落下する夕方 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 8420
レビュー : 831
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043480012

感想・レビュー・書評

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  • なにも変わらないようつとめながら知らず知らずのうちに心は変わっていく。華子に対する梨果の心も、読んでいる私の心も季節のようにいつのまにか移ろっている。そのあらがえず頼りない変遷とどうしようもない惰性、執着がとても好ましく、印象的な話だった。

  • 不思議な、感覚。ノルウェーの森を読み終わった時みたいな。

  • (2016.4.21)
    (296P)

  • 雨の多い小説だなと感じた。
    そして"あとがき"の文字を見て「は?」と声が出た。この小説の感想を一言で言うなら「は?」
    起承転結を期待する読者は多大なストレスを被るかもしれない。
    文章は読みやすいんだが、浅瀬でバチャバチャやってるような内容なんだよなあ。

    途中までは華子の思想が気になって夢中で読んでたが、お約束のように浮世離れした人物の自殺・強姦で生(現実)を実感というあまりにも型通りすぎる展開に一瞬で熱が冷めた。
    異質なものを(作者が)殺して物語を処理するという方法は簡単なだけに、当の異質なもののカリスマ性や周囲の人間の反応を際立たせる筆力が不可欠だと思うのだが、その辺を煙に巻いてしまってるので、あんま深い心理までは捉えられない作家なのかなと感じた。
    異質なものを排除という使い古された古典も今の時代にそぐわないのでは、と思ったが確認したら90年代の作品なので仕方ないのかな。いやでも90年代って結構……まあ新星にはなれないか。

    健吾にとっての直人君になりたいというのも勝手な話で、そんなものを求めていてるかどうかは個人の自由なのに、私がそうなんだからアナタもそう!という押しつけがましさ。自分のことしか考えてない人間の行動だし、だからこそ健吾も離れていったんだろう。この押しつけがましさは華子の大嫌いなものでもある(勝手な期待をされる、怒られる、甘えられるとか親が子にやりがちな行動だと思った。華子は子供で周囲はしょーもない親)

    リカと健吾は悪い意味でお似合いだ。
    プロポーズを断り8年もズルズルつきあう。そりゃあ結婚願望のある人間は離れていって当然だろう。相手のやさしさという名の諦めにあぐらをかき続けた結果フラれたわけだが鈍感すぎる。
    一方健吾は想い人を追っかけ回して嫌がられ、それでも押しかける姿は下手するとストーカー一歩手前で気味が悪い。

    弟を愛してるという華子。弟といってもポッと出て大した描写もなく退場した弟の肩書きを持っただけのキャラクターなので、仮に近親相姦的な愛だったとしてもその近親さを感じないためタブーだとかに馳せる思いすら浮かばなかった。

    美人はエコだなと改めて実感した。
    美人はサマードレス一枚と口紅だけでサマになるが、ブスはそうはいかない。ブスはどの服が体型をカバーできるのかと無い知恵を絞りコーディネートに尽力し、化粧は時間をかけてベースを作りあげその上からアイシャドウやハイライトを凝らして目の錯覚を引き出すことに苦心するので、とても化粧道具が口紅いっこでは表を歩けない。

    正直自殺展開あたりから主人公たちより直人くんの話のが見たくなってた。
    経済的には豊かな父子家庭の直人くん。得意げにお父さんの教えを披露する直人くん。

  • 華子が好きでしょうがない。
    最後の数ページの、ぽっかり感が凄い。ほんとうに夕方みたいな本。

  • 掴みどころのないキャラクター、華子の奔放性に巻き込まれて行く梨果の、ありきたりから意外性のある心情に変化していく過程が現実的ではないが妙に説得力を感じる。華子が皆に好かれているのはその意外性なのか。こんな人、現実にはまずいないだろうけど、これまた作者の力なのか、いかにもいそうな気がしてくる。
    乾いた大人の恋愛感。最後のシーンは冒頭のシーンとシンクロして深い余韻がある。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    梨果と八年一緒だった健吾が家を出た。それと入れかわるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨果は、彼女の不思議な魅力に取りつかれていく。逃げることも、攻めることもできない寄妙な三角関係。そして愛しきることも、憎みきることもできないひとたち…。永遠に続く日常を温かで切ない感性が描いた、恋愛小説の新しい波。

    【キーワード】
    文庫・恋愛


    +++2

  • 長年同棲していた男性からいきなり別れを告げられて、あれよあれよという間に相手はお引越し。一人広い部屋に残されて唖然としていたら、元カレの意中の人と何故か同居することになった。

    なんだか奇妙な三角関係。
    でも同居人としての華子は、相手に気を使わせず、とてもいい感じ。まだ心残りの元カレ健吾も遊びに来てくれるし、居心地は良かった。

    でもそんな関係も歪み始める。
    健吾が大手企業の会社を辞めてアルバイトを始め、華子は何の仕事をしているか分からないが、突然海外に行ってみたり、湘南に出かけたり。

    そして、突然華子は風呂場で一人手首を切って死んでしまう。

    中途半端は感情を与えておいて一人でさっさと逝ってしまうなんて華子はなんて自分勝手なんだろう。でも彼女は彼女なりに色々考えて、その結果だったんだろう。

    突然の訃報に読んでいて吃驚した。

  • 誰もしっかりなどしていないのだ。私もスティーブも、バスの運転手だってきっとしっかりなどしていない。それでも一人でやっているのだ。

    八年越しの失恋の矢先、転がり込んできた華子。奇妙な共同生活の末、失恋や死別を受け入れ成長していく主人公。
    華子の死の後、空に彼女を返してあげよとした姿は、自分の人生を生きようともがいているように見えた。
    彼女が幸せな恋を再び出来る日が来れば良い、と応援したくなる。

  • 江國さんの作品では今のところ一番好きかもしれない。

    主人公・梨果が八年間つきあった恋人・健吾にふられるところから話は始まり、健吾が出て行った部屋にある日突然、二人がわかれる原因となった健吾の新しい想い人・華子が住み着くようになる。
    健吾への未練から部屋を引き払えない梨果は、健吾への未練から華子とのつながりを切ることができない。
    次第に梨果は気ままでつかみどころのない華子の魅力に引きよせられていく。

    三角関係の切なさがそれはもう狂おしく細かやかに描かれていて三角関係好きにはたまりません。略奪ものというわけでもなく、読んでいて苦しくならないところがとてもイイ…!ただただ切ない。いっそ心地よいくらい。
    驚くべき展開に終盤は一気に読みました。とてもおもしろかったです。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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