イスラム飲酒紀行 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778763

作品紹介・あらすじ

イラン、アフガニスタン、シリア、ソマリランド、パキスタン……。酒をこよなく愛する男が、酒を禁じるイスラム圏を旅したら? 著者は必死で異教徒の酒、密輸酒、密造酒、そして幻の地酒を探す。そして、そこで見た意外な光景とは? イスラム圏の飲酒事情を描いた、おそらく世界で初めてのルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • 高野秀行11冊目。彼の人生が辺境への紀行記録で綴られているとしたら、本書は「高野秀行外伝」とも言うべき本である。旅の途中いかに飲んできたのか、をカタール、パキスタン、アフガニスタン、チェジニア、イラン、マレーシア、トルコ、シリア、ソマリランド、バングラデシュと渡り歩き、語る冒険の物語である。

    全ての章の冒頭に「私は酒飲みである。休肝日はまだない」という意味の「言い訳」がつく。彼は辺境の謎を解くために冒険をしていたのか、辺境の酒を飲むために冒険をしていたのか、わからなくなるほどの酒飲みであることが語られる。だとしたら、後世(ないだろうけど)「評伝高野秀行」が書かれるとしたら、本書は重要文献となることだろう。

    何故「冒険」かと言うと、イスラム圏では酒は違法だからだ。ヘタをすると牢獄に入れられる。勿論、違法だから飲めなかったでは本書は成立しない。結果から言うと悉く飲めた。どういう経過で、どんな酒を、どう飲んだのかは、本書の白眉なので省略する。「あとがき」で高野秀行は何故飲めたか理由を2つ挙げている。(1)イスラムがやってくる前の土着の習慣を残しているから。(2)異教徒(少数民族)がいるため。である。この辺りが、高野秀行の本を人類学の成果として評価すれば、人類史への貢献になるだろう、と(私だけが)期待している高野秀行が面目躍如たる所以である。勘違いしてもらったら困るが、内容は学術書とは正反対の位置にある。

    勿論、イラク戦争前後、シリア内戦前、ソマリア危機前後の、かなりリスキーな場所ばかり行っているから酒飲みの目的だけで行っているわけではない(むしろ彼は主目的は必ず別にあると主張している)。かなり苦労している。退屈な話は一切ない。実際、歌舞伎町のクスリの密売人や、池袋のサラリーマンの溜まり場や、下北沢の学生の下宿や、六本木で出会う政治家の娘と飲めば、現代日本の縮図を見ることが可能なように、本書を見れば、21世紀のイスラム圏の「飾らない生の現実」をかなり垣間見ることができるだろう。

    ahddamsさんのレビューにより紐解いた。

    • ahddamsさん
      kuma0504さん
      コメント失礼します。
      『イスラム飲酒紀行』、楽しく読了されたみたいで嬉しいです!
      高野氏の著書はどれもエキサイティング...
      kuma0504さん
      コメント失礼します。
      『イスラム飲酒紀行』、楽しく読了されたみたいで嬉しいです!
      高野氏の著書はどれもエキサイティングですが、本書は特に笑いが止まりませんでした笑 人類学の視点で見ると、また違った見え方になるかもしれませんね。
      まだ全作コンプリートには程遠いですが、少しずつ読み進めていきたいと思います!
      2022/03/29
    • kuma0504さん
      ahddamsさん、こんばんは。
      本の紹介ありがとうございました♪
      私もコンプリートを目指しています。
      あと10冊ほどは読まないと8割読破に...
      ahddamsさん、こんばんは。
      本の紹介ありがとうございました♪
      私もコンプリートを目指しています。
      あと10冊ほどは読まないと8割読破にはならなくて、そこまでいかないとファン作家の一般論は言ってはいけないと私基準では思っているのですが、このレビューはやっちゃってますよね。なんか、高野秀行さんの文体そのものが、そういう「いじり」を許しているようで、高野秀行に限っては近くにいるおじさんみたいな親近感が湧くんですよね。そこも、高野秀行の魅力だと思います。ちょっとブリがついたので、高野秀行読んでいこうと思っています。
      2022/03/29
    • ahddamsさん
      kuma0504さん こんばんは♪
      近くにいるおじさん…物凄くよく分かります!笑 タイトルを見た瞬間「今度は喧嘩を売りにいくのか?」とヒヤヒ...
      kuma0504さん こんばんは♪
      近くにいるおじさん…物凄くよく分かります!笑 タイトルを見た瞬間「今度は喧嘩を売りにいくのか?」とヒヤヒヤ、ワクワクしました笑 自分もコンプリート目指して頑張ります!kuma0504さんのレビューも引き続き楽しみにしております^ ^
      2022/03/29
  • 何でわざわざ喧嘩売るような事をしに行くのか気になって覗いてみたけどもうだめ、冒頭から笑いが止まらない。

