- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043897025
感想・レビュー・書評
-
日常にポロッ、ポロッと落ちている悲しみを柔らかな布でくるむように拾い上げ描写する。
4つの連作短編。
ピッチャーとして輝いていたスター選手、倉沢修介は、ある打席で死球を与え、相手の選手生命を奪った。
と同時に、立ち直るきっかけをつかめず、自分の選手生命も終わらせた。
その後、総合サービスの会社を経営する戸部という男に拾われ、下請けの便利屋サービスを始める。
だが、身が入らず、いい加減な仕事ぶりに、常に社員の一人、西野春香からいらだちをぶつけられている。
そして、事務所にはもう一人、春香の兄で、倉沢が死球をぶつけた西野真佐夫がいるのだが…。
ある日、「息子のサッカー観戦に付き添ってほしい」という女性からの依頼を受ける。
倉沢は、小学六年のその少年、優介を連れてサッカー観戦に出かけるが、少年は観戦せずに、参考書を開き勉強していた。
そしてまた、数日たって同じ女性から同じ依頼が入った。
倉沢はその依頼に違和感を感じ…。
人は心に大きな傷を負うと、その傷に向き合うことをやめ、なかったことにしてしまう。
それは一種の防衛本能なのかもしれないが、完全に「なかったことに」はできないのかもしれない。
心を守っているつもりでも、一度負った傷は、知らないまにジュクジュクと膿を出し、心を完全に壊してしまう。
倉沢が過去に向き合い、自分を取り戻していくその過程は、周りを巻き込み、小さくはあるが、ズキズキするような痛みを与えているような気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
野球に興味無しの私が読むには、いかがかなと読み進めるが、心配無用のおもしろさ。しかし、何か物足りないのは私だけ?
-
イマイチでした。。
倉沢さんがなんかごちゃごちゃうるさかったという印象しかない。笑 -
お話としては、プロ野球の投手として活躍していた主人公は死球事故が原因で引退し便利屋を始める。
その便利屋の仕事のうちの一つとして始まったのが「付き添い屋」
付き添い屋への依頼は、どこか変わった依頼ばかり・・・
本来ならただ付き添えば良いだけなのに、客の奇妙な依頼の背景を主人公が観察と推理で解き明かす。
本の帯には「ハートウォーミング・ミステリー」と書かれていましたが、ミステリーと言う程ではないな。。。
読み始めは付き添い業務の一話完結の短編集かと思っていましたが全てのお話が繋がって結末に向かってくるところが面白かった。
登場人物のキャラが一人一人個性的でかつ会話が軽妙なので読みやすい。
登場人物も少なめで場面展開も早いのでテレビドラマ向けかも・・・ -
伊岡作品ではお馴染みのうだつの上がらない主人公の周りで繰り広げられる人間模様。
物語の展開の中で少しずつ明かされる主人公のバックグラウンドに興味を惹かれながら、意外な結末へ。
思っていたよりもあっさりとしたエンディングだったか。 -
いつか右手で投げられるようになって欲しい。
-
うーん。もう少し背景や外堀を説明してくれよ。少しストレスを感じたなぁ。
春香、ええやん。このキャラ好っきゃわ。 -
面白かったけどもう少し設定の外堀の説明が欲しいな、とは感じる。
付き添い人としての仕事とその解決でストーリーは進むが3 章から大きな展開がある。
自分の抱えていた闇に対峙し乗り越えていく話と捉えた。 -
145gってなんの重さだろう、と思いつつ読む。
元プロ野球の投手、死球によって傷つけたライバル、その妹が営む「付き添い屋」。ちょっとうさんくさい仕事。
いびつな形を作る三人の関係とそのやりとり。請け負う仕事はどれも「いい話」へとつながっているようなのに、なんだろうこの嫌な感じ。と、後半明らかになるもろもろ。ああああ、そういうことか、そういうことだったのか。 -
プロ野球選手が試合中の死球事故が原因で引退して、便利屋を始める…きっかけは入りやすくて先も気になるけど、期待しすぎたのか最後は余り印象に残らず。