- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048737388
感想・レビュー・書評
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こういうどこにもいけない、なににもなれない、それでも生きていたい人が主人公のお話は好きだ。
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37歳独身のハナと古着屋共同経営者のチサト。二人の友情関係や恋愛、結婚、仕事のことなど、アラフォー世代の女性が考えるような認めたくない嫉妬、勝ち負け、などがいろいろ描かれていて面白かった。
ホームメイドケーキ、月とハンカチ、暗闇シルエット、ホームメイドケーキふたたび、記憶の絵本、ウェディングケーキ、空に星・窓に灯 -
37歳独身のハナを取り巻く結婚と仕事と両親との変化。自分は何を失い何を得るのか。20代と変化する価値観と生き方を描く。
女であること、妻になること、母になること、どれも事実であって、それは自分を変えてくれない。変わるのは自分の守りたいもの。そしてそれをどう守るかは自分が決めることなんだと思う。 -
角田光代、おもしろい。
主人公と同じ立場にはないけれど、だけど、わかる部分もたくさんあり、笑って泣いて、するすると読み終わる。 -
まず本の装丁が素敵。こういうところにまずこだわってしまうのって、職業病だな。
お話しを読んでいて、角田さんは心理描写、情景描写がうまい作家さんだなぁ、とだけ思っていました。
しかし、その感想は最後の最後で、うつくしく打ち砕かれます。
ストーリーというか、メッセージが鮮烈だったからです。それが最後の最後で現れてきます。
近代に入ってから現代まで、自由な生き方、縛られない生き方が尊ばれてきましたが、実際のところ、その本質は分からずじまい。なにかにすがらなければ、誰かを基準にしなければ、また、お金とか世間体とかを基準にしなければ、安住はありません。
そのことをモチーフに、お話しにしながら、最後に角田さんは主人公のハナを通して、次のように語らせます。
「私だけだよ、なんにも変わってないの。チーちゃん、私なんにも持ってないんだよ。みんなひとつずつ手に入れて、一歩ずつ歩いているのに、私だけいつまでも手ぶらで、じたばたしているだけなんだよ」
涙なくしては読めないセリフでした。
そして、最後の段落
「そうだ、空っぽの部屋を嘆くことなんかない。だってこれから、いくらでもものを満たしていける。…私はふと立ち止まり、広げたてのひらに視線を落とす。あの部屋のように、何ひとつつかんでいないからっぽのてのひらが、淡い闇に頼りなく浮かび上がっている。なんにもつかみとってない、なんにも持っていない--それはつまり、これからなんでもつかめるということだ。…」
味わい深い、想い、です。 -
40前の結婚出来ないオンナを描くのがうまい。しかし共感は出来ない。私が同じ結婚出来ないオンナだったらまた感想も違ったかもしれない。「私は〇〇が嫌い」と嫌いなものでしか自分を語れないオンナたちの寂しさ。それがじれったいというかイライラするというか、なんかストレスのたまる小説だった。
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波もなくただひたすらにリアルに37歳の独身女性を描く
リアル過ぎてちょっとだけ怖い
僕も何も決めないまま
目標もないまま歳をとっていってしまう気がする
励ましもしなければ落としもしない
角田さんらしい話だ