最強の経営者 アサヒビールを再生させた男 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062939041

感想・レビュー・書評

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  • 5月の連休も終わり、ビールのおいしい季節になってきました。昭和61年当時、売り上げが低迷していたビール会社を社長のリーダーシップにより、どのように改革し、業界トップに押し上げたのか、興味深く学ぶことができます。
    当時の京都府知事として、元理事長も登場されますので、是非ともビール通の方はご一読ください。

  • 面白かった。

  • ビールの業界の勉強として面白そう、ということで買ってみたら、偶然にも起業闘争と同じ作者である高杉良の作品だった。何という偶然。
    アサヒビールのスーパードライによる復活がどこまで凄まじかったかよく分かる。銀行から来た社長で、ここまでトップとして動ける人は稀有なんだろう。会うだけで感動する社員がいるなんて、どんだけ凄くて有名だったんだと思うと同時に、今時はそんな大企業どこにもないよなたぶん。隔世の感がある。
    しかし一方で、アサヒビールの復活劇の裏で、この会社が同業者とどう違ったのかが気になるようになってしまった。キリンがトップの座に胡座をかいていたのか? アサヒの徹底的なマーケット調査があったのか? 樋口氏の活躍が後押ししたのは間違いないだろうが、そこだけではないはず。気になるなぁ。

  • シェアの下降が止まらず「夕日ビール」と蔑まれたアサヒビールに、住友銀行から乗り込んだ樋口廣太郎。先例にとらわれず、ライバル会社に教えを請い、若い社員を硬軟織り交ぜながら鼓舞して、大胆な改革を次々と実践する。絶対王者を抜き去り業界のトップへと押し上げた逆転劇を、企業小説の名手が鮮烈に描く!(e-honより)

  • アサヒビール1桁シェアから
    トップシェアに持っていった凄腕経営者
    松下幸之助とも比較された人物

    現場で社員の士気を上げ、
    叩き上げのプロパー社員を後継者として社長に起用、
    元銀行マン住友副頭取からアサヒビール社長
    前例がないからやる
    掴めばチャンス、逃げればピンチ

  • 現在はスーパードライなどの製品を筆頭に、ビール業界において圧倒的シェアを誇るアサヒビールにも「夕日ビール」と揶揄され、競合他社に後塵を拝していた時代があった。この低迷期に三井住友銀行副頭取の立場から再建を任され、社長に就任したのが樋口廣太郎である。この小説は樋口に焦点を当てたものである。

    樋口は持ち前のリーダーシップと強いこだわりを生かし、時に周りを混乱させながらも改革を断行していく。特に以下の文章は印象に残った。

    ===
    【仕事十則】
    1.基本に忠実であれ。基本とは、困難に直面した時、志を高く持ち初心を貫くこと。常に他人への思いやりを忘れないこと。
    2.口先や頭の中で商売するな。心で商売せよ。
    3.生きた金を使え。死に金を使うな。
    4.約束は守れ。守れない約束はするな。
    5.出来ることと出来ないことをはっきりさせ、YES/NOを明確にせよ。
    6.期限のつかない仕事は「仕事」ではない。
    7.他人の悪口は言うな。他人の悪口が始まったら耳休めせよ。
    8.毎日の仕事をこなしていく時、「いま何をすることが一番大事か」ということを常に考えよ。
    9.最後までやり抜けるか否かは、最後の一歩をどう克服するかにかかっている。これは集中力をどれだけ発揮できるかにかかっている。
    10.二人で同じ仕事をするな。お互いに相手がやってくれると思うから「抜け」ができる。一人であれば緊張感が高まり、集中力が生まれて良い仕事ができる。

    「チャンスは貯金できない」
    ===

    まさに骨太な、現在では忌避されるような経営者。しかし、成功の裏には数多もの失敗があったはずである。

    それらのリスクを背負いながらも、経営者としてやると決めたことを断行してく姿はまさに昭和の時代を思わせるものであり、現在このような意思決定をできる経営者はどのくらい存在しているのだろう。1つの側面を見て経営者を評するのではなく、改めてその根幹にある思想に思いを馳せることの重要性を痛感した。

  • ものすごい気迫ある樋口廣太郎氏の生き様がありありと文字に起こしても伝わってきます。このような方と間近で仕事が出来れば時代を動かしているような心持ちでいれるのではないでしょうか。自分には厳しそうですが、、

  • 夕日ビールと揶揄され、低迷していたアサヒビールを瞬く間に再生し、業界トップへと上り詰める原動力となった、樋口廣太郎。

    住友銀行の副頭取からアサヒビールの社長に転出すると、いきなりその豪腕で「サラリーマン社長でありながら、大企業でトップダウン型の経営」を行い、社内外の雰囲気を一変させる。スーパードライの大ヒットを生み、見事アサヒビールの再生を果たす。

    「チャンスは貯金できない」という積極果敢な経営方針は見事。ただ、その余りのワンマンぶり、下に仕えるのはかなり大変そう。

    樋口廣太郎の器の大きさが際立った一冊でした。

  • アサヒビール中興の祖、樋口廣太郎氏の業績を称える本。

    昭和60年頃、アサヒビールはシェア下落が止まらず「夕日ビール」と蔑まれていた。
    住友銀行から送り込まれたバンカーの樋口氏。強力なリーダーシップを武器に社員を鼓舞しながら、新商品のスーパードライの発売と、古くなったビールの回収・廃棄を推し進め、業績回復を果たす。

