いまさら翼といわれても (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 242
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041081648

感想・レビュー・書評

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  • お互い恋愛感情というわけではないのだろうが、奉太郎と千反田の信頼のおける関係が築けてきており、そのままゴールインしてくれないかなと妄想してしまう。特に最後の話の終わり方といい、この2人の関係なんかいいな…と思った。
    "長い休日"も、いつかその休日を破る人物が現れるまでね、というような姉の言葉から、現状、古典部、千反田により破られつつあり、前述同様。
    "鏡には映らない"では、奉太郎はそんなこじらせキャラなのか!?と思いきや、人情があって可愛い。
    漫研を辞めて"夕べには骸に"に続く伝説の1冊を書くことになった伊原のその後がまた気になる。

  • 今後古典部が進んでいく道がとても気になる。
    奉太郎が奉太郎である根源の一部が見られた気がした。これまでよりもさらに好きになった。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた“古典部”部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。千反田はいま、どんな思いでどこにいるのか―会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、謎解きを通し“古典部”メンバーの新たな一面に出会う全6編。シリーズ第6弾!

  • シリーズ6作目。古典部メンバーの内面に深く切り込む短編集。部活の人間関係や進路など高校生らしい悩みを抱えた古典部の面々。難しい台詞回しに惑わされがちだけど、この子たちは神山高校が生活のほとんどを占める高校生なんだと実感した。切ないというかやりきれないというか、余韻が残る短編集だったな。

  •  「古典部」シリーズでは一番好きな一冊。というのは、自分はミステリーに疎いし、読み進めながら謎を推理できるほど頭の回る人間でもなく、むしろこのシリーズについては、登場人物たちのどこかほろ苦い青春の描かれ方により関心があるから。本作は彼らの、特に奉太郎を軸とする関係性が微妙に変化する短編が複数、収められている。描かれる謎としては一つ一つが小さなものであっても、高校生活という有限の時間の中を生きる「彼らの物語」を次のステップへと進めるための重要なエピソードがいくつもある。
     購入前から特に楽しみにしていたのは、テレビアニメでも最も好きな一話だった「連峰は晴れているか」。謎解きの後、えるが放つ「うまく言えません」のひと言が、小説ではどのように描写されているのかが最大の関心事だった。テレビアニメではあの瞬間、奉太郎に対するえるの評価に一つの決定打が与えられたかのように描かれていたが、小説版では、果たして。
     存外に、というかあまりにもあっさりとした描写ではあったが、逆に良かったのかもしれない。あくまで奉太郎視点の、つまり奉太郎の観察眼に基づく描写ならばこれぐらいが限界だろうし、ここに妙な力が入れば不自然になる。
     むしろ感動したのは、京都アニメーションの制作陣がこの記述からあれだけの昂奮を呼ぶ表現にたどり着いたという、その読解力と演出の力に対してだった。本当にいい仕事をしてくれたと改めて称賛を送りたい。同時に、その制作にも携わったであろうスタッフも含めて大勢が犠牲となったあの放火殺人事件が、返す返すも忌々しくてたまらない気持ちになる。いつかテレビアニメの続編が制作されたら、自分がどれほど喜ぶか想像さえもつかない。
     その他のエピソードも、折木奉太郎という人間がどのようにして形成され、これからどこに行こうとしているのか、一方の千反田えるはどうか。そういうことに思いを巡らせる上では避けて通れない短編の数々で、よくぞこれらを一冊にまとめてくれたものだと思う。まるで季節が過ぎ木々が色合いを変化させるように、この文庫本一冊の中には、彼らが時と共に様相を変貌させ、ただ根幹は変わらずにあり続ける、そういう人格的な成長(あえて成長と呼びたい)の機微が美しく描かれている。

  • 短編集。『鏡には映らない』が個人的に今まででトップクラスに面白かった。古典部の成長が少しずつ垣間見えていく様子が、物語の進行を感じさせてくれる。次のお話がいつになるかは分からないけれど、筆者は完結させると断言しておられるので、楽しみに待っていたい。

  • 古典部シリーズ。
    少しずつ変化していく日常と登場人物の関係性。
    コチラのシリーズも楽しい。

  • ラノベのような文体だが嫌いじゃない。

    古典部シリーズ6作目、だけどこの本から古典部シリーズ読み始めてしまった…でも短編集なので逆に読みやすかったかも。

    「わたしたちの伝説の一冊」がよかった。文化部には文化部の青春があって、集団の理屈があって、でも各人の気持ちもあって…
    摩耶花のこれからをただただ応援したい。

  • 古典部シリーズでは連作短編ってあっただろうか?古典部それぞれを覗いたような短編集で面白かったし、ホータローのあの謎がわかって嬉しかった。
    コレを読んでしまうとまた一作目から読みたくなるのが困ってしまう。

  • 他の作品よりは読み進まなかったけど、こちらも十分に楽しめた。ホータローはただただ、いい奴だった。そしてお姉さんが素敵。
    これで終わりなのでしょうか?
    まだまだみんなの話が読みたい。

  • 古典部シリーズの楽しみ方は本格ミステリーから青春エピソードまで色々な要素があるけど、やっぱり奉太郎の成長を垣間見えるのが自分的には読んでいて一番嬉しい。

    時には甘酸っぱく、時にはもどかしく、
    考えるより先に行動してしまったり、たくさん悩んだり。

    今作も多感な高校時代を思い出させてくれるとても良い作品でした。

    次回作があるかは分からないけど、将来に向かって少しずつ動き出す4人のストーリーをもっともっと見ていたいな。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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