警官の道 (角川文庫)

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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041140857

作品紹介・あらすじ

「孤狼の血」シリーズの柚月裕子、『スワン』『爆弾』で注目の呉勝浩、刑事犬養シリーズの中山七里など、次世代を担うミステリー作家たちが豪華競演、警察小説アンソロジー待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 葉真中顕、中山七里、呉勝浩、深町秋生、下村敦史、長浦京、柚月裕子『警官の道』角川文庫。

    7人の作家の短編を収録した警察小説アンソロジー。7人の作家全員が自分の好みというのはなかなかあり得ないことだ。読んでみれば、柚月裕子の『聖』がピカイチで後は平凡な短編ばかりで、少しがっかりした。


    葉真中顕『上級国民』。本作に描かれる刑事事件とされなかった交通死亡事故は、2018年に東京都港区で起きた元東京地検特捜部長による自動車死亡事故を思い出す。実際にこういうことはありそうだ。90歳の佐々木嘉一が交通事故で亡くなった。しかし、車を運転していた谷田部洋は逮捕されなかった。その裏には驚愕の事実が隠されていた。★★★★

    中山七里『許されざる者』。復興五輪などと銘を打って、コロナで延期された汚職に塗れた東京オリンピック。犬飼隼人シリーズの短編。今の時代、こんなこともありそうだ。東京オリンピックの閉会式を演出する予定の演出家の三浦伽音が殺害される。一体何があったのか。★★★★

    呉勝浩『Vに捧げる行進』。警察官の名前がモルオとは。コロナ禍で疲弊する日常の中、町で頻出する落書き犯。その驚愕の意図とは。モルオという名前がどうにもこうにも。ストーリーが入って来ない。★★★

    深町秋生『クローゼット』。ゲイの警察官か。世も末だななんて言うと顰蹙を浴びる、何とも嫌な世の中になったものだ。LGBTQなる少数派ばかりを擁護して一体何になるんだろうか。上野署の荻野大成と相棒の中澤祐一は荒神と呼ばれ、重宝されながら管内で起きる様々な事件現場に臨場する。その荻野には誰にも言えない秘密があった。★★★

    下村敦史『見えない刃』。最近、やたらと性犯罪のニュースを耳にする。世の中、おかしなことになっているな。ある日、刑事課長に呼ばれた明澄祥子は性犯罪を専任することを命ぜられる。東堂とコンビを組んで性犯罪の捜査に乗り出した明澄が見た現実とは。★★★★

    長浦京『シスター・レイ』。最近、注目している作家の短編。フランス帰りで予備校の講師という能條玲という謎の美女が主人公。玲は半グレ集団のトラブルに巻き込まれた知人の家族を救うために、果敢にも半グレ集団のアジトに乗り込む。★★★★

    柚月裕子『聖』。最後の最後に納得のいくレベルの短編が収録されていてほっとした。母親と自分を虐待し、母親と別れたろくでなしの父親に復讐するためにヤクザに憧れ、組事務所に出入りする少年・聖。中華料理店でアルバイトをしながら、神戸の金坂組のバッジをもらうチャンスを狙う聖は、組に出入りするサングラスをかけた迫力十分の男に弟子入りを懇願する。★★★★★

    本体価格820円
    ★★★★

  • 警官も人。
    悩みもあれば間違いもする。
    そんな中でも信念をもって行動し生きている人はかっこいい。
    どの作家さんの作品も響きました。

  • 警察小説の短編集
    葉真中顕、中山七里、呉勝浩、深町秋生、下村敦史、長浦京、柚月裕子
    今読まれているこの作家達の警察小説アンソロジーという事で、期待しまくって読み進めましたが・・・
    作品によって大きく好き嫌いがある感じですかね?中山七里と柚月裕子はさすがの面白さでしたが、長浦京は警察小説ですらなく、「リボルバー・リリーの現代版」の様相だし・・・
    他の方にも是非読んでいただき、感想を聞きたいです。

  • 上級国民:葉真中顕/許されざる者:中山七里/
    Vに捧げる行進:呉勝浩/クローゼット:深町秋生/
    見えない刃:下村敦史/シスター・レイ:長浦京/
    聖(あきら):柚月裕子

    作家もいろいろ 物語もいろいろ
    読んだことのない作家さん出会うのも おもしろい

  • 豪華な作家陣のアンソロジー!しかも警察モノ。期待通りどの作品も面白かったー!!慣れ親しんでいる作家様の作品はそれぞれのらしさがわかる短編だったので、各々の読めてない作品や積んでる作品を読みたくなりました!

  • 単純な話は少なく、答えのない問の回答例を見せられている感じあり。
    『シスター・レイ』は痛快だった。

  • 「警官」という職業に焦点を合わせているのが面白い。するっと読むつもりだったのに、好きな作家が多すぎて没入。急いで読むことができなくて、思いのほか時間を要しました。

    まずひとつめの葉真中さんで掴みバッチリ。以降、コロナに寄せた話もちらほらあり、あまりに寄せすぎるのは私は苦手なのですが、世間がパニックになっている間に作家たちはなんとかこれに絡めた話を書けないものかと考えていたのだなぁと思ったりも。

    警官だって普通の人間。LGBTをカミングアウトする時期に悩む姿なども描かれ、その生き様が興味深い。

    柚月姐さん、好きです♪

  • 2024年2月5日読了

  • 2024.01.10
    今、勢いのある作家の作品が並ぶ。お買い得なり

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著者プロフィール

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。18年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞、同年『ライオン・ブルー』で第31回山本周五郎賞候補、19年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第72回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、20年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)も受賞し、第162回直木賞候補ともなった。21年『おれたちの歌をうたえ』で第165回直木賞候補。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』『マトリョーシカ・ブラッド』などがある。

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