86―エイティシックス―Ep.11 ―ディエス・パシオニス― (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049141498

作品紹介・あらすじ

 それはあまりにも突然だった。
 全てを無に帰する、咆哮、閃光、衝撃。
〈レギオン〉の攻勢に人類全てが後退を余儀なくされる中、シンとレーナたちに命じられたのは絶望的な撤退作戦だった。
 そして共和国へと再び足を踏み入れた彼らが目にするのは、確実な滅びを前にしても変わらぬ、変われない、かの国の姿。
 それでも、作戦は始まる。
 諸国を転戦し、帰る場所を知った彼らは暗闇の中を一歩ずつ進むが、しかし――。
 眼前に立ちはだかる亡霊の群れ。
 洞のように空虚な銀色の双眸。
 なぜ助ける。赦すな。鏖せ。復讐を。
 なぜ助けない。薄汚い色付きどもめ。

 憎悪と怨嗟の絶叫が響き渡る、Ep.11。

"鋼鉄の軍靴は血塗られたマグノリアを
踏みつけ、受難の火が彼らを焼く。"

感想・レビュー・書評

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  • まさかアルドレヒト中尉が…
    その声を聞いた時のみんなの衝撃と悲嘆を想像すると辛い
    シンエイ・ノウゼン中佐って階級が変わってるのも気になるし、あの終わり方は反則‼️今後がすごく気になる!!

  • 11巻読み終わりました〜。
    86新刊を読むたびに読みにくいなといつも思いますけど、、、面白い。読んでいてただ面白いのではなく、各キャラクターの背景を考えるとこのキャラクターは今辛いだろうなとか、"誰か言い返して!"って思ったりとか、こんな展開になって欲しいとか。行間を読んで楽しめる作品が86。個人的にどハマりしてます。12巻も楽しみです。

  • 戦争を終わらせる光明が見え、ここら反転攻勢!と思っていたけど一夜にして形勢逆転。そして共和国民退避の救援へ向かってみれば、待っていたのは”86"vs"86"の悲劇的構図。本当にこの作品の神<作者>は悪魔だな、と。とはいえ、今回全体を通してシンたち"86"の共和国民への蟠りに一区切りついたことは、彼らにとって一歩前進できたのかなと思いました。そして前巻でシンの過去を掘り下げたエピソードを挟んだからこそ、今回の救援作戦で遭遇した一連の出来事に対し、シンがどういう思いを抱いて行動したかが強く伝わってきました。

  • 戦わず人を責めることしかできない人間の醜さが印象に残る。
    自分以外だったら誰でもいい。86区の人でも、同族でも。自分の代わりに戦って死んでくれ。
    汚いものは見たくない。残酷な世界、終わらない戦い、死体、これまでの所業、自分の罪。
    人の頑張りも見たくない。見たら自分もやらなきゃいけないから。戦わなくてはいけないから。
    戦いたくない、それなら死を選ぶ。

    周りは戦ってるのに自分だけ白旗をあげて楽になるのか。お綺麗なつもりのまま死ぬのか。
    蹂躙されるがまま、受け入れて死ぬのは生物として間違っているように思う。

    自分だったら、
    人以外が相手だったら人類存続のため、戦えるのかな。
    言葉は交わせず、意思疎通ができない相手ならしょうがないと言えるのかな。
    相手が人だったら、殺されるより殺す側の人間になれるのかな。
    まだ自分自身のことは想像が追いつかないけれど、それを選択して、また選択すらできない人たちがこの世には大勢いて、現実には戦場があるんだよな。

  • 第9巻にてエイティシックスの多くが戦争の無い世界について考えられるようになって、更にはレギオン停止への希望も見えてとかなり事態は良い方へ向かっていると感じられたのに……!
    たった一日で戦局が引っ繰り返るってどういう事さ…。おまけにその方法が衛星軌道上からの攻撃だなんて……

