- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062755306
感想・レビュー・書評
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「下に見る人」に続いて、2冊目の酒井順子さんの本。
いやーな気持ちにさせられる本・何とも言えない嫌悪感と、その嫌悪感さえ一種の心地よさのようなものを感じさせられる。それは、人の悪いうわさ話につい耳をそばだててしまう気持ちに似ている。
「未婚・子ナシ・三十代以上の女性」を「負け組」と定義して、鋭く分析をしていく。
・・・たとえどれほど美人で頭がよくてセンスが良くてお金持ちで仕事ができても、こう言われたら言い返すことができないであろうそのフレーズとは「あなたは、女として幸せではない」というもの。・・・
自分自身は、独身である人に対してそのような
このような感情を抱いていないつもりでいた。だからこそ、このような考え方にただならぬ嫌悪感に苛まれていると思っていた。しかし、この本を読み進めるうちに、実は自分の知らないところでこの社会の「常識」が根深く自分の中に刷り込まれていて、だからこその嫌悪感なのではないかと思い始めた。自分では気が付きたくなかった感情を言い当てられたような、パンドラの箱を開けられたようなそんな気分なのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どんなに仕事が有能でも、美人でモテモテでも、30代で独身、子無しの女性は負け犬。シングル女性にとってはなんとも屈辱的な定義なのですが、自身も負け犬を自認する著者の、なんともユーモアな語り口についつい笑わされてしまう。
もちろんただの惨めな自虐に終わっておらず、後輩世代への「負け犬にならないための十か条」そして、同世代以上の「負け犬になってしまったからの十か条」によって、女性陣ひいてはオス負け犬こと男性にも、温かなエールを送るところに愛を感じてしまう。エッセイストとしては独特のおかしみがあり、逸品だと思う。
ただし、ここでいう負け犬も勝ち犬も、きわめて限られた上流層のなかでの勝ち負けであることをお忘れなく。 -
タラレバ娘よりも、ジェーン・スーよりも先に、酒井順子がいた!2003年の発刊、30代以上・未婚・子ナシという「負け犬」の存在を顕在化させた本。
歌舞伎や一人旅なんかの趣味にハマる負け犬から滴る「イヤ汁」…とはヒドイ言い方だなぁと思いつつ、もちろん自分にも当てはまるので苦笑。イヤ汁が垂れ流されてることを自覚しつつ、できるだけ人様にご迷惑お掛けしないように「私負け犬ですよ〜」とふてぶてしくユーモラスに生きていけば、このまま楽しく一生過ごせてしまいそうだなぁというのが見えてきてしまったな(笑)
2016年の今、負け犬はどんどん数を増やしていると思うけれど、勝ち犬と負け犬は相変わらず平行線のままのように思う。さらに勝ち犬も負け犬も、メスもオスも、なんとなくみんな生き辛そうにしてる気がする。なんだかなぁ。 -
これも再読本。
このカバーデザインは、佐藤可士和さんです。
昔読んで名著!と感激して、どこかの
ビジネス読書会でお勧めしてしまった記憶あるのですが
改めて読んでもやはり名著。
本書で頻繁に出てくるキーワード、「いや汁」とか
「腐臭」など。
例えば、三十路過ぎた女性が親と同居している、と
語ったとき。
20代の女性のちゃんとした感とは違って、その
ちゃんとした部分から、そろそろ腐臭を発してきて
いる、という表現などはお見事。
改めて、酒井さんのうまさ、絶妙さは駄目を
掘り下げるときの微妙なさじ加減。
これ以上茶化したら不快になるという、ギリギリの
ラインでとどめているセンスが素晴らしいです。
本書の刊行は2003年でした
あれから10年。
負け犬はいずこへ、と考えたけど
いまでは”おひとり様”というくくりなのかな。
いずれにしても彼女たち
負け犬はどう進化(退化?)していっているのか。
今こそ、
本書の続編を期待してしまいます。
最後に、単行本ではなかった、男性を交えた対談、
そして林真理子のうまい解説もあるので
文庫版を読むことをお勧めします。 -
同い年の男は、今は貧乏でも将来性があるし、話なんかつまらないくらいの方が、将来こちらの意のままに扱うことができて結局は得なのだp23
孤独という状態は、実はストレスの少ない状態なのです。孤独で落ち込むことはあっても、それはストレスではない。p257 -
負け犬の定義とは、広い意味では、離婚、子供なし、30代以上の女性のことを示す。
現在結婚していないと言う条件だ。離婚して今は独身と言う人ももちろん負け犬。勝ち組とは。負け犬のカテゴリーに当てはまらない女性のことをいう。負け犬の生態と心理をよく調べあげてる。取材しよく考えて抜かれてる。著者本人がそうなのだからかも知れない。よくわかっている。晩婚化の最大の原因を不倫としているところも合点がつく。
負け犬といわれる彼女らの生きざまを丁寧に深く面白く考察している。文章も上手いね。女性特有の細かな感性で洒落た味わいがある一冊です。
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2003年に刊行されて超話題となった酒井順子さんの本。ご存知の通りドラマにもなりました。
20年前は自分がまだガキだったので「そんなもんかねー」っつう程度の印象。女性から見た男性としての自分のことを見つめ直したりは決してしなかったし、1人で生きる女性の心の中など想像しようともしなかった。
今回読み直して分からなかった女性の様々な感覚も少し分かるようになった気もします。
ちょうど20年ということでインタヴューなども読みましたが酒井さん。本当に思考のセンス抜群です。
今の時代を生きる負け犬さん達にも是非お読み頂きたい一冊でございます。 -
独身仲間にオススメするべき
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随分久しぶりに読み返してみた。自分も年を取って分かったことがある。今の酒井さん(著者)がどうなのかが知りたい気分になった。