風の影 上 (集英社文庫)

制作 : 木村 裕美 
  • 集英社
3.82
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本棚登録 : 1293
レビュー : 193
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087605082

作品紹介・あらすじ

1945年のバルセロナ。霧深い夏の朝、ダニエル少年は父親に連れて行かれた「忘れられた本の墓場」で出遭った『風の影』に深く感動する。謎の作家フリアン・カラックスの隠された過去の探求は、内戦に傷ついた都市の記憶を甦らせるとともに、愛と憎悪に満ちた物語の中で少年の精神を成長させる…。17言語、37カ国で翻訳出版され、世界中の読者から熱い支持を得ている本格的歴史、恋愛、冒険ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  •  物語の中に物語がある、これは見事な仕掛けが施されたマトリョーシカのような小説です。

     小説の中にこの小説と同じ「風の影」というタイトルの本を書いたフリアン・カラックスという男が登場します。そしてその本の登場人物であるライン・クーベルトを名乗る顔のない不気味な男が、本の中から抜け出したように夜の街をさまよい、その本を探し当ててはことごとく焼いてしまおうとするのです。

     フリアン・カラックスの謎にとりつかれた主人公ダニエルがこれを解き明かそうとするうちに、次第にダニエルの人生はフリアンの人生と重なり合っていきます。まるでペネロペを愛したフリアンの運命をなぞるかのように、ダニエルはベアトリスに引き寄せられていきます。

     この小説はミステリーだと紹介されていますが、単なる娯楽小説に留まってはいません。意味深い言葉で人生の中にある愛憎劇や悲劇を描いています。上巻では、登場人物たちは欲望や憎悪や嫉妬に駆られ、あるいは絶望の前で人生の意味を見失いかけています。誰もが不幸を抱えているようで、読み進めることを辛く感じるほどです。それは内戦を迎えたスペインの暗い時代のせいなのか、それとも人間の本質なのか……。

     しかも、それらの全ては、下巻のクライマックスに向かう助走に過ぎないのです。

  • 一応書店員ということでポップを書くわけです。
    でも洋書だし読んだことないから、必死のリサーチでポップ作り上げるわけですよ。
    そしたら、どうしても本読みたくなっちゃって購入ww
    結局書店員も書店の重要な客となるわけですよね・・・

    今までほとんど外国文学読めなかったんだけど、内容を大まかに知っているだけに読みやすかったです。
    そして今まで読んだことないタイプの小説。
    ミステリー?なんだろうけどちょっとどういう方向に向かっていくのかまだわからない。
    これからどんな展開になっていくのか、どういう結末に陥るのか、小説と青年の数々の共通点はどこにつながっていくのか・・・
    下巻に期待。

  • 「本を読む者にとって、生まれてはじめてほんとうに心にとどいた本ほど、深い痕跡を残すものはない。はじめて心にうかんだあの映像、忘れた過去においてきたと思っていたあのことばのよいんは、永遠にぼくらのうちに生き、心の奥深くに「城」を彫りきざむ。そしてーその先の人生で何冊本を読もうが、どれだけ広い世界を発見しようが、どれほど多くを学び、また、どれほど多くを忘れようが関係なくーぼくたちは、かならずそこに帰って行くのだ。」
    「この無限にひろがる墓場のなかで、ぼくがまったくの偶然から、一冊の知らない本の内側にすべてをつつみこむほどの宇宙を発見したとしても、いっぽうでは、数えきれないほどの書物が、誰に開拓されることもなく永遠に忘れ去られていく。放置された何千万というページ、宇宙や持ち主を失った無数の魂に、ぼくはかこまれているような気がした。そんな本のぺーじたちが、暗黒の大洋に沈んでいくあいだに、この壁のむこうに息づく世界は、日々「記憶」を失っているのだ。自分でも気づかないうちに、しかも忘れれば忘れるほどよけいに賢くなったかのように感じながら。」

    スペイン発の本が売れるってすごいんじゃないか、と思って購入。
    少し不思議で次々に現れる謎は読者をあきさせない。
    バルセロナに行ってみたくなる一冊。あと、スペイン内戦時のこととかも知っているとより楽しいと思う。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「次々に現れる謎は読者をあきさせない。」
      本に纏わる話だと聞いて読み始めたら、面白過ぎて途中で止められなかった!
      しかし続編の「天使のゲーム...
      「次々に現れる謎は読者をあきさせない。」
      本に纏わる話だと聞いて読み始めたら、面白過ぎて途中で止められなかった!
      しかし続編の「天使のゲーム」は積んである、早く読まなきゃ。。。
      2013/05/21
  • バルセロナを舞台に、謎の作家の影を辿ろうとする青年の話。

    次第に明らかになっていく作家の過去と青年の身に起こる現在がシンクロしていき、不思議な世界観に浸れる…一気に読みたい!