    本作は早い時点でレギオンによって空が封じられたから、ある意味では前時代的な地上戦に終止していた。それが本作の特徴だと思っていた。だから慮外の衛星軌道をレギオンが利用する展開は本当に予想外で
    これまでもレギオンによって幾らでも発生してきた理不尽。その極地を見た気分だよ……


    あまりにあまりな被害と戦線の後退。けど、その中でもギアーデ連邦は上手くやった方なのか…
    人類の中ではまだ余裕がある方に分類されてしまうから、連邦に求められる新たな役割は他国の救援で、そして真っ先に上がるのが共和国ですか…
    4巻でもエイティシックスが共和国での作戦を行う際に様々な軋轢が生じていたけど、あれはあくまでも共和国内での作戦中の出来事であって、共和国民を直接に救うものではなかった
    けれど、連邦軍とそれに並ぶ形で共和国民を撤退させるとなったら、それは直接的にエイティシックスが自分達を迫害した者を救う意味に他ならなくて
    一応、4巻の時と同じく、最初は共和国民を「言葉を話す白豚」と無視していたエイティシックスだけど、あまりに彼らの醜悪さが度を越しているのものだから別の気分の悪さを感じる結果となったようで

    第一次大攻勢によって国民の大多数が死に、更には自分達を自分達で守れないからと連邦に守られ、今も連邦によって救出される最中だというのに、相手に責任を押し付け合う共和国民の醜さったらないよ…
    群集心理を考慮したとしても、ここまで「抗う意思」を放棄できるものかと驚かされてしまう
    エイティシックスであれば、「自分達はこんなものに迫害されていたのか」と力が抜けてしまうかもしれない光景

    それは別の意味でエイティシックスを過去から脱させるものとなるね
    彼奴等にこだわり続ける意味なんて無い。自分達は先に進むから彼奴等は変わらずに責任を押し付け合えば良い


    9巻で示されたような未来性のある変化ではないけれど、エイティシックスがまた一つ過去から進むイベントとなったのかなとそう思っていたよ。レギオンが現れるまでは……

    これまでレギオンは無慈悲な存在として君臨し、人類を蹂躙してきた。そこには情がなく、あくまでも効率を重視しているから戦略を読みやすい場面もあったし、敵の思惑なんて考える必要もなかった
    でも、以前にヴィーカが指摘したようにレギオンに<羊飼い>が増えた事でそこに人の意思の介在が見え隠れするようになった
    今回の件はレギオンに本来ある筈のない人の意思が極端に出た事象だったと言えるんだろうな…

    だからってあのような虐殺をするだなんて。特に重戦車型の火炎放射器仕様を見た時には絶句してしまったよ。敵を倒すのではなく、人をいたぶることに最適化された異端のレギオン
    レギオンが元々そのような存在ならレギオンをただ恨めば良いだけ。けれど、今回のレギオンに籠められているのは共和国によって無惨に殺されたエイティシックス達の亡霊
    なら、これは共和国の罪であり罰なのだろう。そしてエイティシックスにはその資格がある
    なのにシン達エイティシックスはそれらから共和国民を守らねばならない

    エイティシックスがエイティシックスから共和国民を守るという不条理
    シン達が抱える事になるのは罪かそれとも正義か。その苦悩が最高潮に曖昧となった瞬間にリヒャルトが当たり前のように言い放った判断が良かったなぁ…
    最悪の中での次善、救える者を救う。自分を誤魔化す者であれば到達できない公平な判断。言い訳のような建前で政治を持ち出しているけど、そこに確かに存在するのは後進を思い遣る心。彼の遺言と表現出来る言葉達は深く心に突き刺さるよ…

    だからシン達は不満に蓋をして残った共和国民を救出できる。その過程で新たな理不尽を背負おうとも


    果たして救えたのは何だったの?守ったものに価値はあったのか?失ったものこそ大切だったのではないか?
    考え始めたら幾らでも浮かんでしまう疑問。果たして本作の物語は破滅へ向かっているのか、至福へ向かっているのか?判らなくなるラストだったよ……

