戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書 94)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048675741

感想・レビュー・書評

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  • 世の中で「売れているモノ」の「売れるワケ」がはっきりわかります。
    マーケティングが好きな方にお勧めです。

  • ■目次

    はじめに

    第1章 「空気」でモノが売れる時代がやって来た 情報洪水と疑い深い消費者の登場

    僕らを悩ませる二つのハードル――「量のハードル」と「質のハードル」/『明日の広告』のおさらい――「ネットの出現+情報洪水+成熟市場」と「疑い深い消費者」/今、広がりつつある「格差」って?/「空気が読めない」が流行語になる日本/「空気」とは人々が暗黙のうちに共有する情報の集合体/ビリーの背後に「空気」あり!?/なぜ、「空気」があったほうがモノが売れるのか/「空気」をつくるパワー=「カジュアル世論」形成が成否を分ける時代/「カジュアル世論」=あなたの商品を売るためにつくり出したい「空気」

    第2章 カジュアル世論が消費者を動かす 永谷園『「冷え知らず」さんの生姜シリーズ』の成功例

    そもそも「世論」って――世論は社会的な皮膚!?/カジュアル世論の果たす役割――消費者に「気づき」を与えて、「買う理由」を生み出す/永谷園『「冷え知らず」さんの生姜シリーズ』/「生姜ブーム」の種をまき、新聞報道から火をつける/ウェブサイトを震源地にクチコミ効果を発生させる/生姜ブームをもっと深める 消費者の関与度を高めて「空気」をつくる/「“しょうがの知恵”プロジェクト」の本格スタート 永谷園の「生姜宣言」へ/カジュアル世論形成、それは「空気づくり」でもあり「土壌づくり」でもある/カジュアル世論をつくる3つの要素――「おおやけ」「ばったり」「おすみつき」/「おおやけ」とは? 「オトナになった日本人」を引きつける公共性の要素/「ばったり」とは? 「情報洪水の中での貴重な出会い」を演出する偶然性の要素/「おすみつき」とは? 「ホンモノ志向+自分だけのスタイル」を満足させる信頼性の要素/カジュアル世論をつくる方法論――知られざる「戦略PR」の手法

    第3章 PRがカジュアル世論を生み出す オバマも使った戦略PRという技術

    そもそもPRって?/PRの歴史はアメリカの政治から始まった/オバマを勝利に導いたPR/PRと広告との違いとは?/PRと広告の違いなんて消えていく?/日本はPR後進国/「戦略PR」とは

    第4章 カジュアル世論のつくりかた 「空気」を生み出す戦略PRのノウハウ

    カジュアル世論をつくる戦略PR その1・テーマ設定/カジュアル世論をつくる戦略PR その2・チャネル設計/「おおやけ」感を生み出すマスコミ/「ばったり」感を生み出すクチコミ/「おすみつき」感を生み出すインフルエンサー/大きなテーマと3つのチャネルのシナジーが、カジュアル世論をつくる

    第5章 時代の変化がPRを主役にする 戦略PRが注目されるまでの10年

    戦略PR今昔物語/1999年、まだ「PR」は広く知られていなかった/ネットバブルの出現で急増したPRのニーズ/戦略PRがすでに「当たり前」だったアメリカ/日本でも始まった戦略PRのきざし/戦略PRの知名度が上がるきっかけとなった、2003年の衆議院選挙/ウェブ2・0時代の到来 ネットとPRがいよいよ融合する

    ほか

    ■レビュー

  • 戦略PRについて、「空気」を作り出した実例をもとに説明する本。

    【ひとくちメモ】
    ・PR=パブリック・リレーションズ
    not自分のよさを宣伝する but周囲との関係をいい感じにする という意味
    ・消費者を買いたい気分にさせる空気を作り出すのが戦略PR
    ・カジュアル世論=あなたの商品を売るために作り出したい空気
    ・成功例「永谷園 冷え知らずさんの生姜シリーズ」
    生姜ブームの種をまき、新聞報道から火をつける+研究家の声で信憑性UP
    ウェブサイトを震源地にクチコミ効果発生(ミスキャンパスを使用)→雑誌に取り上げられる
    →冬だけではなく夏のクーラー対策としても、生姜が必要というカジュアル世論を作り上げる
    →生姜シリーズ大成功へ
    ・カジュアル世論の三要素
    おおやけ(公共性)・ばったり(偶然性)・おすみつき(信憑性)
    ・PRは広告よりも費用対効果が高い
    P&Gの調査によると、戦略PRに投下した費用は広告の50分の1であるにもかかわらず、
    費用対効果は広告の2倍だった
    ・現在における情報洪水について
    2008年において、総務省によるとここ10年で消費者が受け取る情報は637倍にまで膨れ上がった