    昭和一ケタどころか、明治生まれの人が経営のトップで力を奮っていた時代の訳だけど、本から伝わる彼らのエネルギーがすごい。

    昼も夜もなく、公私混同で動き回ってる感じ。

    戦後の日本を立て直してバブルを巻き起こした原動力と言うのは伊達ではない。

    彼らトップだけでなくその部下たちも総じてエネルギッシュで熱い。

    社長のスピーチに涙して、握手してもらったら膝がわななき、褒め言葉が一生の宝になる。

    社長の鼓舞の仕方も過激で、今ならパワハラで一発アウトな言葉がバシバシ出てくる。

    人種が違うんじゃないか、という気がする。

    境界は戦前〜復興期を体感したかどうか、だろうか。

    現代の人たちは省エネで大人しくなっているのかな?

    宇宙がビックバンのあとに冷えたように。

    僕は冷えてるほうが好きだから良かった。

    本自体は面白いけど、エピソードごと年代が行ったり来たりするのが少し読みにくい。
    時系列が好きなのです。

  • 18/10/10読了。

    昭和の経営者。
    この本を読んだ上での樋口廣太郎氏の印象だ。

    僕自身は昭和の時代に働いたことはないので、本当の昭和の経営者を知っている訳ではない(そんな分類があるのかどうかも分からない)が、どことなく今の時代にはfitしない気もする。

    ただ、だからといって「最強の経営者」という表現に異論はない。
    恐らくいつの時代にあっても彼は「最強の経営者」であったと思う。

    慎重な豪快さ。
    これと決めたら徹底的にやり抜く推進力。
    自分は強運と言って憚らないポジティブさ。
    周りを味方につける魅力はどこから来るのか。
    彼自身は「人を見る目がある」と言っているが、実はそうではなくて、彼自身の魅力が周囲に優秀な人材を惹きつけているのではないかとも思う。

    小説として様々な決断の裏側が書かれている。
    世の中に絶対的な正解はない。
    何かを信じることの力強さを改めて感じた。

    仕事柄、経営者と話をする事も多い。
    いまこの本に出会えて良かったと思う。

    ---以下本文より---
    ハーバードビジネススクールにて…
    私の経営の基本は
    ①経営とは顧客の創造であり、そのためにリスクに挑戦していくこと。
    ②大きな会社になることではなく、良い商品を生み出すエクセレントカンパニーを目指すこと。
    ③利益責任は社長が負い、社員には夢を持って働いてもらうこと。

    2代前のアサヒビール社長による人員整理を磯田会長が評価したことを受けて…
    冗談じゃない。俺なら仕事を増やす事を考える。

    【仕事十則】
    1.基本に忠実であれ。基本とは、困難に直面した時、志を高く持ち初心を貫くこと。常に他人への思いやりを忘れないこと。
    2.口先や頭の中で商売するな。心で商売せよ。
    3.生きた金を使え。死に金を使うな。
    4.約束は守れ。守れない約束はするな。
    5.出来ることと出来ないことをはっきりさせ、YES/NOを明確にせよ。
    6.期限のつかない仕事は「仕事」ではない。
    7.他人の悪口は言うな。他人の悪口が始まったら耳休めせよ。
    8.毎日の仕事をこなしていく時、「いま何をすることが一番大事か」ということを常に考えよ。
    9.最後までやり抜けるか否かは、最後の一歩をどう克服するかにかかっている。これは集中力をどれだけ発揮できるかにかかっている。
    10.二人で同じ仕事をするな。お互いに相手がやってくれると思うから「抜け」ができる。一人であれば緊張感が高まり、集中力が生まれて良い仕事ができる。

    【管理職十則】
    1.組織を活性化しようと思ったら、その職場で困っていることを一つずつ潰していけば良い。人間は本来努力して浮かび上がろうとしているのだから。
    2.職位とは仕事のための呼称であり、役割分担を明確にするためにあるのだと考えれば管理とは何かがきちんと出てくる。
    3.先例がない、だからやる、のが管理職ではないか。
    4.部下の管理は易しい。むしろ上級者を管理することに意を用いるべきである。
    5.リーダーシップとは部下を管理することではない。発想を豊かに持ち、部下の能力を存分に引き出すことである。
    6.YESは部下だけで返事してよいが、NOを顧客に出す時は上司として知っていなければならない。
    7.人間を個人として認めれば、若い社員が喜んで働ける環境ができる。
    8.若い人は我々の鏡であり、若い人が動かないのは我々が悪いからだと思わなければならない。
    9.若い人の話を聞くには喜んで批判を受ける雅量が必要である。
    10.結局職場とは人間として切磋琢磨の場であり、錬成のための道場である。



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著者プロフィール

1939年東京生まれ。専門誌記者や編集長を務める傍ら小説を書き、75年『虚構の城』でデビュー。83年、退職し作家に専念。緻密な取材に基づく企業・経済小説の問題作を次々に発表する。代表作は『小説日本興業銀行』『小説ザ・外資』の他『金融腐蝕列島』シリーズ全5部作など。

「2023年 『転職』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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