    寝る前の一杯ならぬ一冊と決めていたけど、興奮冷めやらぬですぐには寝付けなかった笑
    それに喧嘩を売る為じゃなくて取材先でも飲みたいというシンプルな理由だから何だか憎めない。(何とかしてありつこうと必死になりすぎるのは感心できないけど…)
    写真の現地人達に太めの目隠し線が入っているのを見ても、彼らを巻き込んで危険を冒していたことがよく伝わってくる。(それとは相反してどの写真もご満悦顔な著者…)

    イスラマバードの「ドクターゴー」や「パーミットプレイス」事情は今思い出してもその異常さに笑けてくるし、チュニジアの本格的なロゼ・ワインやトルコの初代大統領も夢中になったと言うラクには純粋に興味が湧いた。
    その反面、恐らく内戦前に訪れたと見られるシリアの開放的な空気に触れて沈んだ気持ちになる。ソマリランド回は怪しさ満点、また別の著書で訪問しようと思う。

    変わった、誰も手を付けないようなテーマで物を書く著者だからイスラム圏に行っても外国人観光客より現地の人が集まる場所で一緒に楽しく飲みたいという。
    世間のマイナスイメージが色濃いイスラム圏を選ぶのも、良い面も絶対にあるはずと信じているからこそ。飲み助によるイスラムルポでありながら、世界平和の片鱗すら感じてしまう不思議。

    自分の周りにも飲み助は多いけど、飲み場所(?)や酌み交わす相手を気にしない著者には遠く及ばんでしょうな。

  • 酒を禁ずるイスラム圏で酒を求める旅をする。
    カタール・ドーハ、パキスタンからアフガニスタンへ、
    チュニジア、イラン、マレーシア、トルコ・イスタンブール、
    シリア、ソマリランド(ソマリア北部)、バングラデシュを
    巡ってわかった飲酒事情を描いた、ルポルタージュ。
    海自の友が、中東派遣で上陸しても酒が飲めないんだよ~と
    こぼしていた、禁酒のイスラム圏ですが、探してみれば、
    実は酒はあるし、飲めるということを実証した冒険?体験談。
    謎の動物捜索や妻との旅、行ってみたいな生のイラン、
    ユーフラテス川の下見、未確認国家訪問などの珍道中。
    しかも、訪れる場所は国情不安定、テロ、内戦の地が主。
    厳しい現実を目の当たりにすることだって、ある。
    そんな場所を訪れる行動の原動力は酒!
    禁酒のイスラム圏でも著者は酒に関する勘と嗅覚、
    情報収集能力の高さで、駆けずり回り、探り当て、
    様々な酒に巡りあえています。
    しかも現地の人々に突撃し、楽しく飲み交流するポジティブさ。
    なんとも凄い人だ・・・仲間のカメラマン氏も同様に。
    思えば、どこにも永い歴史が横たわっているから、
    他民族が入り混じっていたり、キリスト教の存在もあるし、
    そもそもイスラム教だって宗派がいろいろあるし、
    禁酒だって歴史の中では新しいことなのですね~。
    オアシスの手作り酒、トルコのラク、ドブロク、密輸酒、
    ムスリムの地酒など、実際に行かなきゃ飲むことの出来ない
    酒との出会いが、新鮮で面白かったです。

  • “私は酒飲みである。まだ休肝日は無い。”で各章始まる。
    禁酒なはずのイスラム圏での酒を巡る(求める)冒険。
    どの国も面白かった。
    私も若い頃は日本とは違うところとう意味でイスラム圏を旅行しました。
    異なる文化圏の旅は発見があって面白い。高野さんほどの冒険をする勇気はもちろん無いけど。

