いたいのいたいの、とんでゆけ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048668569

感想・レビュー・書評

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  • 三秋さんの本の中で1番愛してる一冊。

    出版している本の中では厚いものだけど、その量の分巡り巡るので、儚い気持ちが確かに伝わる。

    悲しいけどやはりその恋しさは原動力であるなあ。と。

    なんとも表しがたいこの気持ちを形容するのにぴったりな本です。とてもとてもお気に入り。

  • 読み終わった後、また読み返したくなる物語でした。

  • 最後に???があったけど、ちゃんと
    回収されてよく分かった!
    三秋さんは不思議と読んでしまう。

  • 痛くて、暗くて、悲しい。
    でも、「美しい」という言葉が一番当てはまる作品でした。
    「いたいのいたいの、とんでゆけ」のタイトル通り、そうなってくれていたらいいな。

  • 美しい。
    一気に読んだ。
    三秋さんの描く「愛」はほんとうに美しい。

  • とても美しい物語だと思った。
    情景が簡単に頭に浮かんでくる。
    綺麗事や簡単な言葉で、どうにかするにはあまりにも手遅れな霧子に、一生懸命考えて自分の言葉で接し続ける瑞穂くん。
    決して、どちらかが優しいとか可哀想とかじゃなくて、お互いがお互いと一緒に過ごすために、どんどんどんどん落ちていくのが、言葉に変え難いほどに美しい。
    どうしようもなく落ち込んでいる時に読むのは、どうしようもない二人が誰よりも幸せそうに過ごすこの物語なんだろう。これからもずっと。

  • 何もかもに見捨てられて一人きりになった二十二歳の秋、僕は殺人犯になってしまった――はずだった。
    僕に殺された少女は、死の瞬間を"先送り"することによって十日間の猶予を得た。
    彼女はその貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。
    「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」
    復讐を重ねていく中で、僕たちは知らず知らずのうちに、二人の出会いの裏に隠された真実に近付いていく。

    ネット上で「げんふうけい」として話題になっている作家の書き下ろし作品。


    三人目の復讐を終えた後、主人公が少女を慰めるシーンは、本来殺伐としているはずなのにとても温かい雰囲気を持っていた。
    「痛み」というのは、精神的・肉体的かを問わず、それを分け合える存在がいるかどうかで大きく変わってくると思う。
    そういう存在がずっといなかった二人にとって、この瞬間は途方もなく救われる瞬間だったはずだ。

    ラストシーンでも、悲劇の中の温かさが美しく表現されていると思う。
    お互いへの思い、お互いがどういう存在だったかが伝わってきた。


    途中、復讐する少女に美しさを見出してしまう主人公を少し引いた目で見てしまうこともあったが、三秋さんの描く独特な雰囲気のある作品だった。

  • 第9章で見事に展開が私の予想を遥かに超えていきました。普段は2周目を読まないですが、これは再読しますね。それくらい展開が素晴らしかった。
    相変わらず内容は希望がない残酷なもの、でも最下層に落ちてしまった人って私が唯一共感できるものだし何よりも美しく綺麗で違和感なくその人に投影できる。
    瑞穂と霧子。三秋さんはどちらに近いんだろう…ほんの少し気になってしまった。
    私は今気まぐれで苦手な読書をしてみてはいるが、この本にも「失望のリスクが最も少ないから自分が一番退屈だと思うものを趣味にすることにした」と書いてあって、私がこれまでわざと苦手な事をやってきた(国語が苦手なのに文系に入ったり、話すの嫌いなのにセールストレーナーの仕事をしたりした)のはそういうことだったのかと納得した。
    一番気になったのはp210「自殺には勇気がいると考える人は多い。だがそれは自殺の是非について深刻に悩んだことのない人間の考えだ。自殺に必要なのはちょっとした絶望と、束の間の錯乱だ。生きていく勇気がないから自殺するのだ。」
    実際に輪っかを作った紐を吊るし、首をかけ、椅子から足を離し、次に目を覚ました時は首に紐が着いたまんまで、荒い呼吸をしながら身体中地面に打ち付けられた痛みで目を覚まし、あぁ死ねなかったと絶望した事のある身としては、7割正解な文だと思った。ちょっとした絶望ではない。死にたいがどうしても今死ななければいけないに変化したから。明日がくるのが怖いから。あとはほんの少しの復讐心から…(復讐心も大いにあったと思うけど、相手側がそれを感じる心もないと半ば諦めがあった)が自殺失敗者からの些細な訂正。まぁどうでもいい事だが…
    「本当に何もかもが嫌になったら、その時は僕が君を殺してあげよう。」…言われたい言葉だなぁ。
    私の魂が燃えるのはいつだろう…私は誰かの救いとして機能するのだろうか?
    ロマンチックな愛は現実に存在するものだろうか?この物語にはちゃんと存在していたけど、やはり<あれ>は虚構の中限定のものなのだろうか?
    現実にあったらいいなぁ。そしたらきっと沢山の人の心の痛みがどこかへ飛んでいくのになぁ。

  • この人の作品は異常さの針が振り切っているものが多いので、作品ごとに、読者ごとに評価が分かれるのものが多いかもしれない。
    自分は、やはりこの物語は救いがなさすぎるように感じて、辛く思えてしまう。辛すぎて主人公たちに感情移入することができそうにないほどに。
    でも、多分物語の当人たちは幸せで救われているのだ。どれだけ異常でも、それを空想世界に押し込めるのではなく、現実に存在しうる世界のかたちとして描き出す能力がこの作者にはあって、その世界に読者はどうしようもないほど惹かれてしまうのだ。きっと。

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著者プロフィール

WEBで小説を発表していた作家

「2015年 『僕が電話をかけていた場所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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