ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA (2017年2月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048926409
作品紹介・あらすじ
ビブリア古書堂に迫る影。奇妙な縁で対峙することになった劇作家シェイクスピアの古書と謎多き仕掛け。そこには女店主の祖父による巧妙な罠が張り巡らされていた。日本で一番愛されるビブリオミステリ、ここに完結。
感想・レビュー・書評
-
この物語も、いよいよ大詰めです。
佳境に入ってきました。
まず、今までと違って、最初に登場人物表がついています。
そして、相関図まで載っています。
相関図は、栞子さんの家系図と、大輔の家の家系図の二つあります。
栞子さんは自分が、父のライバルの古書店主、久我山尚大の孫であるということを、知ってしまいます。
そして、脇役の坂口夫妻には男の子誕生。
志田は行方不明。
田中は服役中。
文香は受験生です。
大輔と栞子さんは結婚を前提に付き合っています。
この回では久我山尚大のところで、昔働いていた、舞砂道具展の吉原喜市が登場して、栞子さんに今度は振り市で、シェイクスピアのファクシミリの赤、白、青の三冊の中からファースト・フォリオの本物1冊を、中身を見ないで母の智恵子と争ってせり落とすようにという無理難題をふっかけます。
文香の学費が欲しい栞子は受けてたちます。
智恵子は、大輔のことを栞子にとって存在価値のない人間だと大輔に告げます。
7巻も引っ張ったのだから、一体どういう結末が待っているのかと思いました。
今まで登場した、古書店の店主たちも一堂に会します。
本、一冊がもの凄い値段で取引されていきます。
圧巻!
どのくらい凄いかというと、ネタバレですが、家が2軒は買えるくらいの値段です。
大輔も、最後に、大活躍します。
そして大輔と、栞子さんは…。
もう、おわかりですよね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物語はいよいよクライマックスへと向かいます。
今回は、世界で最も有名な劇作家シェイクスピアの稀覯本に関する謎解きです。
有名とは言っても、海外の古典で、戯曲など読んだこともなく、題名は聞いたことがあっても、どの作品が喜劇か悲劇かも知らないという読者にも分かりやすい説明がされていて、安心して読むことができました。
シェイクスピアの没年は、徳川家康と同じだそうです。
およそ四百年前の作品には、数々の名台詞が残されていて、言葉の偉大さに驚かされます。
母智恵子が家族をおいて家を出た理由や、出生の秘密が明かされていて、それらがシェイクスピアと絡んで、とても読みごたえのある一冊でした。
栞子さんとの母娘対決は、臨場感あふれていて、青白赤の三冊のシェイクスピアの稀覯本の謎に思わず釘付けになってしまいました。
最後は何とも微笑ましい終わり方で、本の話をする栞子さんと、それを傍らで一生懸命聞く大輔の姿をいつまでも見ていたくなります。
『ビブリア』はこの先もまだまだ続いているようですが、十周年たった今、第一巻から七巻までを一気読みできて良かったです。 -
2022/05/30読了
#三上延作品
古書にまつわる日常の謎解き。完結。
シェイクスピアのファースト・フォリオ
をめぐり栞子さんと母親の最終対決。
栞子さんに対するひたむきさが
五浦くんがみんなから愛される理由なんだな。
そして最後の覚悟がかっこいい。
シリーズ一気読みしたけどなかなか良かった。 -
シリーズ7話にして完結編。
ビブリア、並びに篠川家に訪れた最大の危機。
シェイクスピアの古書を巡り広がる家族の因縁。罠。
今回はより切迫した物語でした。
エピローグでも物語は大きく動き…。
全体を通して面白くいいシリーズでした。 -
6.7読了。シリーズを通して、時に迷いながらも絆を深めていく、かけがえの無い関係性が好ましかった。
あとがきにて。当初シリーズ化は想定されていなかったと記述あり。ふに落ちた。構成含めた完成度は1巻が抜きん出ていた気がする。
視点を変えてまだ物語はつづく。
またしばらくして(まとめて)読んでみたい。 -
足掛け7年かかったこのシリーズも、ついに最終巻。
やはり、主人公の二人は決まるべきところに決まったというのが、最終巻の最終巻たるべき落としどころか。
今回は、シェークスピアの古書に纏わる謎解きで、門外漢の身には、ちと興味が削がれる題材ではあった。
参考資料の列挙から、この作品に対する著者の並々ならぬ努力が感じられ、敬意を禁じ得ない。
また、あとがきで、番外編やスピンオフに言及しており、どんな話が綴られるか、楽しみに待つとしよう。 -
やっと辿り着きました最終話。
ビブリア古書堂の店主・栞子さんが対峙した古書は
最終話にふさわしきかな"ウィリアム・シェークスピア"。そして
最後の最後まで引っ張られていた母・智恵子失踪の真相に至っても
海の向こうへと飛んでいくとは、こちらもなんとも最終話らしい終わり方でした。
"ビブリア"のこれまでを思い起こしてみると、私にとっては5年の月日。
本を読むことは元々好きですけれど、5年前というと、読書熱が
緩やかながらにも上がりだしてきていたという頃だったので
後半の発行が待たされた時などは、いつかいつかとそわそわして
落ち着かないものでした。あんまり間があいたら忘れちゃう...!
案外複雑だった相関図。
発行が待たされてしまった分、忘れかけていた相互関係についても
最終話では、これまでを遡ってなぞるように進んでいってくれたので
思い出し思い出し、すんなりすっと古書の世界に入り込むことができました。
栞子さんんと大輔くんの関係について当初、あらぬ..?...なさぬ?
全く別の方向への展開を想像していたことが今となっては懐かしい...。(笑)
そして、ビブリア古書堂で栞子さんが取り上げてくれた数々の名作。
恥ずかしながら読んだことのない作品ばかりで、これではいけない
もっと読まなければ 、もっと読みたいと、私の読書熱をさらに
高めてくれたのも"ビブリア古書堂"でした。
大輔くんがモノローグでぼそぼそと語る、栞子さんのことを想う
つぶやきが好きでした。栞子さんの古書についての熱弁に
頷いたり驚いたり、栞子さんのしぐさを分析して予測して
危険を未然に防いだり。はてまた栞子さんの予測のつかない
とんでもない行動に仰天して、冷や汗ものだったりしたことも
どれもくすりと笑えてしまうのだけど、大輔くんは栞子さんのことを
ちゃ~んと見ていてくれるんだなぁ...って....。
恋人が、好きな本を開いて物語ってくれるその傍に寄り添って
耳を傾け頷きあう二人の図....。なんかいいね。