  • 終わりが近いかと思っていたら、戦況が悪くなった
    けれど終盤の雰囲気を漂わせながら話が進んでいる
    リヒャルト少将素敵〜、名言ありました

  • 全く割に合わん作戦やった

  • ジャガーノートの整備のおじさんとレーナの父までレギオン側にいたことがわかった巻
    最初にレーナ回顧録の引用文から「シンエイ・ノウゼン中佐に捧ぐ」の文があったからもしや?と戦慄したけれど、シンとレーナは心はともかく身体は無事
    フレデリカが止めるキーになるというから物語の終わりに向けてまくってくる巻かと思いきやまだまだ続きそう

  • そろそろキャラクターを忘れてきている。誰が誰だったっけか。
    文体の読みにくさは健在だが、話は面白い。

    レーナの故郷である共和国が、レギオンから攻撃を受ける。虐げていた側が今度は虐げられる側になったのだ。
    86達は、溜飲を下げるかと思いきやそう単純ではなかった。
    彼らは複雑な気持ちを抱えながらも、共和国民の避難支援を行ったのだ。もう、偉いとしか言えない。思うところはあったんだろうけどね。

    それにしても共和国民、自己中心的な人が多いこと。自分の方が人種的には上だから先に避難できる…とかね。アホかと。
    人間いざとなったらこうなってしまうのだろうかと思うと少し怖かった。

  •  2022年2月刊。最終章、突入!……のはず。巻頭に置かれた、レギオン戦争終結後にレーナが執筆した(と思われる)書籍の献辞に胸がざわつく。「故人に捧げてるんじゃね、これ?」と。本巻で、この献辞の伏線(?)は回収されなかったが、どうにも気にかかる。この献辞だと「シンとレーナは結ばれずに終わるのではないか?」と思えてならない。こんな不穏な献辞から、事態は急転直下。
     レギオンによる衛星軌道からの奇襲攻撃で、人類側の各戦線が劇的に押し返される。だが何故か、共和国だけは、この攻撃対象から外されており……。レギオンの意図が読めないまま、連邦は共和国民の待避計画に着手するが……。
     共和国の特権階級が、自分たちを最優先に避難させるよう、根回しているという描写にゲンナリ。これが最近、私がアニメ映画版を観た『銀英伝』のラインハルトの治世下ならば、鶴の一声で、特権階級の避難こそが、一番後回しにされようものを、とフラストレーションを感じてしまった。特権階級からの誓願書に翻弄されるレーナの描写はちょっと楽しかったが(苦笑)
     しかし連邦軍の庇護の下、共和国市民の待避が始まると、「共和国だけが何故、奇襲攻撃を受けなかったのか?」の種明かしと共に、シリーズ屈指の地獄絵図が現出し、震撼させられた。
     本来、機械知性故に、極めて合理的なはずのレギオンたちが,まさか……。しかも今後、〈羊飼い〉は機体が損傷しても、AIが流動化し、銀の蝶となって、大半が逃げ延びてしまうから、この憎しみの連鎖が止まる当てがない。今後も、このような凶行が繰り返されるのかと思うと、辛い。そして本書のラストで明かされる衝撃の真実。「本書よりも、さらに重苦しい展開が、次巻以降に待ち構えているのか?」と心底、戦慄を禁じ得ない。筆者は、登場人物たちに、どこまで試練を与えるつもりなのか?

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著者プロフィール

第23回電撃小説大賞《大賞》を受賞し、受賞作『86‐エイティシックス‐』でデビュー。陸戦専用・高機動型・できれば多脚のメカを偏愛。スペックが化物なワンオフ機よりも量産機や旧世代機、ステータス一点張りの欠陥機を愛する。

「2023年 『86―エイティシックス―Ep.12 ねんどろいどヴラディレーナ・ミリーゼ ブラッディレジーナVer.付き特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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