ジョッキー (集英社文庫)

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感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477771

感想・レビュー・書評

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  • 最期には G1で 勝つとは 思っていましたが。

    こんな 勝ち方は

    残念です。

    内容が 面白く

    いっきに 読めましたが。

    最期のレースが。

    もっと 他の 方法は 無かったんですかね。

    後味の 悪い 小説でした。

  • この本、発刊された時に一度読んでいるのだけれど、この前行った中古本屋の棚に刺さっていたのを見つけて、思わず買ってしまった。

    ショウサンことオウショウサンデーは、当時はその姿形からクロフネのイメージで読んでいたが、天衣無縫の逃げっぷりはサイレンススズカをも思わせる。
    今読むと、ショウサンの新馬戦に八弥のような騎手が乗る筋書きは、騎手にエージェントがついたり外国人や地方出身の騎手がいる現在では成り立たない、古き良き時代の話となってしまったな。
    とは言え、ショウサンの競走成績と八弥の騎手生活をひとつの軸に、馬主と調教師の関係(今はこんな個性的な個人馬主はいなくなったけどな)、若い調教師と古株厩務員の軋轢(パドックでのスーツ姿と言えば、先日辞められた角居師のことを思い出す)、騎手の減量、トレセンの騎手だまりや馬の診療の様子などまで余さず描かれた話は、今でも十分に楽しめる。
    ショウサンのレース振りはそこまで細かく記されないながらも、八弥が騎乗した新馬、500万下のレースを知れば、クラシックロードの不振と生駒によって覚醒した中山記念以降の強さが短い描写の中でも十分に目に浮かぶ仕掛け。
    切羽詰まりながらも腕を頼りに騎手を続ける八弥の日常も幅広く描かれ、売れなくても総じてポジティブな中、自分が背負った情念をリエラブリーに押し付け走らせる新潟記念にはアイロニカルなところもあったり、一筋縄でないところが良い。
    自分の描くストーリー通りにショウサンを走らそうとするオーナーの姿はいかがなものかと思わせるが、良い意味での馬主のロマンが少なくなった今日では、こうしたガツガツした姿も微笑ましく映る。

    「いつか王子駅で」の感想にも似たようなことを書いたが、馬が強くなった割に肝腎の競馬が昔と比べてあまり面白くないのは、どうしてなんだろうな。
    GⅠが多くなってGⅠ馬が何頭も出ている割にはワクワク感に乏しく、調教技術が上がった一方トライアルの意義は薄れ、ビジネスライクな大馬主の思惑からはGⅠすら使い分けの対象となって強豪が勢揃いしてのガチンコ勝負が見られないのが何とも味気ない。
    常にTTGのような強豪が揃い個性ある脇役も周りを固めた時代が懐かしい!

  • フリーの中堅騎手・八弥は騎乗依頼がないと、生計をたてることも難しい状態。
    そんな中、注目の新馬に乗る機会がやってきて…。

    *****

    宮部みゆき氏、絶賛!
    「個性豊かで、愛すべき登場人馬たち。すっかり作者の術中にはまってしまいました。」

    *****

    宮部さんが絶賛!期待。

    競馬に知識のないひとでも十分楽しめる内容。
    それでいて、細々とした背景描写もあり、面白い。
    でも、何か、物足りない、何だろう。
    もう一押し、何かが欲しいかも。

    ただ、けっこう後から後からたくさんのひと、馬が出てくる中、それぞれに個性を割り振り、混乱しないところはすごいと思う。
    ちょっとしたエピソードが本編にいくつか盛り込まれており、それを通して主人公の性格や考えが露呈していくのだが、小さな合いの手がなかなかいいスパイスになっていた。

    主人公の人間臭さ、競馬という勝負の世界の裏側。
    ああ、青春小説。

    ”競馬”というものに関係する小説を初めて読んだ。
    解説にて藤代三郎氏が”競馬”小説をいくつか紹介されているので、気になる方はチェック。
    以下たくさんの作品を挙げた上で藤代氏は「私の読みたかった競馬小説がここにある」と『ジョッキー』の解説をされている。

