美濃牛 (講談社文庫 し 68-2)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (770ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062737203

感想・レビュー・書評

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  • 古本屋さんでタイトルに惹かれて購入。言葉や地名に馴染みがあって楽しかったです。いろんな人の視点で物語が進んでいくので、面白く読めました。

  • 石動戯作シリーズの1作目。 リゾート開発の計画が持ち上がった岐阜県の辺鄙「暮枝」。 癌をも治す奇跡の泉―――オカルトめいた伝説の取材に来た一同はこの土地の複雑な関係性に触れる。 やがて起きる連続殺人はわらべ歌のなぞりなのか、開発行為の利権によるものなのか、一族への復讐なのか。 技巧、メタ、幻想を兼ねた作者独特の雰囲気の一冊。

     500ページ越えの大作ながら少しずつ事件の一端を明かしてゆく構成、短めに区切った多重視点で飽きずに読むことができました。 

  • Kindleにて読了。
    石動戯作シリーズ第1作なんですね。
    先に『黒い仏』を読んでしまって…そちらの方は実は途中でギブアップしてしまったので…恐る恐る読みましたが、最後まで楽しく読めました。

    視点が結構なスピードで変わるので、あまり長さは感じませんでした。
    そして、その視点の多さ。
    不穏な事件を色々な角度・心理から見れます。

    それにしても…石動戯作、好きだな〜☺︎

  • 個人的には、現代版(読みやすい)横溝正史ミステリといった印象(何を分かった風に)。謎解きは驚嘆。でもこの本の面白さはそこじゃないと言った具合。スッキリ爽快とはいかない。読み終わった今なお「美濃牛」に惑わされてる感じ。読者に寄り添って手解きしてくれる解説に感謝。色々と納得。確かに読書玄人ほど沼にはまるかも。

  • 横溝大好きなのでオマージュも楽しく読んだ。鍾乳洞、童歌、連続殺人…いいじゃないですか。俳句や神話を絡めた言葉遊びも楽しい。
    よく考えるとかなりえぐい真相がさらっと書いてあるので、後からじわじわくる。事件が片付いてからも何だか薄ら寒い気分になるような後味。もっと色々読みたかったのになぁ。

  • 引用文献の量に吃驚!
    現実離れしたような内容も出てくるにも関わらずすんなり読めてしまう、技術力があるんだなあ。
    また大好きな作品が増えました。

  • 「いますよ。もともと大金持ちなのに、もっと大金持ちになろうとして、破産しちゃう人とかね。ぼくは資産家の家に生まれたら、意味のないことは絶対にしない自信があるな。馬鹿息子で一生を終えたい」

    石動が言った言葉なのだが、殊能将之のセンスが光る文章だと思った。
    馬鹿息子で一生を終えたいなんて、なかなか書けない。
    すごくいい。

    殊能将之の文章は独特なリアリティーがある。
    相続税を回避するために生身の人間の脊髄を傷つけて、歩けなくさせる。
    1ヶ月かけて衰弱させて、下半身不随の老人を作り出すなんて、浮世離れしている。

    だが、殊能将之の文章に組み込まれると違和感がない。
    現実感のないアイデアが現実味を帯びる。

    冒頭にすべては著者の想像の産物とあるが、奇跡の泉も本当にあるのではないか?と思ってしまう。

    不思議だ。

  • ようやっと読み終えましたねぇ…自分はやっぱりこうした想像の産物? 的な物語より前作のハサミ男のように現実を舞台にした物語の方が好きだなぁ…と…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    今回は岐阜県? のとある山村を舞台に物語が進行しますけれども、この舞台とて作者の想像の産物らしいですし…そうした但し書き? 注意書きがあったような…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    なんとなく「ひぐらしのなく頃に」を思い浮かべましたねぇ…田舎の山村が舞台だと僕のバヤイ、すべてがひぐらしに思えるような… ←え?? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、そんなアレで推理物としてどうなんでしょうねぇ…これは…むしろ推理以外の事の方が面白かったような…登場人物の何気ない会話の中にハッとさせられる一文があるみたいな…そんなところを楽しみましたかね…。

    おしまい…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • のんびりとした村で起こるどんでん返しな事件。
    村の雰囲気も好きだし、奇跡の泉の逸話もいい味。
    残酷な人間の所業が隠されていて、表面的には平和に見える世界。
    江戸川乱歩と横溝正史さんの雰囲気を持ちつつ、主人公と取り巻く人々のおかげで楽天的に進むのが良かった。
    殊能将之さんもニヒリストなのか?と気になります。
    ミノタウロス、アリアドネ、歌の話、言葉遊びが多くて、まるで俳句なのかなあと。もっと大人になったら更に味わえる小説かもしれない。

  • すっかり内容を忘れたので再読。

    事件が起きるまでが長いと、だらけてしまったり、飽きてしまったりするのだけど、苦にならない。各節が短いせいか、長く感じなかったのかと思ったけれど、石動はじめ登場人物が妙に魅力的?だったからかな?
    出羽と藍下との掛け合いも良かった。