  • ※編集中につきまとまりのない文章、悪しからず
    ○カタール ドーハ
    イスラムは「公共」という概念をとても大切にする。
    イエメンでは乗合バスが混んでくると、目的地でなくても男性は車をおり、女性のために席を開ける。
    我々が抱く「ムスリム」のイメージは現実だと違ったりする。女性は家族・親族の男性なしに外出が出来ないし、買い物一つとっても女性では店の人と交渉ができないので男性は常に女性について店の人とのやりとりや荷物持ちまでやらさせる。女性もあれやこれ男性に頼む。
    レストランで男女一緒の入店が認められないことに、日本人としては違和感をもうかもしれないが、女性も男性も、お互いが公共の場で担う役割から解放されるためか、皆伸び伸びするようだ。

    ○2007.6月
    パキスタン、イスラマバード、ラワルピンディ
    パキスタンは、アフガニスタンのイスラム過激派タリバンの生まれ育った場所であり、イスラム法に厳格なことでは横綱、大関級である。
    「ドクターゴー」の街 医者の診断書があれば飲めるので「この病気の治療にはアルコールが必要だ」と診断してもらう人もいる。
    飲酒よりもマリファナなどの薬物をしている者の方が多い(もちろんマリファナも違法)
    現地の大学生、「クマと犬の戦い」が非常にウケているらしい。

    ○アフガニスタン カブール
    極度に治安が悪い。アルカイダなどのイスラム過激派グループや、前政権のタリバンがそこかしこでテロを繰り広げている
    外観からなんの建物かわからないようになっている(パキスタンの方だったか?)看板も出てないし、大使館とかも分からないようになってる

    ○チュニジア
    酒が手に入りやすい砂漠、というのが筆者の見解。他のイスラム圏に比べて酒は飲みやすい。
    肉料理に合うように味は強いけれど、暑いので冷やして飲みたいということでロゼワインが普及(?)している


    ○イラン2009.2
    ホメイニによる革命以来、世界で唯一イスラム法学者が最高権威とされる「神の国」であり、外国人観光客にも黒いスカーフを被らせ、イスラム過激派に武器や金を援助し続けている国。
    イランの法律では酒は完全に禁止である。
    電話の盗聴も行われている。
    スーフィー イスラム神秘主義のこと。
    (ペルシャ語だとダルヴィーシュ)
    スーフィーは明らかにイスラムの一派だし、スーフィーの詩人であるルーミーは今でもイランで非常に尊敬されている。
    しかし革命以降、イラン政府当局が原理化し、スーフィーを異端視するようになったそうだ。当時はスーフィーを本来のイスラムではないと弾圧するようになり、スーフィーからすればホメイニは不人気
    人は皆気さくである。
    女性は他のイスラム圏に比べて断然社交的
    化粧も濃い
    本音と建前の激しい国民性

    ○マレーシア2005.7 クアラルンプール、マラッカ
    マレーシアはイスラム圏であり、多民族国家といえど、酒はどこにでもあるわけではない。飲めることには飲めるが、ムスリムであるマレー系のレストランや食堂にはない。
    マラッカでも、洋風の外国人向けの店でなら、お酒は飲める。

    ○トルコ
    イスラム圏では最も酒に寛容な国の一つ
    それは、建国の英雄にして「国父」であるケマル・アタテュルクが政教分離を国是とした結果
    特に国際都市であるイスタンブールではいつでもどこでも酒が飲めると思われているが、
    モスクから半径100メートル以内では酒を売っては行けないのような(事実かは不明)ルールもある

    イスラム圏では、たとえ飲酒を法的に禁止していない国でも、不特定多数の人が見ている公共の場では控えるべきという部分立が存在するため。オープンエアのカフェやレストランだと提供しないところもある。

    ドルーズ派…シーア派の流れを汲んでいるが、酒、豚肉はタブーではなく、ラマダン(断食)もしなく、「コーラン」ではない自前の聖典を持っているらしい。
    シリアとレバノンに住んでいる少数派の宗派だ
    イスラム世界ではイスラムの一派として認められており、異端視もされていない。
    シリアは反米の独裁国家

