球体の蛇

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739849

感想・レビュー・書評

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  • 人が死に過ぎ,サヨに智子に乙太郎の妻に最後に乙太郎も死んでしまう.人の死とその謎いう特殊な状況下でそれぞれの責任を感じて悩む主人公達.主人公トモの成長の物語でもあるのだが.もう一つ焦点がぼやけている気がする.

  • 1月18日読了

  • ミステリーではないけれど、でも結局本当のところは、、、と、ミステリーっぽいです。まあ、自分では善かれと思ってしたことが、思いもかけない結果になってみたり、人生はままならぬものです。

  • 主人公友彦が十代の頃を回想する形で語られている。内容はともかく、ちょっと暗いんだけどせつない感じとか作品全体の空気感がここちよい。まるでスノードームの中に入ったよう。

  • で、誰が悪いの? と延々と考えるけど答えに困る。一人の少女の死が彼女に関わるすべての人を巻き込み人生を変え、果ては・・・何が本当で何が嘘なのかをまた延々と考えて読了 というなんとも後味が悪いけど心にズドンと残る作品。しばらくこういうのはいいかなぁ。。。

  • 道尾秀介の直木賞候補作。

    出来は直木賞とっても良いんじゃないかと思える出来。
    単純に面白いという話ではなく、考えさせられ、切ない気持ちが心に残る。
    残念なのはタイトル。「蛇」という単語が入っているのがちょっとマイナス。あと、タイトルのフォントももったいない。

    ジャンルは道尾秀介の球種の中では向日葵の咲かない夏とかと同じ球種。
    ストーリーは説明するのが難しい。6年前に死んでしまった幼なじみとその母親。その死に対して後悔、悔いを感じる主人公。
    そこに死んでしまった幼なじみと似た女性を見かける。

    なんて話だけど、説明しづらい。

  • 何かの事件が起こったとき、間接的に絡んだ自分の行為がそれに影響していると思うこともあるだろう。

    そうした意識が直接手をくだしたわけではないのにこの人を殺したのは自分だと、に思い込ませる。悲しい思い込みの結果が次の不幸を呼び寄せる。青い薄暗い印象の作品だった。

    『星の王子様』の呑み助の哀しみがリアルに迫ってきた。

  • 購入者:kdm
    購入日:2010/01/06

  • 2010-1-1
    ミステリでもホラーでもない作品ということですが、本質は同じ。
    怖さも惨さも謎解きも味わえる文芸作品。
    後は読み人にお任せしますということだろうか。
    読後「星の王子様」を再読。
    (直木賞候補作)

  • 17歳の友彦は離婚した両親の元ではなく、隣に住む親切な家庭に身を寄せ、その家業「白蟻消毒」もバイトとして手伝う高校3年生。ある日、白蟻消毒の点検で訪れた家にいた女性に心惹かれる。彼女は以前亡くなった幼馴染の少女サヨとどこか似ていた。名前も知らない彼女会いたさに友彦は再び屋敷に近づくが…。捻りすぎなくらいじゃないと満足できない気がしてきた道尾作品だが、この作品では捻りや返しではなく、自分の罪と上手く向き合えずに暮らす人々の痛々しさ、人を思ってつく優しい嘘が、物語の中に読者を引き込む。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】友彦が白蟻用点検用の入り口から屋敷の床下にもぐりこんだある夜、火災が起き屋敷は全焼、主は死亡する。そしてその犯行を友彦によるものと誤解した女性・智子、その誤解が絆だと思い自分の犯行ではないにもかかわらず曖昧な態度をとる友彦。ふたりの奇妙な関係の始まりから終わりの短い冬、そしてその後まで描かれている。『星の王子さま』の登場人物や場面を所々に織り交ぜながら、友彦と両親の不仲・不和、友彦を幼いころから可愛がってくれた橋本家を襲った悲劇が次第に明らかになる。自分の不注意のせいで妻と娘を亡くしたと思いこんでいる乙太郎の哀しさ、自分の稚拙な同情心から幼馴染を自殺に追い込んだ負い目をもつ友彦、自分の軽はずみな行為で火災事故を起こしたと脅され傷つけられてきた智子。皆が皆心に深い傷を負いあまりにも痛々しく物語は重い。暗い雰囲気のまま終わるのかと思ったので、最後の友彦とナオの結婚がやや無理にまとめたように感じたが、全体としてはこれでよかったのかもしれない(じゃないと救いがない)。

  • 初のノンミステリとのこと。
    ミスリードが売りになってしまっている道尾作品だけに、「どこにひっかけが?」と読む癖がついてしまっているのは残念なことだと思うので、もう一度「ミステリではない」と念頭に置いて読み返すべきか。

    最終的にはいい話だと思うけれど、行き着くまでが如何せん暗い。
    なんて言うか、縁の下の暗さ?
    智子といい、乙太郎さんといい、サヨといい、
    黒く妖しい人物が揃いすぎて、ちょっとボケた印象。
    そんな主人公が一番のド変態だし。
    それが思春期?
    いやいや、違うはず。

    読後は爽やか(無理やり感はあるが)。
    嫌いじゃないです。

  • ミステリーではないけど、よかったと思う

  • テーマが重く、今ひとつ入れなかった。

  • 道尾作品の中では、少し地味目な部類に入るかな…。欲から出た嘘や優しさ(偽善?)から出た嘘が、人々を惑わせ、狂わせていく。「ノン・ミステリー」と言われているケド、ミステリー風味はしっかりあるし、いつもながらの”悲しさ”も健在。でも、「なんでそれが起きたの?誰がやったの?」が、想像ついてしまう気がする…。「そりゃ、アイツがやらかしたんだろう」って。

