本陣殺人事件 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.64
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本棚登録 : 2307
レビュー : 233
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304082

作品紹介・あらすじ

一柳家の当主賢蔵の婚礼を終えた深夜、人々は悲鳴と琴の音を聞いた。新床に血まみれの新郎新婦。枕元には、家宝の名琴”おしどり”が……。密室トリックに挑み、第一回探偵作家クラブ賞を受賞した名作。

感想・レビュー・書評

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  • 『本陣殺人事件』
    日本家屋には不向きとされた「密室の殺人」を描いた『本陣殺人事件』は、金田一耕助の初登場作品。
    旧家を舞台に登場人物が皆曲者揃いとは、(まだ数冊しか読んでいないが)これぞ横溝作品だ。これで面白くならないわけがない。
    金田一はアメリカで出会ってから、世話になっている久保銀造おじさんによって事件の現場に呼び寄せられる。
    トリックが金田一の実験によって見破られる瞬間は、当時の読者には圧巻だったに違いない。
    明らかになった真相は、時代のせいだけには出来ない狂気を孕んだ理不尽なもので、憤りさえ感じてしまう。なんともやりきれなさが残る結末だった。

    『車井戸はなぜ軋る』
    金田一は直接関係ないものの、明敏な頭脳の持ち主によって、書簡というかたちで事件の真相が明らかになる。切羽詰まった書簡の文章が自然と頭の中で映像化され、思わず「ギャッ」と叫んでしまいそうになる。
    心理的に追い込まれていく感じが、サスペンス調で3作品のなかでは1番どぎまぎ。

    『黒猫亭事件』
    『本陣殺人事件』を小説として書きつづっていた作家Yは、金田一耕助と初めて対面したときに「顔のない屍体」の事件を書きたいと伝える。
    その後、金田一より顔のない屍体事件である『黒猫亭事件』の書類が送られてくる。
    犯人の生への執着、新しい人生への渇望というものが、絡まった糸のようなトリックを作り上げたのだろう。
    二転三転しながら事件の真相が暴かれていく瞬間は快感。
    金田一を「耕ちゃん」と呼ぶ、中学時代の同窓生風間俊六が登場。誰もが(特に女性)が惹きつけられる悪い男。これからも、もっと登場してくれないかな 笑

    どの事件も真相が暴かれていく展開は、文句なしに面白かった。
    ただこの時代だからこその、そして閉塞的な田舎という環境、封建的な家族制度だからの動機は、事件が解決されたとはいえ残された者の心に影を落とす。
    ややもすると、事件のおどろおどろしさのみが際だってしまいそうなところを、金田一の頭脳とキャラが探偵小説の醍醐味、面白さへと導いてくれた。

    愛嬌があって、勢いづいて吃ったときにも周囲を笑わせるようなおおらかさを持っている金田一耕助。服装にも頓着しないし、かっこよさなんてものからは程遠い。
    それでもスズメの巣のような頭をかき回す姿には見守ってあげたくなるし、ひとたび事件を解決するとなると何とも頼もしい。
    ハードボイルドな探偵もいいけれど、ときには彼のような母性本能をくすぐるタイプの探偵さんもいいんだよね~

  • わー。昔の表紙が復活している!やっば、角川文庫の金田一シリーズはこのおどろおどろしい絵でないとね。(笑)つーか、コワイ!
    読了は確か学生時代です。
    金田一耕助初登場の事件譚にして、その耽美的世界といい、個性的な登場人物といい、和風密室の謎といい、金田一が関わるにふさわしい難事件です(!)
    その大仕掛けの密室トリックや、現代ではいまいち馴染めなくなった動機にしても、古き良き時代の探偵小説を満喫できる作品でした。
    金田一初登場時の設定も面白い。

    • 深川夏眠さん
      やっぱり表紙は杉本画伯の絵がいいですよね……(´・ω・`)
      やっぱり表紙は杉本画伯の絵がいいですよね……(´・ω・`)
      2013/04/16
  • 昔、石坂浩二さんの金田一シリーズが好きで、その時に有名な作品は一通り読みました。中学~高校時代だったので、トリックは理解していたけど、肝心の殺人に至る物語を表面的にしか理解出来ていなかった事を痛感しました。改めて、時間が掛かっても読み返そうと思います。

  • 「本陣殺人事件」「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」

    この3つの作品が入っているのですが、どれも面白いです。「密室」「一人二役」「顔が不明の死体」の3種類なのですが・・・ちょっと現実離れしているトリックもありますが、それがまた面白い!
    金田一シリーズは読めば読むほど引き込まれていきます。