    シリアでは酒を飲むのに苦労はしないが、トルコのようにどこでも飲めるわけではない。酒を出す店はキリスト教徒地区に多いようだ
    ダマスカスの全人口の15%はクリスチャンだが、大学生のクリスチャン率は25%らしい。
    シリアでは大統領はムスリムでなければならないと憲法に定められている。しかしクリスチャンの立場は決して弱くなく、クリスチャンの方が裕福でムスリムの方が貧困が多い?
    ダマスカスでは普通に酒が売られている。酒屋もある

    ○ソマリランド
    ソマリランドは、なぞの未確認国家
    イエメン、ソマリランドでは「カート」という特殊な植物性嗜好品を嗜む文化がある
    ソマリランドではジンしか基本的にはない。ソマリ人はビールとジンが好きだがビールは輸送が大変だからだそうだ。

    ○バングラデシュ

  • どうしてもお酒が飲みたい。そんな動機からはじまり、実は多様な宗教や文化が入り混じるイスラム世界の姿にたどりつく。しかしその道のりの困難さがなぜか面白い。

  • お題が旅なのに、なぜか 世界各地の酒の発生 みたいな話を掘ってしまって 脱線してしまった。
    高野さんの本があってよかったよ (^^)

    と言いながらも、スゴイヒト とは知っていたものの、高野本 初めて読みました、ごめんなさい。

    イスラム?戒律が厳しくて、酒、ダメでしょ? というのは建前で、どこにでも酒はあった、という話。
    たとえば イランのイスラム革命は たかだか20世紀の話、それ以前は自由に酒を作れて飲めたわけで、そういう名残を抹殺してしまうことはイスラム社会はしないらしい。
    イスラム教も根っこで キリスト教と繋がっているわけで、イスラム社会の中にも必ずキリスト教徒の地域がある。
    キリストと言えばワイン。信仰上の理由から、当然、飲酒も酒作りも許される。そういうものを内包し併立させているのがイスラム社会。

    そんなわけで、酒を飲むのが目的ではない!と言いながらも、現地の人に酒ないか〜?と聞いて回って、どこにいても酒にありついた体験談。
    宗教の戒律がどうの〜 という話はおいといて、出会った人々の多彩なことや、交渉過程のけったいさに引き込まれる。
    戒律が厳しくって、っていうけど いい意味でいい加減なんですね、イスラム教徒さんたち。

    さすがに、マネできる旅、ではないけれど、イスタンブール、エジプシャン・バザール の PANDELI は入れそうかな?
    いまや、 tripadvisor には ちゃーんと載っていました。

  • 椎名誠と対等におバカな旅ができる方だなと思った。
    イスラム圏で、いかにバレずに酒を飲むか。命懸け(?)で旅する様子が最高におバカだった。イスラムの酒飲みとこっそり酒を酌み交わす様子がまた、国や宗教を越えて人間同士が繋がっていく平和のツールであることを訴えていると感じた。
    楽しき本でした。

  • 国によっての差がそこまで激しくなくて、途中からはイスラム国家で酒を手に入れるのが普通のことに思えてきてしまった(実際現地の人はそうなのだろうけど)
    この本のために書かれた文章じゃなく、寄せ集めだったので、もう少し内容が充実していてもいいなと思ったけど、面白かった