  • これまで読んだ道尾秀介の中では一番よかったと思う。事の「真相」がどうかということよりも、それぞれの登場人物の抱える悲しみが切々と迫ってきた。どうにもひねりすぎと思えてならなかった話の作りも今回はさほど気にならなかった。この作家の場合、たとえ少々不自然でも「あ〜そうだったのか〜」と巧妙な筋立てを楽しむつもりで読む方がいいんだろう。そういう意味ではぐいぐい読ませる。「ラットマン」でも思ったが、この人は孤独な若者を描くととてもうまい。ひりひりするような魅力がある。

  • 幼馴染の死と、幼馴染に似た女性との出会い。真実が分からないまま、それぞれが嘘をのみ込んでいく。

    大きなどんでん返しもなく、真実もはっきりとは分からない。
    騙された!というようなものもなく、もやもやとした曖昧さを著者が意図しているのならば、当たりだと思う。
    好みではないので、評価は低い。

  • <table style="width:75%;border:0;" border="0"><tr><td style="border:none;" valign="top" align="center"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048739840/yorimichikan-22/ref=nosim/" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/513%2BtsxpvwL._SL160_.jpg" alt="球体の蛇" border="0"></a></td><td style="padding:0 0.4em;border:0;" valign="top"><a href="http://blog.fc2.com/goods/4048739840/yorimichikan-22" target="_blank">球体の蛇</a><br />(2009/11/19)<br />道尾 秀介<br /><br /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048739840/yorimichikan-22/ref=nosim/" target="_blank">商品詳細を見る</a></td></tr></table>
    <blockquote><p><strong>1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―。青春のきらめきと痛み、そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。</strong></p></blockquote>
    冒頭に、『星の王子さま』の中のゾウを呑み込んだウワバミの逸話が載せられており、それがこの物語を象徴している。呑み込んだものの真実は、ウワバミ自身にしかわからない。
    乙太郎さんの葬儀に向かう現在の友彦が、十六年前の少年時代を思い出すという形の物語である。その思い出は、高校生という輝かしい時代であるにもかかわらず、どうにもならない哀しさにあふれていて読む者の胸の裡を切なさで満たす。思いやりから出た嘘が、勘違いから出た嘘が、人をこうまで縛るのか。一度狂った歯車は、二度と元に戻せはしないのか・・・。ラストの明るい未来にさえ、嘘の影が寄り添っているのか。影を消すほどの光が、ふたりに降り注ぐことを祈らずにいられない。

  • どんでん返しを捨てて、内容で勝負した本作。
    何でこの人の話には家族がいないんだろう。説明的過ぎる描写や、都合の良い回想、乗りきれない話展開。結局、なんだったのか分からないもやもや感。まるで興味を持てずに最後まで辿り着いてしまい、悲しかった。
    次回作に期待。

  • 読了

  • 2009/11/24読了

  • 1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―。青春のきらめきと痛み、そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。


    《2009年11月25日 読了》

  • 2009/11/25読了。

  • 文句なく素晴らしい作品です。

    自信を持って勧める事が出来ます。



    こんなにも切なく、悲しく、やるせなくなるとは。。

    ほんとに極上の物語です。

    魂を揺さぶる最新最高到達点でした。



    最初から道尾秀介ワールド炸裂でした。

    読んでいて、あぁこの流れがすきなんだよねぇ。

    と、たびたび感じて。

    これこれこれと心の中で何度叫んだかわからない。



    あと道尾秀介は、なんか気持ち悪い事、タブーな事を平気で書くんだよね。

    ストーカー的行為だとか、女性を襲うとか。。

    龍神の雨がそうだったし、今回もそう。

    読んでて不快なんだけど、

    なぜだか不快を感じるのに、少しわかる気もする自分が

    また嫌だったりするし。

    「自分にもあるだろ、やったらいけない事をやりたいと思った興奮って。」

    って言われているみたいで、読んでる時点で罪悪感があるんすよ。



    今回はミステリーではないと聞いていたのだが、

    ミステリーっぽい雰囲気がたくさんでした。

    叙述的というか、あえて読み手に語らない部分があるのがね。

    そこが道尾秀介好きにはたまらない。

    まぁ嫌いな人はそこが嫌いなんだろうけどね。



    球体の蛇のタイトルが意味する世界

    それが読み終わった後で、物凄く感じられました。

    相変わらずタイトルの付け方が上手すぎです。



    読んでいる途中から、3章の前ぐらいから、

    どんどん切なくなって、痛くなって、苦しくなって。

    道尾秀介にしては珍しくずっと一人称で語られるから、

    なおさら感情が入ってきちゃって、

    ほんと嗚咽しそうになったし、大声で泣きたくなった。

    たのむから止めてくれよと、そんな展開は辛すぎるよ。

    そう願いながら読み進めました。

    ほんと、すごい作品です。



    最後は道尾秀介らしい終わり方で、

    私としては最初から最後まで、

    満足です。

  • ドロドロしたお話でした。
    後味悪い話大好きな私としては良い読後感です(´∀`)
    人の悪意も好意もどういう結果に繋がるかわかりませんね!
    誰も悪くなかったんだと思うよ。
    本当か嘘かわかんないけど知らなくていい事もあるよなぁ。
    モヤモヤッ

  • 悲しみが足元からじわじわと這い上がる。手の指先が震える。人はどうしてこんなにも悲しい生き物なのだろうか…両親の離婚により隣の家に居候することになった友彦。世話になっている乙太郎と娘ナオと友彦には大切な人を失った「事故」の悲しい記憶がある。一枚ずつ薄紙をめくるように、事故の真実が現れる。誰かを守るために付いた嘘がより一層誰かを絶望へと追い詰める。やっぱ、道尾秀介すごいわ。上手いわ。もう一気に読み終えるしかないわ。ココ最近読んだ中で一番だわ。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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