  • *立ち読み 

  •  ものを売る際に、昨今の企業はどのような活動を行うのか?ということで、PRという視点からそれを解説したもの。
     ものを売るには、カジュアル世論を作る必要があるという。製品を売るために作る空気のことを言うらしいが、その空気を作るためには、
    ?おおやけ
    ?ばったり
    ?おすみつき
    を作ることが必要という事だ。

     おおやけとは、ニュースや新聞などが報道することで世の中がその商品に注目しているのか?という感じを作る(←ふつうは、ふーんとここで流してしまう事もある)。そしてばったりとは、偶然、例えばクチコミによりその情報を得ること(←広告のように、わざとらしく出会うのとは違うとか)。おすみつきは、その道の専門家・有名人からの反応を得ること(←例えば、大学教授が効能を保証する論文を出すとか、芸能人がブログで推奨するとか)。

     具体例も豊富で読みやすい。が、若干堀が浅いので(←PRの認知が目的だからだろうが…)、PRの勉強の導入とでも思って読むと一番いいと思う。あと、自分のPRの匂いも感じるwwwま、しょうがないんだが。

  • 消費者の買いたい気分を作りだす、空気の考え方。


    PRの本は少しかじってきましたけど、
    これが一番分かりやすかったですね。
    いろいろとメモを取ることが多かった。

    「おおやけ」「ばったり」「おすみつき」

    これはマストで覚えとこう。

  • 「空気を作る」
    作るためのスキームが細かく記されている。
    空気を作って、広告をのスキームは当たり前のようだが、
    実際に実践している企業は確かに少ないな。

  • 外資系PR会社の取締役を務める筆者が、戦略PRについて分かり易く説明した新書。類書『明日の広告』の100倍出来がいい。<br />以下まとめ。<br /><br />現代は「消費者に伝わりにくくなっている」として、そこには「量のハードル」と「質のハードル」があるとした。量とは、ネットの出現などによる情報洪水(12年で637倍)の事を指し、単純に情報量が増えたために届かないということ。質とは、消費社会の成熟によって真贋などを含め情報に中身を見る目が育ったために、届きにくいということ。<br /><br />そんな今売れるものと売れないものの格差は広がっている。売れるものの他との違いは、商品力や企画力ではなく空気である。今は空気によってハードルを越える時代であり、端的に言えばPRとはその空気を人為的に作る仕事だ。<br /><br />文中ではこの空気を「カジュアル世論」と呼び、その作り方を説明している。」<br /><br />カジュアル世論は主に次の三つの要素からなる。<br />「おおやけ」、「ばったり」、「おすみつき」。それぞれ「公共性」、「偶然性」、「信頼性」を意味する。<br /><br />「公共性」とは、平たく言えば「自分が世間に貢献している」感のことであり、エコだとかチャリティとかがそれである。現代人の物欲は一種の飽和状態にあり、消費とともに自己実現を求めている(ここは文中にない)。そのため、主にマスコミを利用して社会的・公共的なテーマを商品に付加することが重要となってくる。<br /><br />「偶然性」とは、文字通り、自分にとって偶然であることを指すが、ココで重要なのは「必然でない」ということである。つまり、DMなどのように自分狙いの必然的なメッセージではなく、クチコミだとか買ってる雑誌やブログの記事だとか、そうした偶然の重なりが購買につながるということ。<br /><br />「信頼性」とは、簡単に言うなら権威と憧れである。自分の憧れる人だとか、ある分野の専門家だとか、アカデミー賞だとか、「目利き」の能力を持った存在が、今まで以上に強力な影響力を持つということ。PRでは、そうした存在を「インフルエンサー」という。<br /><br /><br />簡単にまとめると、<br />おおやけ→公共性→マスコミ<br />ばったり→偶然性→クチコミ<br />おすみつき→信頼性→インフルエンサー<br />といった感じ。<br /><br /><br />☆PRと広告の違い<br />PRの広告と違う部分を列挙する。<br />PRではメディアにお金を支払って枠を買うことはない。行うのはメディアに情報を提供し、それを取り上げてもらうことである。<br />このように取り上げられた情報は、報道機関というフィルターを通過しているため、非常に信頼性が高い。<br />一方でそのフィルターが有る故に、売り手側のコントロールがあらゆる面で困難になってくるのがそのデメリットである。<br /><br />しかし、PRは広告に比べて総じて低コストで高パフォーマンスを期待できるため、PR先進国アメリカではかなり大規模な市場が出来上がっている。<br /><br /><br />☆キーワード<br />・メディアニュートラル化<br />広告を出す際、その対象メディアを絞らないようにする動き。従来の日本の広告代理店はオファーが来ればまずテレビCMありきだったが、現代の「消費者に伝わりにくい」社会にあわせて、より柔軟な姿勢で臨もうとしている。<br /><br />・CGM<br />消費者作成メディアのこと。<br /><br />・AIDMA、AISAS<br />広告用語。それぞれ、<br />Attention→Interest→Desire→Memory→Action<br />Attention→Interest→Search→Action→Share<br />という消費者の一連の動きを指す言葉。<br /><br />PRはこのInterestを喚起させる仕事である。<br />従来このAとIは広告の専売特許であった。<br />しかし、社会変化により、情況にあわせてIをAIの前に入れる必要が出てきた。よって昨今は、I-AIDMAとかI-AISASというモデルができつつある。