  • いつもながら、本のコンセプトが面白い。地元の人とあっという間に深いコミニュケーションが取れるスキルにも脱帽。

    各地の経験を紹介した内容もさることながら、最後のエピローグで、イスラムの寛容と多様性に触れているのが、唐突でない。本文のエピソードが濃いだけに、納得させられる。

  • 禁酒のイスラム圏で、どうにかして酒を飲もうとする酒飲みのルポ。
    イスラムでは建前上アルコール禁止のため、酒にありつく努力はどうしてもいかがわしいものになる。非合法なものを嗜んでいそうな学生と仲良くなったり、見るからに怪しげな店に足を踏み入れたり。
    しかも著者はこっそり酒だけ入手して飲みたいのではなく、できれば地元の人とわいわい飲みたいというのだから余計に大変だ。チュニジアの謎の野外宴会に参加する第2章など、楽しそうだが、慣れない旅行者が真似をしたら命がいくつあっても足りない。コミュニケーション能力が羨ましい。
    そういう正規でない、いかがわしい部分を通じて、文化の奥深さが見えてくる。飲酒も表向き禁止とされていながら実は酒が造られ黙認されていて、でも「公共の場ではダメ」という不文律で枠をはめられている。あとがきでは、イスラム圏でもイスラムが来る以前の土着の習慣が残っている点、イスラム国家にも異教徒が存在する点を指摘している。そういう曖昧な部分も包摂してこそ、イスラムがこれほど広がってきたのだろう。
    それにしても著者の酒への執念は凄い。面白いのだけれど、これは既に依存症なのではないかと他人ごとながら心配になる。

  • 私もお酒は好きで、休肝日はまだない状態なので、高野さんの「酒が飲みたい!」という気持ちはよくわかります。

    イスラム圏でも、意外とお酒は飲めるんだなあ。
    そして、イスラム圏の人でも、意外とお酒、みんな飲んでるんだなあ。

  • いやー、面白すぎる。今まで読んだ高野氏の著作の中でもトップ3に入るかも。とにかくイスラムという国の全然知らなかった側面が垣間見える。ご本人の姿勢がそうさせるんだろうけど、人間が好きになる。最高!

  • 酒への執念と、イスラム圏の人々も酔っぱらえば世界中の人々となんら変わらないことがよく伝わってくる。準アル中と自称してるが、立派なアル中だろう笑

  • 酒を禁じるイスラム圏の飲酒事情は? それ以前に酒自体あるのか? その素朴な疑問に独特の切り込み方で答えを探ってゆくルポ。……というか、単に筆者自身がお酒が飲みたいだけの様な気も。とにかく、イラン、アフガニスタン、シリア等々飲酒が見つかれば逮捕されるような国々で必死に酒(密造酒、密輸酒、幻の地酒にいたるまで)を探し求める筆者の情熱に感動すること請け合い。

  • 高野先生の本の中で最も好きな一冊です。この頃のぶっ飛んだ話は本当に面白い。

  • やはり旅は、その旅ごとの目的に加えて、いつもブレない自分のサブテーマみたいなものがあるとより楽しくなる。と改めておもう。
    私でいうとなんだろう、市場とコーヒーと屋台かなあ。ああはやく海外旅行いきたいな。イスラム教国いきてえ。

    あと、著者は別にこの本を書くためにムスリム国家に行ったわけでは当然なく、別の本来の目的の取材の片手間に酒探しをしているわけで、やはりサブテーマが強いとそれだけを寄せ集めて本になるという編集者の知恵。
    私も面白く生きたい。

  • 酒飲みの聖書。
    読み進めながら今晩飲むものと肴の事を思う。

    酒飲みは誰でも酒を存分に飲みたいが、飲み過ぎとかアル中などと言われるのは嫌いなのだ。

    その通り!!ごもっとも!!
    著者の奥様「朝ビール健康法」私も試したい。

    現地でしか分からないイスラムの良さ。対してテレビや新聞で報道されるイスラムへの偏見。
    飲酒を通して思いっきりすっぽんぽんに書かれたこの本は、もはや地球の歩き方として販売してもいいのでは!

  • 大好き。
    めちゃくちゃ面白かった。 適度に口が悪い(笑)
    アルコールという単語は、たしかアラビア語が起源ではなかっただろうか。
    イスラムって何なのだろう。酒とは何なのだろう。しかし本来は仏教の方がイスラムよりもお酒に対して遥かに厳しい。

  • 飲酒が禁止されている国々を巡っていながら、イスラム圏にはそういうお酒があるのかぁと、新たな酒知識を与えられる不思議。単純に「現地で楽しく酒を飲みたい」と言っているだけなのに、それが無謀な賭けになる場所だから可笑しいし、高野さんの酒に対する執念と引き寄せ力が際立っていて面白かった。酒飲みをテーマに、おそらく生涯訪れることはないだろう地で暮らす人々の素顔を垣間見ることができた満足感は大きい。

