球体の蛇

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.35
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739849

感想・レビュー・書評

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  • 青春という種は嘘に埋れて、芽生えようとしているが、結局最後には花になれなかった。

  • 文章の上手さ・テンポ・美しさ・絶望感。

  • ハマり中の道尾さん。
    今回は、いつものような驚かされるものはなかったけれど
    相変わらず、引き込ませてくれるなぁと思いました。

    内容的には、大変暗くて重くてせつなくて
    胸が苦しくなりました。
    どの登場人物も嘘だらけ。
    でも、最後はその嘘全てのおかげでみんなが幸せになれたような気がしました。
    一体、どれが本当でどれが嘘だったのかはわからないけれど。
    でも、すごく暗い本だったので、明るい気持ちで終われて良かったなと思いました。

  • 映画「カラスの親指」が愉快だったので、著者の本を読んでみた。下調べなしに選んだら、けっこう陰鬱な気分になる話だった。

    これは、芥川龍之介「藪の中」のようでもあった。ひとつの事件において、当事者それぞれが、違う視点を持っている。何が真実なのか?嘘なのか?

  • 道尾作品を今まで何冊か読んできたけれど、これが一番好きかも知れない。いつものような終盤での思い切ったどんでん返しはないけれど、淡々とした静謐な文体が先へ先へと読ませる。一度吐いた嘘は死ぬまで飲み込んで生きていかなくてはならないのかな。それぞれがどろどろしたものを内包しているんだなと思うとなんだか恐ろしい。これを読んで思ったけど道尾秀介は矢張り抜群に文章がうまい。装丁も綺麗。2011/415

  • 主人公の恋した2人の女性が、ともに自殺してしまう。
    主人公の家族と居候先の家族の間に犇めく哀しいストーリーに主軸が置かれているが、ミステリー要素もあまり新鮮味がなく、特に女性の人物背景の描写があまりうまくないため、感情移入ができないまま、単に暗い気持ちのまま読了してしまった。

  • 良かった。道尾節とでも言うべきか。抑えた感じか好き。星の王子さま読んでみるかな。

  • 道尾作品を読むのは久しぶりでしたが、やっぱ読みやすいですね。終始、鬱々としたお話で、正直読んでて楽しくはないんですが、でも気になって読まずにいられない^^; 思い込みと嘘が積み重なって、時の流れが登場人物たちを押し流していく様が何ともやるせないというか…結局真実は闇の中だけど、あえて闇の中に置き去りにしなければ生きてゆけないのが人生ってやつかもしれないとか思ったり。

  • 75

  • 優しい嘘だって結果的に相手を余計に傷つけることもある。言葉を選んでどんなに思いやっても傷つけることもある。不用意に慰めるよりは真実は闇の中の方がよいのかも。他人を死に追いやっておきながらたいして半生もせず後悔の念も持たずにいる人間を知っているが、それくらいでないと他人を死に追いやっても生きていけないのだろうね。法でさばけることだけが犯罪ではない。

  • これまで読んだ道尾作品とは違い、とても文学的な感じを受けました。とは言っても、私自身文学に精通している訳では無いので、感覚的なものでしかありませんが…。 始めに受けた印象としては、”私”という人物と、”ともちゃん”という名前。 この二つに今回も騙されるのでは?と疑心暗鬼の中で読みました。 冒頭で文学的と書いたのは、これまでとは違って騙されなかったことにあるのかもしれません。 この小説はトリックとかでもなく、直球で勝負した作品なんだろうと勝手に考えました。 しかし、丁寧に小説を書く人ですね、道尾秀介さんは。

  • 最後少し救われる終わり方ではあるんだけど 乙太郎さんのことを思うととても重い気分になってしまった。 誰もが悪くないからこそ、ひとりひとりの絶望感や相手に向かっていく気持ちが切ない。 主人公の言いたくないことを言ってしまうやるせなさがすごくよくわかる。

  • 星の王子さまに出てくる、象を飲み込んだ蛇とひっくり返すと雪が落ちるガラスのスノードームがキーワード。真実と嘘が織りなす。

  • 本屋さんの店頭で書かれていた書評によると、ものすごく面白そうだったので買ってみた。期待しすぎだったかも。

  • 呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない――。

    キャンプ場で起こった火災により大火傷を負い、その後自殺したサヨ。その死に誰もが負い目を感じていて、お互いに相手を想うあまり嘘をつく。結局、どれが真実だったのか分からないまま。
    それぞれの登場人物が皆いい人なのに、心から幸せになれない展開に切なくなった。

  • 悪意のある嘘、相手を思いやっての嘘、それらが悪い方へ転がり、話が二転三転していきます。
    何が嘘で何が本当なのか、登場人物も自分もわからず、翻弄されていくばかり。そして過去が繋がった時、、、こんな悲劇的な巡り合いがあっていいものなのか。。
    全てが終わったと思ったら最後の最後でまた疑問が!!
    もやもやしたまま終わってしまいました。

    【1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―】

  • ミステリー小説。
    あっという間に読んじゃった。
    物語展開もさることながら、文章も大変卓越していて、面白い!
    素晴らしい!!

