テンプル騎士団 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210408

感想・レビュー・書評

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  • テンプル騎士団については、塩野七生さんの『十字軍物語』に悲劇的に描かれていて、いつか詳しく知りたいと思っていました。
    そしてこのたび直木賞作家の佐藤賢一さんが、テンプル騎士団にスポットライトをあてて書いていただける運びとなりました。
    集英社の「青春と読書」に連載、加筆修正したのがこの本。

    テンプル騎士団とはもともと「巡礼地の警備、巡礼者の保護」という活動で始まりました。
    しかしどんどん進化してしまいます。

    〈ヨーロッパ初の常備軍であり、ヨーロッパ壱の大地主であり、ヨーロッパ最大の銀行であった。
    城塞であり、農場であり、銀行窓口でもあるような支部をヨーロッパ中に張り巡らせる、超国家的な組織だった。
    相応の権力も振るいえた。
    中世の国連といってみるが、比べられない潤沢な資金と強力な軍隊を、それも自前で持っていた。
    必ずしも理念としての平和を押し進めたわけではないからには、あるいは国際金融資本がアメリカ軍を持っていたようなものと形容するべきか〉

    だから、嫌われるんです。
    まず、聖職者から。
    王侯貴族や領主たち。
    庶民も。

    そしてきわめつけがフィリップ4世
    彼はアヴィニョン捕囚
    をした人なんです!
    それだけでもスゴイでしょ。

    まあとにかく、その後なんですが、
    大航海時代にも彼ら(元テンプル騎士団)は大活躍しているんです。
    テンプル騎士団は悲劇で終わり、ではなかったのです。
    この本を読んで、安心しました!

  • 20180929

  • かの十字軍で有名なテンプル騎士団について書かれています。騎士の代表ともいえる彼らの実態について、またそのように見られる理由について、成立過程から解散までを読むことで知ることができるように書かれています。その圧倒的な強さと影響力について知ることができます。
    彼らがいたからこそ、十字軍の最中でも聖地巡礼ができたし、その安全も担保できたこと。それだけの強い力を持っていたこと。それゆえに邪魔に思われることもあったこと。それゆえに、最後は滅びなければならなかったこと。
    領主や宗教が強さを持った時代から、国という単位がそれに代わる時代を迎え、その過渡期に勢力を持ち、消えていったテンプル騎士団は、想像通りにドラマチックな生き方だったのだろうと思いました。

  • 十字軍とテンプル騎士団。本書はテンプル騎士団が逮捕される13日の金曜日から始まる。
    設立当初は困窮するばかりだったテンプル騎士団。地方の権力者の支持を得て軍事力、そして経済力を増していくことになり一国の王たちとも渡り合うことになる。常備軍としての騎士の顔と聖職者としての顔。武士が権力を握った当初の平家の話と似ていると感じる部分もありました。平家の基盤を弱くしたのも公家や白河上皇との対立だった訳だし。

  • 十字軍で有名なテンプル騎士団が中世において、銀行の役割も果たす超国家的な存在であったとは驚きである。また、その末裔が新大陸を発見したり、フリーメンソンを結成した可能性があるという。まさに歴史のロマンである。

  • 文句なしの☆5つ評価。
    とにかく面白く・読みやすく・ためになる。
    新書本の見本のような一冊かと。
    この一冊でテンプル騎士団の概要が分かる。

    数年前にマルタ島へ旅行した時に、「ヨハネ騎士団は
    形式上残ってる。テンプル騎士団は弾圧されて壊滅現在
    残っていない」的な説明があったと記憶しているが
    その理由が本書を読んで分かった。
    青池保子の”アルカサル 王城”に出てくるカラトラバ、
    サンティアゴの両騎士団の存在も関連付けて
    理解できた気がする。もちろん”サラディンの日”の
    「テンプル騎士団はヨーロッパ王室の金庫番だからな」等の
    セリフの背景なども。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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