  • ■概要
    ラブレターを差し出せば、すぐにあの人に思いが届く。
    つまり、広告を出せば、消費者がすぐに買ってくれる。
    そんな時代は、残念ながら終わってしまいました。

    疑い深い消費者達は、情報収集力・発信力双方に優れた存在になり、
    「とりあえずテレビCM」なんて考え方では、売るに売れません。どんなに魅力的なものでも。

    現代の消費者には「気付き」と「買う理由」まで与えてあげないと、物は売れない!
    「おおやけ(マスコミ)」「ばったり(口コミ)」「おすみつき(インフルエンサー)」の力で、
    消費者がそれを買う「空気」を作るのが、戦略PR。

    あるひとつのものに対して、世論と言う共有できる意見を作ってあげることで、
    物が売れるような空気を作るのです。

    ■仕事に参考になる点

    テレビCMや雑誌広告を掲載するとなると、規模が大きくなりすぎるので、
    実施するというと選択肢が難しくなりますが参考になることがたくさんあります。

    ・疑い深い消費者を信じさせるために信頼性を高める必要がある
    ・「共有できる意見」=「空気」
    ・消費者に「気付き」を与えて「買う理由」を生み出す
    などなど。

    特に、インターネットを使ったり、システムを使って物を売る場合は、
    そういった重要性が増しますよね。

    この本を読んで、担当しているポータルでやってみたいことが色々浮かびました。
    (まだヒミツです)
    おおやけ・ばったり・おすみつき!!覚えやすくていいですね。

    ■読みやすさ:★★★★★
    文体&用語も易しいので、とっても読みやすいです。
    また、事例が多く含まれており、イメージしながら読み進められるのは魅力。
    読むだけなら1時間もあれば読みきれます。

    ■おまけ
    今日から参加しました。よろしくお願いします。
    みなさんの記載と同じように書いたつもりですが、必要に応じてつっこんでください!

    (あっきー)

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著者プロフィール

本田事務所代表/PRストラテジスト「世界でもっとも影響力のあるPR プロフェッショナル 300 人」に 『PRWEEK』 誌によって選出されたPR専門家。1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードに入社。2006年にブルーカレントを設立し代表に就任。09年に「戦略PR」(アスキー新書)を上梓。P&G、花王、ユニリーバ、サントリー、トヨタ、資生堂、ロッテ、味の素など国内外の企業との実績多数。19年より株式会社本田事務所としての活動を開始。著書に「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力」(東洋経済新報社)など多数。国連機関や外務省のアドバイザー、Jリーグのマーケティング委員などを歴任。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。

「2022年 『パーセプション 市場をつくる新発想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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