    バルセロナの歴史や宗教、生活を知っていれば、もっと面白いにちがいない。自分の知識の無さが口惜しい!

    後半でどんなオチが待っているのかが楽しみ☆

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      新刊「天使のゲーム」は読まれましたか?(私は近日中に読む予定です)
      「バルセロナの歴史や宗教、生活を」
      「風の影」のサイトにバルセロナガイド...
      新刊「天使のゲーム」は読まれましたか?(私は近日中に読む予定です)
      「バルセロナの歴史や宗教、生活を」
      「風の影」のサイトにバルセロナガイドマップが載ってます。。。
      http://bunko.shueisha.co.jp/kaze/index2.html
      2012/08/22
  • 2008/09/30

  • テンポが良いので、話にぐいぐい引き込まれる。一人の人間の成長を描いた作品が好きなのでとてもよかった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「一人の人間の成長を描いた作品」
      私は「忘れられた本の墓場」と言う設定に魅せられました。早く「天使のゲーム」読まなきゃ!
      「一人の人間の成長を描いた作品」
      私は「忘れられた本の墓場」と言う設定に魅せられました。早く「天使のゲーム」読まなきゃ!
      2012/10/29
  • バルセロナ旅行中に読んだ思い出の本! 2010/07

  • そらさんのおすすめ。

  • 2010.4.9読了。1945年のバルセロナを舞台にして、古本屋の父に連れられ、少年は一冊の本「風の影」と出会う。もう誰の記憶にもない本、時の流れとともに失われた本が最後にいきつく秘密の場所「忘れられた本の墓場」で。

    そこに初めて来た人間は必ず一冊の本を選び、それを一生守らなければいけない。自分が本を選び、また本が自分を選ぶ。

    少年は、その本と、作者をめぐる壮大な謎を追っていくのだけれど、特に冒頭部分は本好きにはたまらぬ展開。自分が、今まで本と出会ってきた喜びを、読みながら再体験できる。

    そしてまた、少年の淡い恋心や裏切り、失望、期待といった大きく揺れ動く感情をなぞりながら、謎が徐々に深まっていくのがまた面白い。

    下巻の展開が楽しみ。

  • 1

  • michiさんリコメンド。

    まだ上巻なのでいろいろ謎ばかり。
    下巻期待age.

  • マイミクさんの推薦で手にした一冊。

    上巻を読了。
    バラバラだった糸が絡みあってきた。

    全体のレビューは下巻を読んでから。

  • 古本屋へ

  • 小説

  • 挫折

  • おもしろい!ミステリーとしても、青春ものとしてもおもしろい!あと、本好きならなおおもしろい!!