    トリックや鍾乳洞の分岐のヒントも、読んでいて、どういうこと??ともならず、あ〜なるほど!と納得できたのも良い。こねくりまわしたり、難しすぎて無理やり納得したわけでもないので、すっきり。
    ゆっくりしたペースで話が進んだ後での、さくさく進む解決編、そして「何してる人なんだ?」の石動の正体が判明する場面もすっきり。

    ただ、ラストの窓音と天瀬の場面が背筋が薄ら寒くなった。逆説に満ちた村。
    “ふたりは仲良く手をつなぎ。夕暮れの迫る動物園をあとにした。”
    考えることを放棄して、愛することだけに専念すれば天瀬は幸せになれるかもしれないね。

  • 凄惨な死体、伝承的な感じ?を盛り込んでてて、
    面白かった。

    この作者さん、お亡くなりになってしまったのが
    残念。

  • この作者の作品を読むのは「ハサミ男」以来の二作目。「ハサミ男」があれほどの出来だったのでこちらの小説はどんなもんかなーと期待半分で読み始めたが良い意味で裏切られた。横溝正史ばりの舞台設定に毒と洒落を混ぜ込んだような話だった。探偵役の石動戯作のキャラ設定はちょっと薄味だったけれどそれも気にならないほどの文章力。作中に所々ある違和感を拾っていけば犯人はなんとなくわかりはしたものの細部までは詰めれず。いやー、この小説も「ハサミ男」なみに有名になってもいいんじゃないか?

  • 石動探偵が胡散臭い(面白いって意味)。
    他の方がレビューで書かれてましたが、
    テレビドラマのトリックっぽいかも。

  • 分厚いと思いながらも読み始めると、すらすら読めた。
    俳句と手の込んだ家庭料理の描写が良かった。

  • 文庫本で700ページ超の大作だが、文章も読みやすくおもしろかった。

    取材で訪れた自然に囲まれた田舎の村、不思議な力があるという泉と、怪しい住人たち。雰囲気はドラマのTR●CKのような…。この雰囲気だけでわくわくする。さらに村にまつわる歌になぞらえておこる連続殺人事件。
    取材に訪れたフリーライターをはじめ、石動や羅堂一族、村人、コミューンのメンバーなど、キャラクターもとても印象的。

    果たしてこの作品の着地点は、オカルトなのか、ミステリーなのか?と思いながら読んだ。もちろんミステリーとして成立している。しかし、科学でわりきれないオカルト要素もあり、それがこの本の世界観を作り上げていると思う。

  • 黒い仏を読み、共通する石動探偵を見ても美濃牛がただひたすら長かったけどよくできた話だった、としか思い出せなかったので再読してみました。初読当時は横溝作品も乱歩作品も読んでいなかったのですが今回はその知識がある分、辺境の村の謎の洞窟というだけで心躍りました。初読の感想はどこへやら、今回はただただ楽しんで次々ページをめくりどっぷり770ページに浸かりました。黒い仏での驚愕の片鱗はこちらでもすでにありますね。順番に読まない楽しさも味わえました。

  • 2018.09.11

    奇跡の泉 リゾート開発 首なし死体からの連続事件 飛騨牛

    長かった。ハサミ男や鏡の中は日曜日と比較するとインパクトは弱い。
    古今東西の作品のオマージュが散りばめられてるらしいけど全然わかりませんでした。

  • 古今東西の物語の意匠と作家へのオマージュがちりばめられた、精密で豊潤な傑作推理小説。
    うーん、面白かった。各節の冒頭に様々な引用が用いられ、それが本当にしっくり馴染む。
    読みやすい文章、人物像も嫌いじゃないし展開も好み。超長編をものともせず読みました。
    殊能氏はこんなにも博識だったのですね、感心しきりです。続編もゆっくり楽しみたい。

  • 石動シリーズ1作目。

  • 作者の本を読むのはこれで二作目。
    以前読んだハサミ男も最高でしたが、これもすごく面白かった!
    最初、うわ分厚いなぁ…と思ったもののすごく読みやすくて話も先が気になるのでサクサク読めた。

    山奥の村の奇跡の泉とかわらべ唄とかワクワクする要素や、他の作品へのオマージュも多くて読んでて楽しかった。

    こんがらがった事情も多かったのに謎解きは複雑ではなくスッと理解できるものでなんかもう本当凄い。

    最後に出てきたアントニオの出番は少なかったもののインパクトはでかい…。

    以降の作品を読むのも楽しみ〜!

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著者プロフィール

1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー。著書に『美濃牛』『黒い仏』『鏡の中は日曜日』『キマイラの新しい城』(いずれも講談社文庫)がある。 2013年2月、逝去。

「2022年 『殊能将之 未発表短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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