  • 嘘が嘘を呼び、罪の意識を抱えて生きていく、という、話。結局本当のの真実は誰にもわからない、だから結末はこれで良いのだと思う。大どんでん返しはなく、終始鬱屈とした雰囲気は純文学的。エグさとどうしようもない文章の美しさは毎回ながら素晴らしいです。

    人の持つ普段は目を逸らしたくなるような残酷な負の面を容赦なく抉り出してくる話が多いので、読み手を選ぶなと思います。

  • ん〰・・・
    冒頭のあたりは他の作品と同じく笑えるし、途中乱歩っぽい展開で期待する部分もあったのですが・・・
    最期は悲しい青春ドラマ的になってしまったかな?道尾作品は結構当たっていただけに個人的にはもの足りなさが残ります。

  • 著者の作品は、どれも読み易く、登場人物たちはキャラクターが立っていると感じます。一方で、著者の作品に期待する仕掛けの類が今作は無く、肩透かしを食らった思いは読後にありました。

    登場人物たちそれぞれが、傷を負い嘘をまとっていく姿は切ないです。

  • 嘘をついていたのは誰だったのだろう?面白かった。

  • 最後まで暗い話。結局何が嘘で何が本当だったのか…。やっぱりナオのは嘘?

  • どんでん返しがあるのかと思ってた読んでたけど、全然そんな感じではなくてミステリではなかった…
    なんか暗い話でもやもや…

  • なにが真実でなにが嘘かなんて、最終的にはわからないのかもしれない。
    ずっしりと重い、隠しごとと後悔の話。
    ここまで劇的ではないにしろ、人に言えないことをたくさん抱え込んで生きていたころの自分を生々しく思い出した。

    真実(?)を知ってしまい後悔するというくだりは山川方夫の「夏の葬列」を彷彿とさせる。

    これが初めての道尾作品だったのだけれど、レビューを見た感じではこの作品は著者にしては珍しいタイプの話なのかな。ほかの作品も気になる。

  • 今まで読んだ本がどんでん返しが面白かったので、それを期待したのが間違いだった。違うんだよね、ジャンルが。結局みんな自分を責めて少しの嘘ついて。最後は?って終わりかたで、なんかモヤモヤした。

  • 人間の暗い部分を徹底的に描いているからかえって共感できる。
    些細な過ちや嘘や欺瞞が積み重なって、深い悲しみや後悔、罪悪感に変わっていく様がとても恐ろしく切なく感じられた。
    それでもこの作品は救いの物語なんだと思う。
    道尾さんの作品の中で一番好きなのだが、いまいち評価されていないのがちょっぴり不満だったりもしてる。

  • 何の巡り合わせか、こんなにも繋がるなんて!!と、やられた感満載♡途中暗く沈んで読みにくいかもと思ったけど、最後の最後でほっこりした感が味わえた(○´∀`○)

  • 悲しい勘違いが悲しい出来事を引き起こす。一つの勘違いがまた新たな誤解を生んで、結局みんな悲しいだけだ。誰かが素直になっていれば防げたのかな。すごい悲しい。正直でありたい、正直に生きたいって思う。まあ難しいんだろうけどね。

  • 道尾作品の中では特別印象的な作品ではなかったかも。

    一人称が「私」だから、例え大人になった友彦の語りだとしても、これはきっと友彦に見せかけたトリックだ!と、穿った見方をしてしまった。
    この作品に限ってはもっと素直に読めば良かったなぁと思いました。
    ただラストは全体的に丸く収まって個人的にはハッピーエンドだと思うので読了感は悪くないです。
    智子に関してもナオの嘘だったとあたしは解釈してるので、これからの友彦とナオが幸せであれば良いなぁと。
    あたしが女だからかもしれないけど、智子がそれほど魅力的な女性に見えなかったのがちょっと残念かな。

  • 面白い。
    感想としては、よくできた話だな~って。
    最後に「あの人」の影を見るところ、生死がはっきりしてないが、読者は必ずハッピーエンドを考えてしまうはず。
    切ない話

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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