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- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041083031
感想・レビュー・書評
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女子部長、がんばれ!
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最初の4編ばかり読んだころ「小野寺さんの持ち味って何だろう」と思いました。
優しいばかりの小説にいささか飽きて、それまで多読していた森沢明夫さん、原田マハさん、小路幸也さんから意図的に距離を置いているのですが、また一人よく似たタイプの作家さんが出てきただけなのかと。。。
5編目あたりから少し様子が変わります。何やら奇妙に突き抜けた明るさ。良い話を書いてやろうという”あざとさ”の様なものが表に出ず、力の抜けた不思議な肯定感です。「優しい」では無く「やさしい」。そして最後の数編には、ちょっとした悲哀の味も有ります。なかなか良い。
良い意味で小ぢんまりと柔らかくまとまるのが小野寺さんの持ち味なのかな。一方、調べたら出世作ともいえる「ひと」以降、2ヶ月に1冊のハイペースで新作を発表しています。その為にただ単に”薄っぺらく”なったのが”力の抜けて、良い意味で小ぢんまりと柔らかくまとまった”と感じられただけなのかもしれません。
10の短編。舞台は全て架空の町・蜜葉市ですが、全て独立した短編です。
「梅雨明けヤジオ」「逆にタワー」「冬の女子部長」「チャリクラッシュ・アフタヌーン」「君を待つ」「リトル・トリマー・ガール」「ハグは十五秒」「ハナダソフ」「カートおじさん」「十キロ空走る」
私は未読ですが小野寺さんは「みつばの郵便屋さん」というシリーズも有ります。多分同じ町なのでしょうね。