異類婚姻譚 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1393
感想 : 131
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065132241

感想・レビュー・書評

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  • 表題作の冒頭一文は、タイトルとの相乗効果で衝撃。以降は、期待感程ではなかった。寓話と言うには粘度が強すぎる。

  • 家族の何たるか。

  • 結婚や家庭に関する寓話4作。根底には人と関わりたくない思いがある気がした。
    結婚すると互いに似てくるとはよく言うけれど、それを溶解していく妖怪のように描いたのは風刺がきいてて面白い。粗相をするからという理由で山に捨てられる猫のサンショと、主人公のサンちゃんは名前が似ているし、夫婦は互いに尻尾から食べ合って頭だけが残る蛇ボールだという話を聞く時サンちゃんは鰻の食べ比べ弁当に山椒を振って食べている。最後に山芍薬になった夫を、サンショを捨てた山に植えに行く。隣に咲くよく似た竜胆はサンショであってサンちゃんなのだと思う。
    キタヱさん夫婦や弟カップルの様に似ない夫婦もいて、それは間に「何かを挟んでいる」ということなのだろうが、意識的にそうしない限り飲み込まれていくのが結婚なのかもしれないし、そうして似た者同士になった2人だけで人間であることをやめて山でひっそり生きるのもいいなと私は思う。人間社会で夫婦として生きていくのはストレスフルなのかもしれない。
    「藁の夫」は解説を読んで、たしかに口うるさいだけの夫をどろどろに溶けた楽器ばかり吐き出して後には家畜の飼料のような藁しか残らない人間に見立てているとしたら相当面白いなと思った。

  • ほんまにおもしろかった。オチもすごいし、なんなら一文目から惹かれた。

  • 結婚であり家庭であり。書かれている中身は大人びている。
    でも読んだあとは何故か懐かしい、子供の頃に読んだ日本昔ばなしを思い出させる。

  • おもしろかった〜、特に〈犬たち〉が好きだった。

  • 本谷さんが書く小説が好きです。

    その中でも今回の本は間延びもなくテンポも自分好みで一気に読み切ってしまいました。
    そして…ラストの余韻が最高でした。

    本谷さんの毒ぽい台詞も良かったです。
    「人でなしと思わないでね。
    ごめん。嘘。人でなしと思ってくれたほうがいいや。」とか。ちょこちょこした会話も、
    なんかツボりました。

    本谷さんが書く小説の登場人物たちが、
    自分の人生に関わってきたら絶対やだな。関わりたくないなーって笑。思うのですが、本当にみんな滑稽でどうしようもなく好きで。本谷さんの本を読むとストレス解消になります。

  • 本来の意味での異類婚姻譚が好きなのでこれはタイトルからとても気になっていたのだけど、なるほど、そもそも夫婦なんて人間同士であっても異類みたいなもんだなあと当たり前のことを今更のように思った。

    顔が似てくるのはまだしも、顔がどんどん崩れて元の形を忘れていくというのは怖い。併録されてる短編「トモ子のバウムクーヘン」もそうだけど、よく知っているはずのものが急に見知らぬもののように思えたり、認知症ならずとも目の前の家族を突然「誰だっけ?」と問いたくなったり、すーーっと自分だけ酔いがさめるように、日常のふとした瞬間に一種のゲシュタルト崩壊のような現象が起こることって結構あるよねえ。

    それが単に心の動きの表現、気持ちが離れたときの心の距離の具象化なのかはわからないけど、小説の中にそれを視覚的な変化として落とし込んでいるところがとても面白い。姥捨てならぬ猫捨てをする老夫婦も含め、とりあえず楽なほうへ逃げたいという登場人物たちの行動への嫌悪感はあるものの、自分自身もそうやって目を逸らしたい現実から逃げているうちに別の形のものになってしまうのかも、という恐怖もあり。ラストの美しさも含め基本的にはホラー。

    他の短編も面白かったです。「藁の夫」は先にアンソロジーで読んでとても気に入っていたのだけど、この文庫の収録作の流れで読むとまた違う面白さがありました。

    ※収録
    異類婚姻譚/トモ子のバウムクーヘン/<犬たち>/藁の夫

  • 私の読解力や想像力が足りなかったらしく4話とも消化できずに終わった…ホラーなはず

  • 芥川賞受賞作品という事もあり、とても期待して読んだわりには、、、?????
    みたいな所が沢山ありました。

    一作目はなかなか面白かったけど、、、4作目の藁???
    私には理解不能でした

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著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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