薄闇シルエット

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 751
感想 : 157
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737388

感想・レビュー・書評

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  • みんなが点のように通過していくその場所場所に、私だけが立ち止まり、今いるここにまで点ではなく線を引っぱってきて、そうしていつでもその線をたどりそこへ戻れると思っている。みんな戻ってきてくれるのだと思っている。だれも、そんな場所にはもういないというのに。(p.204)

    ・・・・・・・
    自分で自分を変えるしかない。
    それには気づいているけど、
    周りに言われたからやる、それはどこか違う。
    金太郎飴のようにじっと変わらずいたい。
    ハナは分かっていた。
    でも、一歩を進めずにいた。動いてみた。
    変わろうとする。でも、やはり変化は怖い。
    そして、置いてきぼりになる。

    気づけばもういないんだ。
    周りにはなにもないんだ。



    ・・・・・・・・
    空っぽの部屋を嘆くことなんかない。
    だってこれから、いくらでもものを満たしていける。百円だろうが、百万円だろうが、だれの目も気にせずにほしいものを手に入れればいい。‥
    なんにもつかみとっていない、なんにも持っていないーそれはつまり、これからなんでもつかめるということだ。間違えたら手放して、また何かつかんで、それをくりかえして、私はこれを持っていると言えるものが、たったひとつでも見つかればいいんじゃないか。それが60歳のときだって、いいじゃないか。‥私は自分自身にそう確認してみる。

    ・・・・・・・・
    リスタート。

    自分で進んでいく。
    周りがどうこうじゃない。
    執着はしない。
    失敗を恐れない。

    ハナの気持ち、すんなり入ってきた。
    そうだよね、そうだよねと。

    またしばらく経ってからも読みたい本。

  • 2021.4.23-399

  • 淡々と話は進み
    彼女は取り残された感満載
    妹とそんなに違う?
    もちろん分かり合えてるけどね
    頑張れ!

  • 女性の心のひだが描かれてて、うまいなーってなりました。
    いくつになってもその人はその人になっていく!!
    本当にその通り。
    しがみついたり手放したり、なんでもありです。
    その人になっていくための日常だから。

  • 私のことだ!と思った、何年経っても結婚、仕事をする女の考えることは変わらないのだろうか。

  • 独身女性の気持ちはよく分からないけど、想像しながら読んでみました。日々是好日ですね。

  • 仕事も上手くいってないし、恋愛も上手くいってない
    崖っぷちの感じ、ちょっとわたしに似てるなあと思った。

    わたしはまだハナちゃんよりは若いわけだけれども、
    あと何年後かに読むと今よりもっと心にくい込み、苦しくなるのかもしれない。

    ハナちゃんは自分の仕事に自信を持てないでいたけど、
    自分でお店を経営して、絵本も始めたハナちゃんは普通に会社員をしているわたしなんかよりもずっと成功しているじゃないかと思う。

    最後に何歳になったっていい、何度でも失敗して挑戦したっていい、いつか大事なものが一つだけでも見つかれば、って決意で終わらせてくれるこの本は焦っていたわたしの気持ちを落ち着かせてくれて、少し前向きな気持ちにしてくれる。

  • 37歳、仕事に、結婚に悩むハナ。
    ハナみたいに生きていけたら、それはそれでいいなぁって思った。

  • 時間がのろのろと進むような話。母親が亡くなったり、元カレや親友が結婚したりと周りが変わって、本人も変わると思いきや変わり切らない所はいい事なのか悪い事なのか。。この主人公、生きづらそうだけど、なんとなく周りに助けてもらえる人生っぽいので、周りがもやっとするのがわかるなぁ

  • イライラしたりハラハラしたり。
    めんどくさい考え方は自分と通ずるところがあって、もっとシンプルに考えられれば人生楽なのかなぁと思ってしまった。
    ラストでチサトの家に訪問したとき、思わず口に出てしまった主人公の言葉に胸が痛かった。
    『自分だけあの頃のまま、なにも変わらず何も持たずに来てしまった』ということ。
    これはクリーンヒットした。。。痛い。。。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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