吉田茂 ポピュリズムに背を向けて

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  • 講談社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062149389

作品紹介・あらすじ

日本を独立させた男の気骨溢れる生涯 敗戦の中で誇りを失っていた日本人のなかで、敢然と占領者に立ち向かった吉田茂。国民的宰相の痛快な人生とドラマチックな「サンフランシスコの日々」を描く

感想・レビュー・書評

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  • 【読書】優れた政治感覚と強いリーダーシップで戦後の混乱期にあった日本を盛り立て、戦後日本の礎を築いたと言われる、吉田茂。彼が生まれてから日本を独立に導くまでの話。烈々たる愛国の情を持った信念の政治家といわれるが、かなり感情の起伏も激しく、難しい人間である。しかし、なぜか憎めない個性的なキャラクターに非常に引き込まれた。今なお国民の多くから慕われるのは彼のその性格によるものだろう。自分が同じ著者の書いた本を読んで尊敬の念を抱いている白洲次郎が側近として働き、彼を慕っていたのがわかる。
    戦時中は当時の駐日アメリカ大使であるグルー氏と親交を深め、様々な方面から戦争を回避するよう奔走していた。占領下の日本においても、GHQの高圧的な姿勢にも屈せず、日本人としての誇りを忘れず、GHQのマッカーサー等と対等に渡り合い、最後に日本の独立を勝ち取った。
    戦後の日本の復興は吉田氏が到底なしえなかっただろう。講和条約を締結し、独立を勝ち取り、日本に戻ってきたときの吉田の「生涯最高の笑顔」を見ると、これまでのさまざまな苦難や想いを感じ、胸が本当に熱くなる。現代日本の繁栄はこうした偉大な先人たちの築いてきたものの上に成り立っていることを再確認する。

  • 戦争中、戦後の政治家の活躍は必死さがあった。歴史最大の名場面 サンフランシスコ講和条約が締約が決まるまでの日本人の内閣に対する期待感 と 期待に応えようとした政治家たち内閣の間にあった信頼感が読んでいて怒涛の如く伝わって来た。 戦後復興におけるなにがなんでも日本を蘇らせる、という一丸になってやるというのがあった。 今の内閣に感動はない。 歴史的瞬間にたちあったようで、感動した

    やはり 菅総理では 器が違いすぎる。

  • <目次>
    独立記念日
    「ワンマン」のルーツ
    義父・健三とジャーディン・マセソン商会
    気位は高いが間違ったことはしない
    親の七光りは嫌いです
    雪子と岳父・牧野伸顕
    おれのようにやったら三〇くらいでクビだがね
    パリ講和会議
    夢に終わった高等官一等
    満州某重大事件〔ほか〕


    「白洲次郎 占領を背負った男」に引き続き、北康利の本書を読む。
    大きな流れとしては、

    吉田茂のルーツ⇒戦前の外交活動と政治活動⇒戦後のGHQ占領下での活動⇒サンフランシスコ講和条約

    となる。全編を通して吉田茂という人間の生き様を垣間見ることができる。(とくにそれを強く感じさせるのが敗戦後のGHQとの斥候の場面)吉田茂は当の昔に故人なので、その生き様には著者の願望が含まれ、ある程度脚色されているのだろうが、今の日本にこのような政治家がいればなと思わせてくれる。また、人物モノというだけでなく、戦後の日本がどういう経緯で今に至ったか、それを学ぶという歴史モノという点からもこの本を読むことをおススメする良書。


    政治とか憲法改正とかなんとか、この本を読む中で思ったことは数多くあるのだけれども、
    1つだけ書く。
    本著を読む中で吉田茂は非常に強い『愛国心』を持つ政治家であるということが分かる。

    『愛国心』 

    今の日本はこれが非常に問題になる可笑しな国家である。

    "自分の生まれた国を愛する事"

    これの何処に問題があるのだろう。(そりゃもちろん行き過ぎた愛国心教育は問題外だろうけど)
    日本という国に居る以上、日本人である以上、持っていても何も不思議ではないことだ。
    その割に、どこぞの政党なんかは「愛国心を持つ=軍国主義」との大層なご意見をお持ちだ。
    (おまえら日本人かよと詰問したい)

    愛国心・・・もって何が悪いんですかね?

  • 著者の講演を聴いてしばらくしてから購入。「白洲次郎本の作者」が「日本を元気にしたくて書いた」という本人の語り口は、弁が立ち、軽くなくむしろまじめで好印象だった。

    クライマックスはやはりサンフランシスコ講和条約。全体をとおして平坦な文体で、豊富な取材量をうかがわせる内容ながら、素直に読み進めていける。功罪論はいろいろだが、戦後間もない時期に5回も総理大臣に任命されたのは、「彼しかいない」という事情や期待、ひねくれた性格ながらも好かれた人柄があった証拠だったのではと感じた。

    読んだのはちょうど麻生総理が追い込まれていたころだったので、そのお爺さんの生い立ちを深く知るタイミングだった。しんどいながらも、孫として退くわけにはいかないと悲壮な決意だっただろうな、と同情してしまった。

  • 麻生前総理のおじいちゃま

  • 吉田茂。

    もっと作家としてサンフランシスコ講和を印象的に書くことはできただろうが、その代わりに客観的な視点から書かれた感じで逆によかった。

    短いあとがきがなんとも言えない重みを持ってる。

    あの非常な状態が吉田を育てた面はあるだろうけど、まぁ、スゴいっす(笑)

  • エピソード集。

    資料の寄せ集め。

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著者プロフィール

昭和35年12月24日愛知県名古屋市生まれ。東京大学法学部卒業後、富士銀行入行。資産証券化の専門家として富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長等を歴任。平成20年6月末でみずほ証券退職。本格的に作家活動に入る。
著書に『白洲次郎 占領を背負った男』(第14回山本七平賞受賞)、『福沢諭吉 国を支えて国を頼らず』『吉田茂 ポピュリズムに背を向けて』『佐治敬三と開高健 最強のふたり』(以上、講談社)、『陰徳を積む―銀行王・安田善次郎伝』(新潮社)、『松下幸之助 経営の神様とよばれた男』(PHP研究所)、『西郷隆盛 命もいらず名もいらず』(WAC)、『胆斗の人 太田垣士郎―黒四(クロヨン)で龍になった男』(文藝春秋)、『乃公出でずんば 渋沢栄一伝』(KADOKAWA)、『本多静六―若者よ、人生に投資せよ』(実業之日本社)などがある。

「2022年 『稲盛和夫伝 利他の心を永久に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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