  • 金田一耕助シリーズ、ファイル2。前回の獄門島で話に出てきた本陣殺人事件を読んでみたくて早速買ってきた。

    昨年はもう少し近代の推理小説にハマって読んでいたけど、どれも途中で犯人がわかってしまい少し熱が引いていた。だが、今作品集は二転三転するからおもしろいし、気味の悪さがストーリーをより良い方へ引き上げており、再び推理小説熱が増してきたようだ。

    本陣殺人事件も、車井戸も、黒猫もよく練られており名作であるのは間違いない。

    それにしても、殺人の動機ともなる、女性への処女性を求めるこの価値観は不思議だ。もし現在にその価値観が持ち込まれたら世の中、殺人ばかりになりそうだ。逆にこのシリーズを通して、当時の価値観についても興味が湧いてきた。

  • 本陣は、序盤の雰囲気が怖くてちびちびページが進まなく困った。
    でも、ただの雰囲気作りじゃなくて、一つ一つに意味があったのはすごいと思う。
    あと、トリックを実際にやってみた映像がYouTubeに上がってて、テンションが上がった。

    車井戸は、鶴代が悲惨すぎる⤵︎ビックリ死ってやつなのかな⁇

    黒猫は、一番読みやすいミステリーしてて、読みやすく面白く思った。

    金田一耕助はお初だったけど、この名探偵の喋りや頭をかきむしる癖だったり、良いキャラしてんなーって惹かれしまった。

    次は獄門島かなー

  • 中短篇3篇を収録。

    『本陣殺人事件』
    正直なところメイントリックに関しては、過去に映像作品でも観た事があるし、あまりにも有名なので予め知ってはいた。しかし実際に原作を読んでみるとやはり面白かった。密室殺人の真相解明にいたるまでのロジック。ミスリードの巧みさ。そしてなにより『三本指の男』の来訪理由には感心した。文章は抜群にうまいし、構成や演出も素晴らしい。ミステリはトリックだけわかっていても(凄くても)ダメなんだという事を再確認。あらためて横溝正史の偉大さがわかった一作。

    『車井戸はなぜ軋る』
    いきなり二行目に挑戦的な一文が。
    「付、本位田大助・秋月伍一生き写しのこと」
    西村京太郎『殺しの双曲線』の序文「この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです」に匹敵する驚きと警戒心を抱いた。そしてやっぱり面白かった。途中『犬神家の一族』を思い起こさせる場面あり。いろいろな仕掛けが短篇にギュッと詰まっていて、これまた感心。

    『黒猫亭事件』
    序盤で横溝先生らしき人が探偵小説講義をやるのが面白い。しかも「密室の殺人」「一人二役」「顔のない屍体」について。そのうえ「一人二役」型は最後まで伏せておくべきトリックであって、この小説は一人二役型らしいと読者に感づかれたら負け、などと抜け抜けと書いているのが最高。そして今回は『顔のない屍体』という導入。終盤のひねりにまたまた感心。

    それぞれ独立して素晴らしい出来のミステリ中短篇だが、『本陣殺人事件』『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』をピックアップし、この順番で編んだ角川文庫版の編集者に拍手。相乗効果で作品の面白さが格段に上がっている。

    金田一ものの一連のシリーズは、探偵金田一耕助が体験した事件を語り、作家横溝正史(らしき人物)がそれを小説に仕立てるという体で書かれている事がわかったのも楽しい収穫だった。

  • 「車井戸はなぜ軋る」がすきー
    絶望〜

  • 戦前から戦後にかけての社会を味わいたくなるとつい手に取るのが金田一シリーズ。探偵小説ではあるんだけれども、日本の村社会、風俗、近代であってもおどろおどろしいこの雰囲気が独特でやめられない。
    金田一氏の来歴がちょこちょこ出てきてテンションあがった。アメリカ帰りだったのかよ!とか。

  • 何となく急に読みたくなったので。
    実は、コミック版はいくつか読んでいて、パスティーシュなんかも読んでいたため、トリックとか犯人とかは予め判っていたりします。(^^;
    横溝正史の名前から、もっとどろどろとした話の印象を持っていましたが、結構、軽めの印象でちょっとびっくり。
    ま、他の長編を読んだら、そうでもないのかもしれませんがね。(^^
    タイトル作はもちろん、「車井戸はなぜ軋る」の書簡体も面白いし、期待通りどろどろだった(^^;「黒猫亭事件」もそれぞれ面白かったですね。
    やはり、読まず嫌いは良くないってことですな。(^^;

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著者プロフィール

1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し、32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』など、名作を次々に発表。76年、映画「犬神家の一族』で爆発的横溝ブームが到来。いまもなお多くの読者の支持を得ている。82年、永眠。

「2021年 『雪割草』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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