…だから「サンカヨウ」なんだって、
納得できました(^^)/
チーニャさん、いつもありがとうございます。2023/04/29
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とある高級住地に住む5組の家族の物語。
共通するのは同じ幼稚園に通う幼い子供がいることと、それぞれが内に秘めた悩みを抱えていること。
子供が生まれると二人の世界は様変わりしてしまう。
思い通りにならない生活、自由のきかない時間、そして責任感。
夫婦の間には小さな亀裂が生じ、徐々に徐々に亀裂は広がって行く。
あんなに好きだった相手なのに、心が通い合わないもどかしさ。
ブログでしか自分の存在価値を見出せない妻。
妻と妻の両親に疎外感を抱く夫。
子供の発達障害を疑う妻。
妻への不満から浮気心を持つ夫。
新しい母親と妹を迎え戸惑う少女。
「寂しかったんだ・・・」
「・・・寂しかったのは、あなただけだと思う?」
相手に自分の気持ちを伝えようとすること。
相手の気持ちを受け止めようとすること。
ほんのちょっとの努力で流れは変わる。
それぞれの物語はどれも切なくて簡単にはいきそうにもないけれど、最後に光が見えた。
窪さんの小説にしては珍しく性描写を完全排除。
過激な描写がなくても根底に流れているメッセージは十分伝わってきた。
読み終わって温かい気持ちになった。
ブクログ献本企画で頂いた本です。
窪さんの作品がいち早く読めたことに感謝。
ありがとうございました。-
窪さんの作品、毎回心の奥深いところが揺さぶられるような、それぞれの人生の大変さ、その先に見える希望・・のようなもの感じますよね。まだ読んでま...窪さんの作品、毎回心の奥深いところが揺さぶられるような、それぞれの人生の大変さ、その先に見える希望・・のようなもの感じますよね。まだ読んでませんが、読みたいと思いました。2014/11/15
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あおいそらさん、こんにちは。
コメントありがとうございます(*^_^*)
そうですね、窪さんの作品は希望があるところがいいですよね。...あおいそらさん、こんにちは。
コメントありがとうございます(*^_^*)
そうですね、窪さんの作品は希望があるところがいいですよね。
弱い人間も見捨てない温かさというか。
なので短編集の「雨のなまえ」だけは頂けませんでしたね。こちらはお読みになりましたか?2014/11/17 -
いつもvilureefさんの本への愛情いっぱいのレビュー拝見しています。参考にさせていただいています。
窪さんの作品では、初めて「ふが...いつもvilureefさんの本への愛情いっぱいのレビュー拝見しています。参考にさせていただいています。
窪さんの作品では、初めて「ふがいない僕は~」を読んで、重いのにさわやか。読後感が気持ちよかったです。希望、温かさ、そうですね。そういうことですね。「~くじら」もまさにそうでした。
まだ短編集は読んでいません。最近なかなか本を読む時間をとれていませんが、地道に読んでいこうと思っています。2014/11/28
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うまいなあ(しみじみ)。
家族の形、暮しが描かれています。
その家族の中の一員として、考え苦しみ、そして家族を構成していく。
家族といえども、わだかまりができてしまうと、一緒に暮らしているからこそ、それを乗り越えるのは大変。
サンカヨウ。
知りませんでした。とても繊細な、透明なお花でした。
求肥を思い浮かべるのは私だけ?
貴重なお花をうまく登場させています。-
辛4さん、こんにちは!
以前におすすめして頂けたこの作品、
すごくよかったです(^^)
サンカヨウの透明な感じ、この作品を読んでから
...辛4さん、こんにちは!
以前におすすめして頂けたこの作品、
すごくよかったです(^^)
サンカヨウの透明な感じ、この作品を読んでから
また思い浮かべると、いいですね…。
他のストーリーも、ホント、うまく描かれてましたね(^^)/2023/04/29 -
かなさん
ご無沙汰しています~♪
そうでしたね。
とっても可憐なお花ですよね。
忘れるところでした。今年は探さねば。(でも雨の中、探...かなさん
ご無沙汰しています~♪
そうでしたね。
とっても可憐なお花ですよね。
忘れるところでした。今年は探さねば。(でも雨の中、探さないといけないからな~)
かなさんも、実物見つけたらおしえてくださいね~2023/04/29
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窪 美澄さんの作品は本作が初読みでした。
『水やりはいつも深夜だけど』
本作は、様々な家族の5つの短編集
ちらめくポーチュラカ
サボテンの咆哮
ゲンノショウコ
砂のないテラリウム
かそけきサンカヨウ
どの家族にも家族にしか分からない事情がある。
同じ家族なんて一つもないけど、もしかしたら似た様なことで躓いたり悩んだり苦悩しているのかもしれない…
其々の家族を少しずつ垣間みることで、自分の家族に置き換えてみたり、自分の考え方に照らし合わせたりしながら読み進めた。
特に『かそけきサンカヨウ』は、急いで大人にならざるを得なかった少女の葛藤が描かれていて目頭が熱くなった。
正解なんてこだわらなくてもいい。
家族である限りいつでもやり直せるし、気づく事で変われることもある。
歩く歩幅もスピードも、其々の家族の心地良いスタイルがあって、ゆっくり自分たちで築いていけばいいんだと背中を押してくれるような作品だった。
家族の在り方で行き詰まったり悩んでいる方にオススメしたい。 -
周りで風邪流行ってる……
ってな事で、窪美澄の『水やりはいつも深夜だけど』
ちらめくポーチュラカ
サボテンの咆哮
ゲンノショウコ
砂のないテラリウム
かそけきサンカヨウ
の5つの短編集。
過去にイジメにあった気弱な主婦
家事、育児を根詰める妻を助ける夫
障害を持つ妹をひた隠し、自分の子に障害が有るんじゃないかと不安に生きる母親
家事育児に追われる妻、仕事に追われる夫。そんな二人のすれ違いから起こる危機。寂しかったのはあなただけだと思う?
幼い時から父親と二人で暮らす高校生の娘。そこに父親の再婚で母親と3歳の妹が新たな家族となり、新しい生活に戸惑いながら成長と我慢してた幼心との葛藤。
それぞれの生活からのそれぞれの視線と感情が、そうなんじゃ~って分かる様なお話。
嫁、夫、父親、母親、兄弟姉妹、子供それぞれの思いがヒシヒシと伝わる凄い作品じゃと思いますw
あなたの身近な相手の思いが書いてあるかの様にw
2017年51冊目 -
同じ幼稚園に通う子供がいる家庭を描いた短編集。特に物語自体のつながりはなく、それぞれの家庭をこの作家さんらしい、静かな語りで描かれている。