あふれた愛 (集英社文庫)

著者 : 天童荒太

• 集英社 (2005年5月20日発売)

感想・レビュー・書評

[norihisaさんの感想 · 2008年12月26日]

純粋であるがゆえにうまく生きていくことができない人々に訪れる淡い希望。短編集。

天童さんは「包帯クラブ」が大好きで映画まで観に行ったほどだったが、この本は今ひとつピンとこなかった。
ただ精神障害者どうしの恋愛を描いた「やすらぎの香り」はよかった。

[keiさんの感想 · 2008年9月22日]

読んだ現在。世間を若干騒がせた、あるお母さんとダブった。
あふれる事もあるのだと。

[のんきなあひるの子さんの感想 · 2008年5月26日]

http://coco6calcio.blog96.fc2.com/blog-entry-87.html

[なにがしさんの感想 · 2008年3月19日]

　愛のずれた男の話｢とりあえず、愛｣、暴走する愛の話｢うつろな恋人｣、精神的に弱い二人が愛し支えあう｢やすらぎの香り｣、故人への愛を追体験し人の死について実感をする｢喪われゆく君に｣の4編からなる小説。<BR>
　前半はなんか他人事に思えなくて痛い話だったが、ソレと対照的に後半の2編は暖かい話だった。順番逆じゃなくてよかった。

[あわよくばさんの感想 · 2008年3月1日]

　個人的には最初の「とりあえず、愛」が一番気に入った。愛情を上手く伝えられないもどかしさをよく表現しているなぁと思った。<br>
　２作目「うつろな恋人」は、ストーリーとしては一番起伏があって面白いけど、テレビの「世にも奇妙な物語」って感じ。精神を病んだ恋人同士を描いた３作目「やすらぎの香り」は精神を病むに至った過程が説明くさくてあまり感情移入できず。４つめ「喪われゆく君に」は、物理的な「夫」が喪われゆく過程とその「愛」（観念的な「夫」といえるかもしれない）が自覚されてゆく過程、そしてそれを通じて主人公が愛する人の尊さを知る過程が立体的に交差していく様を描いているところが興味深い。<br>
　文章に関しては特別目を引くものはなく、全体的に、伏線やモチーフのあざとさが目に付いたこと、「……」や語尾の「っ」が多用されているのが、ちょっと軽くて不快だった。

[日曜日のさくらんぼさんの感想 · 2007年10月30日]

ささやかでありふれた日々の中で、たとえどんなに愛し合っていても、人は知らずにすれ違い、お互いを追いつめ、傷つけてしまうものなのか…。夫婦、親子、恋人たち。純粋であるがゆえにさまざまな苦しみを抱え、居場所を見失って、うまく生きていくことができない―そんな人々の魂に訪れる淡い希望を、やさしくつつみこむように描く四つの物語。天童荒太の本質がつまった珠玉の作品集。

[アンジェリクさんの感想 · 2007年9月25日]

そこまで悪いほうへいかなくても...とおもうはなしもあったのだけれど。これ、わたしのことだ、とおもうものもあった。でてくるひとがみな純粋すぎて、醜いものは、繕わずそのままのかたちで残していたほうがよかったのでは、とおもう。

[akityさんの感想 · 2007年7月13日]

怖い。気持ち悪い。

[MASSANさんの感想 · 2007年5月7日]

題名を『あふれる愛』だと思っていました。４つの短編が収録されています。
愛情を表に出さなかったために妻との気持ちがすれ違う「とりあえず愛」。
妄想の恋人とデートを重ねる少女に恋した中年男の「うつろな恋人」。
精神を病んだ男女が恋人となり二人で自立して生活する「やすらぎの香り」。
バイト先のコンビニで急死した男性とその妻の過去のデート現場を訪ねて周る「喪われゆく君に」。
どの話も標準以上、胸を打つ話なのに後に残らないのは何故なんでしょう。心を病んだ人間をリアルに書く点では問題ないのでしょうが、ラストがどれも気に入らない。普通の眼のうえに、わざわざ優しい眼というフィルターをかけて眺めているみたい。

[>゜))))彡さんの感想 · 2007年4月21日]

なんか、ちょっとえぐい。
面白いのは面白いんだけどなー

著者プロフィール

天童 荒太（てんどう・あらた）：1960（昭和35）年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ　ルック・アット・ミー！』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」