  • 読む前のイスラム教のイメージ
    ・イスラム教って飲酒はダメなんでしょ?
    ・イスラム教ってなんか怖い
    ・男性が強くて女性の権利が弱い

    まったくそんな事はなかった
    本音と建前というものがよくわかる

    そもそも仏教も飲酒が禁じられているという事をすっかりと忘れていた

  • いや、充分にアル中だろ!笑
    イスラームとされている地域でも、イスラーム以外の人が居てその人たちとの共存をはかるために黙認されている部分があったり、後はイスラームの「建前」と「本音」。
    飲酒は文化。
    最後に実は仏教徒の方がぶっ飛んでるんだぜ!というのを気づかせる構成もよい。

  • 各国で、お酒を手に入れるまでの過程、本当にワクワクした。私はお酒は大好きだけれど、お酒のためにこれだけのコミュニケーションは、絶対取れないな。

    ちなみに、今回、飲みながら読書は一度もしてません。
    つまみに読むのにいい?って、読む前は思ったけれど、飲まないで読んだ方が楽しかった。

  • 飲酒が禁止されている国で酒を求める著者。危険な匂いもするけど、地本の人とお酒でワイワイガヤガヤするのは楽しそう。自分は絶対できない。

  • 酒飲みによるイスラム圏でこっそり飲酒する本。
    なんでも本音と建前があるし、歴史的に見ても飲酒してきたことを、都合よく?解説したりする本。
    為にはならない本だけど、なぜか楽しくなる本だ。
    みんなハッピーになる。それが本当の酒飲み。
    あと、カラー写真が綺麗。

  • ぶっ続けで読んでいると、あまりに筆者が酒に対して貪欲さを見せるので、またこの展開か!と思ってしまう
    ただ、自分も酒飲みではあるけれど、この筆者のように危険を冒してまで飲もうとは思わないし、酒ならば!ととりあえず口をつけることもできないと思うので、作品を通して自分では出来ない体験を追体験できるのがとても楽しい
    特にソマリランドとバングラデシュでの話が面白かった

  • テロがあるアフガニスタンでも酒と置屋を営む中国人がいること、この民族のバイタリティーの凄さたるや。
    他にもイスラム圏の人たちも酒飲むのはマレーシアの場合も知ってるのでなんとなくわかってたけど、ご当地なりの事情や土着な話が面白かった。

  • 日本人として長く韓国に住んでいたので過剰一般化としか言えない日韓両国の報道に接する度に国家なんてそんなに一枚岩的な存在じゃないよと毒づいてきた。然るに話がイスラムとなると知らず知らずにステレオタイプの罠に囚われていた。「郷に入れば郷に従え」と言う言葉があるが郷をイスラム圏に置き換えた時、果たして従うべき郷は存在するのであろうか?著者は飲酒と言うともすれば冒涜的な切り口でこの謎に迫る。当たり前と言えばそれまでだがイスラム世界にも本音と建前、プレ・イスラム文化の残照、非イスラム少数民族の暮らしがあった。乾杯!

  • この本を一言で表すと、お酒への賛歌だ。
    私は酒飲みだ。休肝日はまだない。
    という文章で始まる章が多い。
    正直、イスラム教に対しては好印象を持っていないので、はまっている高野さんの著作でも後回しにしていた。
    でもこれは、そんな難しい事は考えないでよかった。
    一行目に書いたとおり、単にお酒への賛歌だ。

    私はお酒がそんなには飲めない。
    なので、こんなに飲めると楽しいだろうなと羨ましい。

    ”相棒”ト呼ぶカメラマンの森清さんとの旅行がいくつか。
    相棒って素直に呼べる男の人っていいなぁと思ってしまった。


    そして、行ったこともあるし、小耳に挟んだこともある当時ガイドブックにも載っていなかったというエジプシャンバザールの門をくぐってすぐの階段を上がるPANDELIというレストランに行きたくなった。

  • この人いつもトンデモないことするよね。
    転んでもタダでは起きない精神がすごすぎる!

    フセインは敵なのにフセインに似てるからサダムって呼ばれてるおっさんが、サダムって呼ばれて嬉しそうなとこ好き。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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