空をつかむまで (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464450

作品紹介・あらすじ

膝の故障で得意のサッカーを諦めた優太は、廃校が決まった田舎の中学に通う3年生。無理やり入部させられた水泳部には、姫と呼ばれる県の記録保持者と、泳げないデブのモー次郎しかいない。3人は、なくなってしまう美里中学の名前を残すため、大切な人のため、優勝すべくトライアスロン大会に挑む。市町村合併を背景にまばゆい青春の葛藤と疾走を描いた少年少女小説。第22回坪田譲治文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • H29.5.13 読了。

    中学生男女4人の青春小説。
    鶴じいのようなかっこいい大人が近くにいたら、楽しいだろうな。

  • 中学生、思う様にいかないことの方が多くて、(大人になれば努力とは言えない単に)ジタバタをして結果が出ないことに、言い訳したり諦めたりマイナスな方法で自身に折り合いをつけていたばかりだったように思う。
    優太、姫、モー次郎は半ば強制的に参加することになったトライアスロンを因縁の対決?をきっかけに自分から挑んでいく。
    言い訳せずに、何かをとにかく夢中で頑張ってみれば、何かしらの成長に繋がるのだと改めて、爽やかな気持ちで感じられた。

    それって中学生でなくても、何歳からでも同じ事だよねーと都合よく解釈して、私は頑張る!笑

  • 多感な年頃の中学生。その複雑な心理や葛藤、挑戦を通した成長が描かれています。
    周囲からバカにされているモー次郎、水泳で県記録保持者の姫、サッカーをやめた優太。その3人に、姫の彼女で優太の幼馴染みでもある美月も深く関わりながらのストーリー展開。
    心理描写とストーリーにいつの間にか引き込まれ作品に没頭してしまいました。

    バラバラな個性の3人が、ぶつかったり離れたりしながら「トライアスロン大会」という1つの目的に向かっていく。
    それぞれの事情は異なるけど、抱えているしんどさはみんな重い。それが更に複雑に絡み合ってしまっている。

    『ぼくたちは病んでなんかいない。大人たちに押しつけられた歪みに耐えられないやつが出てきているだけだ。心の闇なんてない。ぼくたちはあと少し考える力が必要なだけだ。言ってることとやってることがちぐはぐじゃない憧れたくなるような大人に、そばで導いてもらえればきっと変われる』

    ただ者ではない鶴じいが格好良かったなぁ。
    子どもの頃に出会う大人で、将来は大きく変わると思います。
    作品の最初とラストでは登場人物に対する印象が変わりました。
    子どもたちのこれまでの頑張りはいっぱい褒めて、ひとまわり成長した子どもたちにハグを、
    その未来にはエールを送りたい!!
    清々しい読後感の青春小説。
    おもしろかったです。

  • 読み始めたら
    どんどんはまっていった1冊。

    トライアスロン本番での
    モー次郎から優太へバトンタッチするシーン。

    「空、広かったよ。地球と遊べた気がしたよ!」

    この言葉で
    思わず泣きそうになった。

    卒業式のシーンは
    涙無しでは読めません。

  • これは感動した!
    本当の友達(親友)って良いな~と思った。
    トライアスロンを通じて仲が良くなる青春小説だと思って読んでたんだけど、最後らへんはまさかな展開。
    卒業式の流れはウルウルしちゃった。
    色々な所が繋がってて、面白い。夏の大三角の使い方は感動した。

    2010.09.06 読了

  • 優太、姫、モー次郎たち、美月の歓声や叫び声、そしてひとりのときのひっそりとした泣き声が聞こえてくるようだ。自分の力だけではどうにもできないことがあることを知る時期かもしれない。大人じゃないけど子どもじゃない、子どもじゃないけど大人じゃない。佐野元春は「つまらない大人にはなりたくない」って歌っていた。オイラは優太が言う「憧れたくなるような大人」になってるかな。
    「大切なのはイメージだ。もっと高くジャンプして青い空に手を伸ばすようにして、歪んだ大人たちがつかめなかった生きるってことの楽しさを、僕らの世代が手にするのだ。そのための強さを手に入れるには、足を踏み出さなくちゃいけない。それは大袈裟なことではなくて、きっと身近な一歩であってもいい」
    解説の川上健一は言う。
    「人間という生き物は、前向きであればどんな状況にあっても美しいものと希望を見つけられるものだと私は思う。青春という多感な時期に落ち込んだりもがいたりしている時ほど、美しいものと希望をより多く見つけることができるはずだ。見つけられないのは前向きになれる術を知らないからだけなのだ。例えばジャンプしてみる。例えばスキップしてみる。例えば口笛を吹いてみる。例えば空を見てみる。例えば自分にラブレターを書いてみる」
    なんて勇気が出る言葉だろう。優太たちの何倍も生きているけど、その中身はあまり優太たちと変わらない。だから優太のように強くなるために、投げ出さずに走りきること、なにかをやり遂げることはいくつになっても続けよう。

  • 青くさい臭いとみずみずしいエネルギーが私には心地よくかったです。

  • いかにもっていう青春小説かな

  • 大好きな本です。また登場人物達に会いたくなったらよろしくお願いしますと言いたい。

  • 面白かった‼

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著者プロフィール

1972年栃木県生まれ。茨城大学大学院人文科学研究科修了。映画館の映写室でアルバイトをしながら小説を執筆し、2002年『プリズムの夏』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。07年には『空をつかむまで』で坪田譲治文学賞を受賞。他の著書に『ブックのいた街』、『はとの神様』、『ナツイロ』、『シグナル』、『潮風に流れる歌』などがある。

「2018年 『サニー・シックスティーン・ルール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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