倒錯の死角 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646901

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わった日とレビューを書く日がバラバラになっているので、うろ覚えで書いている時があります。
    場合によっては読み直しをしてたりも…意外と頭に残ってないのですね。

    大沢芳男の仕事場の上にある屋根裏部屋からは、向かいのアパート201号室がよく見えた。
    覗きを日課としていた大沢は、偶然発見した201号室の居住者の遺体の幻影から逃れるためアルコール中毒になってしまう。
    病院で治療を受け、伯母の住む家に帰ってきてからしばらくして、再び201号室の新入居者の生活を気にし始めてしまう。
    窓を開け放したまま、無防備な姿を晒す女性に対して一方的な妄想を膨らませる大沢。
    覗く男と覗かれる女の視線が倒錯し、衝撃の結末が人々を襲う。

    読んでいて何か違和感がある、でもそれが何か分からない…ともやもやしながらP399まで読んで「え、そうなん?」とヤラレタ感に浸ってからの袋綴じ。
    賛否両論あるでしょうが、袋綴じ部があるかないかで作品の印象ががらりと変わります。



    以下ネタバレあり。

    二人一役に関しては正直無理がある設定だとは思いますが、あくまで小説ですからね、そこまでのリアリティはいらないような気がします。
    ただ、ラストで高野が201号室にやってくる理由はもう少し肉付けがあった方がよかったような。
    個人的には、袋綴じ部がないと物語としてのおもしろさが半減するように思います。
    大沢の監禁相手はビンゴ、無差別殺人は全然わからなかったので感心しました。
    ミステリーには多少なりともホラー要素がないと物足りない人の感想です、ご参考に。

  • 2015.2/24〜3/3。ロンドが面白かったためこちらも。大沢が少しずつ狂気に満ちていく様が面白い。そして最後にまたひっくり返される。都合のいい部分もあったが、世界観を楽しむことができたから満足。

  • ミステリーらしいミステリー・・・ぐいぐい!
    にしては当たり前すぎて、へ~っと終盤までは。

    だがしかし、あのオチのつけ方は!と驚愕。
    うっかり睡眠を削って読み進めてしまいました。
    折原さんの「倒錯~」シリーズ、マニア好みですね。

  • なんかすごく無理がないかな?結末を知っても、読み返そうと思えなかった。気持ち悪い。

  • 引用する部分はないけど、素晴らしい作品だった。やっぱ彼の叙述物は違うな。

  • いわゆる叙述トリック。覗きにこそ泥に不倫にアル中に気違い。出るわ出るわ異常人物のオンパレード。種明かしまで騙されっぱなし。まあ引き込まれたし楽しめた。
    ただ、読者を騙すための設定にちょっと無理があって、実はこの部分は登場人物の妄想でしたというような辻褄合わせは納得しにくい。狂人も読者を騙すために都合がいいような行動をとる。日記をなぞって行動する、そんな狂人いないでしょ。

  • この手の「絶対驚くぜ」的な作品はうまくミスリードしてくれなきゃ困るし、もう最初からその気なのに、この子ったらすっごくヤボ。

    話をまとめてみるとそんなに悪くないと思えるんだけども、なんかギアの変え方とか、息継ぎのタイミングがスムーズじゃない感じ。あと時々ふとチープ。のめりこませてくれなかったなぁ。

  • 171頁目
    《そう、しばらく鳴りを潜めていた“のぞき趣味”がゾンビが墓場から甦るが如く、息を吹き返してきたのである。》
    真面目なのかふざけてるのか、こんな感じの地の文にニヤニヤしてしまう。ふと、本谷有希子『乱暴と待機』を思い出した。

    読了
    トリックありきのミステリは、どうしてもそこに評価が集中してしまう。驚きが足りなくても、途中で見破られても駄目。それでも心理描写や展開の妙に拘りがあれば楽しめるんだけど、物足りず。最近やっと、作品に対する自分の好みが見えてきた。

  • 変わった仕掛けのミステリは無いかと探していて紹介された本。最後まで全然この仕掛けの構成は分らなかった。そして分った時のやられた感だけで十分読んだ甲斐があった。ある意味、叙述のトリックか。
    「変わった仕掛けのミステリ」という注文に応えてくれた知人に感謝。

  • 困ったなー。

    面白くないものをなんとか選んで整理するのが趣旨だったのに。
    うーん、面白いんだよねー。

    この作品、3つのアングルからストーリーが進む。
    どのアングルもちょっとずつ悪党要素が入っているので、
    どこに休息を求めるべきかもわからずにかなり休まらない。

    怪しい要素はてんこもり、本当の悪はどこに?
    最後に袋とじまでついちゃって、作者の遊びゴゴロとかサービス精神が伝わっちゃって、
    もう嬉しい一作。

    最後のオチはあたし的にはイマイチだったけど、
    でも、全体を通じてみっちりした満足感が。

    うなっちゃうよね、この作品‥

    やはり、片付きません。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。叙述トリックを駆使した本格ミステリーには定評がある。『倒錯のロンド』『倒錯の死角』『倒錯の帰結』など「倒錯」シリーズのほか『叔母殺人事件』『叔父殺人事件』『模倣密室』『被告A』『黙の部屋』『冤罪者』『侵入者 自称小説家』『赤い森』『タイムカプセル』『クラスルーム』『グランドマンション』など著書多数。

「2021年 『倒錯のロンド 完成版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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