- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062749329
作品紹介・あらすじ
司馬遼太郎の名作
幕末随一の文明藩、佐賀藩の鍋島閑叟(かんそう)は、若い秀才たちに極端な勉学を強いた。近習・秀島藤之助は、世界最新の高性能大砲の製造を命じられ、頭脳の限り努力する。酷使された才能は斃(たお)れたが、完成したアームストロング砲は、彰義隊を壊滅させ、新時代を開いた。風雲の中に躍動する男達を描く、傑作9編を収録。
感想・レビュー・書評
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幕末、特に新選組関連の短編が多く面白かった。(HPの日記より)
※2004.3.31-5.29に購入、これより旧版
2004.6.11読了
2006.2.3読書開始、2.11読了(2回目)
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久々の司馬短篇集。
「薩摩浄福寺党」「倉敷の若旦那」「五条陣屋」「壬生狂言の夜」「侠客万助珍談」「斬ってはみたが」「太夫殿坂」「理心流異聞」「アームストロング砲」の全九本。時代は全て幕末維新期と来ているので「竜馬がゆく」「翔ぶが如く」「世に棲む日日」といった長編ものの合間合間に読むのが最適かと。自分の場合は若干間をおいて戻ってきたので脳の反応速度が今ひとつであったことが悔やまれる。
当然それぞれの舞台となる地の「街道をゆく」とのセット読みもまた格別かと。書名にも選ばれた「アームストロング砲」が最後に並べてあるのはよい判断で、その終わり方が格別であった。そこまで意図的な計画に基づいたものではなかったがここ数年に上野寛永寺や不忍池、本郷台の加賀藩邸といったような語彙からの土地勘が育ってきていたため、なおさら楽しめた次第。
かくして新たな時代は幕を切って落とされたのである。 -
短編集とは知らずAmazonで購入。ちょっと残念だったけど、読み出したら面白く一気に読んだ。最近、明治維新の見方が最近変わってきた。幕府は旧態依然の過去の遺物、日本の将来を憂いた若く貧しい志士が維新を成し遂げ、強国日本を造り上げた。確かにそうだが、中身はテロ?幕府に本当に時代遅れの遺物?10代の頃から大好きな幕末史が勝者が作った歴史に見えてきた。
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『アームストロング砲』
オーディブルで視聴。ナレーターの磯辺弘さんが個人的に好きなのでテンション上がった。
佐賀藩の藩主・鍋島閑叟は、「葉隠」という代々佐賀藩に伝わる急進的な武士道の心得よりも、近代的な科学技術に重きを置いている。世界を見据えた鍋島は、藩内から若き秀才を集めて欧州の技術を学ばせ、極端な勉学を強いていた。ある時、鍋島は欧州で製造された強力な最新鋭の大砲「アームストロング砲」の噂を聞く。その威力ゆえに暴発が多く、欧州でも実用化に至らない禁忌の武器に強く興味を惹かれた鍋島は、家臣の秀島藤之助に情報を集めるように命じる…
先見の明を持つワンマン藩主鍋島閑叟に酷使されるエリート秀島藤之助の悲劇を描いた社会派サスペンス。幕末の話なのにプロジェクトXっぽい雰囲気が面白い。 -
短編だけど面白かった。これが不朽の司馬作品なんだろうなぁ。
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司馬先生の長編にありがちな、時代や地域についてのレクチャーの反復(あれはあれで良いんですが)が省略されており、テンポよく読める短編集です。
『倉敷の若旦那』は実話とは思えないほど荒唐無稽な男の話し。これはぜひ長編に仕上げてほしかった。 -
20200305
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幕末という時代に翻弄された名も残らぬ人々の物語。京での動乱に巻き込まれて命を落とすもの、佐賀藩の洋式軍備に命を削り発狂してしまうもの。必死に生きた人々の息吹を感じながら、暗い時代も感じる悲しさ。先に不安を抱きながらも、明日はよくなるのではと必死に生きたのだろうと感じ、不安がそこまでない現代の有難さを感じつつも、日々を大切に生きる大切さを感じた。
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【読了メモ】幕末の頃の短編集。各話が並んでいるので、鍋島閑叟公の洋式化は、他藩にはなかった施策だと思い知らされる。
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佐賀出身なので表題作のみ読もうと思って借りたが、面白かったので結局全部読んだ。いづれも秀作だが、「大夫殿坂」の動機のばかばかしさに、ふっと笑ってしまった。幕末の動乱期にあっても人間の原理は他愛いもなく面白い。