    海渡英祐『無印の本命』
    佐野洋『蹄の殺意』、『牧場に消える』、『禁じられた手綱』、『直線大外強襲』
    三好徹『円形の賭け』
    阿部牧郎『菊花賞を撃て』、『天皇賞への走路』
    石川喬司『走れホース紳士』、『競馬聖書』、『ホース紳士奮戦す』
    塩崎利雄『極道記者』
    油来亀造『グランプリで会おう』、『春が来た!』
    石月正広『競馬狂ブルース』
    新橋遊吉『八百長』→直木賞受賞
    岡嶋二人『焦茶色のパステル』→江戸川乱歩賞受賞
    宮本輝『優駿』</a>→吉川英治賞受賞、「競馬小説の傑作」と述べられていた。

  • 小説を書くのには、出だしが難しいと言われます。新人賞ですし、そのあたり、少々難があるように感じました。さらに、しばらくは読みがたいと感じるところも。でも、読んでいくうちにずんずん文章がこなれていきますし、巧みな部分もうまく活きてくるようになり、存分に物語世界に没入できるようになりました。もっと言えば、競馬の世界への知見が、これを書いた当時23歳の若者にしては、尋常じゃないくらいの広さと深みがあり、そういったものに支えられて、執筆が弾んでいるように感じられもしますし、なかなかまねしようと思ってもできないその調査力、取材力が察せられる。それらの勝利ですね。知見に支えられたイマジネーションの深さによって、読者をぐいぐい引き入れていく文章にどんどんなっていきます。ただ、いくぶん、女性のキャラクターの造形が薄っぺらい。主人公の後輩騎手なんて、面白みがあり、でも、憎たらしいところもありながら、それでも愛すべきキャラクターに仕立ててあるという旨さがありますが、女性キャラは単調でうわべ的です。終盤にかけて、若干厚みがでてきますが、それでも、造形はもうちょっと足りないと思う。ま、そういった部分があるにせよ、騎手のテクニックについての描写など、ふつうは書けないところにも踏み込んでいるし、どんどん盛り上がっても行きますし、エンタメとしてよかったなあという感想です。

  • 自分もトレセンにいるような臨場感。
    不器用だけど真っ直ぐなジョッキー八弥の波乱万丈なジョッキー生活。またずっと読み続けたいストーリーに会えた^ ^
    映画化しないかなー

  • 半分物語、半分お仕事小説、みたいな感じでなかなか面白かった。
    売れないジョッキーってこんな感じなのかぁ、って。
    消えた糺さんがどうなったのかとかちょっと気になることも残るけど、ちょいちょい意外な展開も隠されていて面白い。
    勝負って、どこまでが正々堂々なのか、とかも含めて。
    最後はずっとハラハラ、もっと勧善懲悪物語のようにすっきり善で終わるかと思ったらそうではなく、結局、ポジティブ路線butちょい悪で終わったのは意外だった。そういう意外さというか本当の人間らしさがこの小説の味なのかもしれないね。主人公がヒーロー過ぎないというか。

  • 著者は競馬が好きで、競馬をよく研究していて、競馬を取材していることがよくわかる。

  • 競馬サークルを個性豊かなキャラクターで描いた小説。
    ベタだが人物ドラマも面白かった。

  • 実に「さわやか」な物語である。

    競馬にはロマンがある、ドラマがあるという話をよく耳にする。
    ただ、それがキレイなものばかりだとはかぎらない。

    馬への愛情を注ぎすぎる調教師。
    人がよすぎる後輩騎手。
    人に迷惑しかかけないベテラン騎手。

    そういった清濁を併せ持つことも、競馬の魅力であり、この物語の魅力ではなかろうか。

  • 競馬小説というよりは気持ち良い青春小説、という感じ。イケメンはうらやましい。

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