  • 謎めく出だしで、つかみはいいんだけど、
    文章が読みづらいっす。

    でもって登場人物が多くて、馴染みのない名前だから
    も誰が誰やら...。
    後編に期待。

  • 謎、謎、謎、どう決着つくか期待値最大限にアップ中。

    ささ、次巻へ。

  • バルセロナが舞台の小説

  • 忘れられた本の墓場 コレラ鷲みたいな顔の小柄な男 組合ギルド 話の構成がロシア人形マトリョーシカのよう カテドラル大聖堂 秘密というのは、それを守る人間の価値に値する 机上の空論 時代錯誤アナクロニズム キリスト文明の揺籃の地 アナーキス無政府主義者 アクセント抑揚のないラテン語で ロックフォール青黴チーズ 洗練された趣味を持つ人だった 軽佻浮薄な無学の娘を育てつつある自分の教授ぶり 文体の神秘に身をまかせるという悦び 共産主義者コミュニスト 自身の淡い投影、孤独や喪失の反響 隠された怨恨の世界 姪のクララ 生涯のかたきメネシス 性衝動が原因だという 色欲の罪 ただいま失業中の元役人 独裁者フランコ 腸詰チョリソ 不吉な門番ケルベロス 結核 流暢に話せない フェルマーの最終定理 メシア救世主 この世の終わりアンチクリスト トマスの発明品 磔刑たつけいの十字架 凌辱的な行為 ベアトリス 女っていうのは、本当は、自分で心に思い描いていることや、宣言することとは反対のことを望んでいるんだって。つまりね、よく考えれば、それほど手に負えないものでもない。だって男は、いまさら言うまでもないが、女と違って、逆に生殖器や消化器のいいなりなんですからねえ マグマの如く燃え滾るリビドー性衝動 ムラータ混血女性 「フェルミン、あなたって詩人ですね」 オルテガ派 実用主義 ドンファン 誠実な女 幸せな女 フメロ刑事のブラックリスト スグス キューバ葉巻のモンテクリスト 教会のミサビジネス 潮は何時も戻ってくる 進化もへったくれもあったもんじゃない。まともに物を考えることのできる人ひとりのために、私は、九匹のオラウータンと闘わなきゃならんのです。 アバンチュール情事 偽善のまぐさ桶 自分のゲームがはっきり見え始めるか、もう完全に投げ出しちまってるかのどっちかなんだ。 三つ子の胤をおとしてやって、神様みたいな顔してる 本は鏡と同じだよ。自分の心の中にあるものは、本を読まなきゃ見えない 武器製造の追い風に乗って 死ぬことに意味を見出した 守衛の息子ハビエル 頭のない体 片キンのラモン 新陳代謝が速い 我々ぐらいの歳になるとねえ、血液は、体の軟らかい部分に流れるよりも、ちゃんと頭の方に流れて行くんです。 よく言うよ! 人生なんて、あっというまに過ぎちまう。特に、生きるに値する時期は尚更ですよ。神父さんの言ったことをきいたでしょ。光陰矢の如しですからね。 運命はね、いつも道の曲がり角にいるんです。 哲学的金言 穢れない 庇護の祈り 豪華絢爛たる建物の数々 鉄鋼王アンドリュー・カーネギー ラスプーチン はじめて女性の服を脱がせる経験に比較できるものはない 奇跡は一度しか起こらない

  • 感想は下巻に

  • ジブリ美術館でおすすめされていたミステリー小説。あらすじを読んで、友達と絶対おもしろいと盛り上がり、すぐ手に入れた。本の内容と、その作者、主人公の人生が入り混じっていく感じや、暗い運命の予感、とても好みだ。バルセロナには2度いったことがある。この本を読んでからいけばよかった。

  • わたしを虜にした本。何度も読んでます。やはり外国人作家は書き味が全然ちがいます、比喩的表現やユーモアが日本のそれとは別物。どちらが良いというわけではなく、全然ちがう。異世界ものではないけどどこか非現実的で、それでいて人間味と個性あふれる登場人物たちの台詞ひとつひとつが生きてる。老若男女楽しめるかと思います。

  • 下巻にて

  • バルセロナに住む少年が1冊の本を通して、その本の過去を探求しながら精神的に成長していくお話。

    タイトルに惹かれて読んでみたが、展開がとても気になって、かなり一気に読んでしまった感じ。

    バルセロナの街の描写も細かく書かれていたり、所々で紹介される文学の本なども読みたくなったりして、楽しめた。バルセロナ、行ってみたくなる。

    登場人物が一人一人個性をしっかり持っているので、とっても多く出てくる割に、あまり迷わないのも、しっかりと人物描写してあるからかな。描写の仕方がうまいので飽きがこなく、しっかり人物像を頭に描けて、あまり迷わなくてすむ。

    「忘れられた本の墓場」と言う図書館の設定もミステリアスで面白い。

  • 胸躍る。

  • 行間まで中身がギュッと詰まった濃い1作だった。無駄な描写がなく、文章表現が素晴らしい。
    作家カラックスの哀しい物語が現在のダニエルのストーリーに重なってしまい、結末を考えてハラハラした。
    それぞれの登場人物に人生がある。それを最後まで丁寧に描き切っていて、読みながら感動した。
    素晴らしい文章を日本語に訳した翻訳家の方も凄い。

  • 140610

  • スペインはバルセロナが舞台の、ミステリーというかファンタジーというか、まあ位置づけは難しいですけども、ちょっとダークでゴシックな匂いがする世界観。冒頭では主人公ダニエルがまだ10歳の少年ということもあり、古書店を営む父親に連れられて「忘れられた本の墓場」から彼が1冊の本「風の影」を手にするくだりまでは、ハリーポッター的な少年の冒険譚をイメージしちゃってたんですけども、物語が進んで彼が成長するにつれ、そんな可愛らしいファンタジーではないことが判明してきます。「風の影」の作者であるフリアン・カラックスについてダニエルが調べていくにつれ、過去の愛憎劇や悲劇が明らかになってゆき、ダニエルもまたその悲劇の愛憎の渦に巻き込まれていってしまう。

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