白ゆき姫殺人事件

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 3567
レビュー : 586
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714593

作品紹介・あらすじ

「あの事件の犯人、隣の課の城野さんらしいよ…」美女OLが惨殺された不可解な事件を巡り、一人の女に疑惑の目が集まった。噂が噂を増幅する。果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも──。

感想・レビュー・書評

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  • 湊かなえらしい作品。
    OL殺人事件を巡って報道が過熱、疑われた女性の実名がネットに流れてしまう。

    「白ゆき」という化粧石けんがヒットした会社に勤めるOLの遺体が、雑木林で発見された。
    色白美人と評判の高かった三木典子。
    同期で同じ課に二人配属された城野美姫は化粧気もなく、目立たない外見。
    上司には差別扱いされていたが、城野は淡々とした態度だった。
    ところが城野が得意の料理でお弁当を作ってあげていた篠山係長も、美人の三木にあっさり取られてしまったらしい。
    篠山係長は、城野とは恋人ではなかったと証言するのだが?

    城野が欠勤を続けたところから容疑がかかり、噂が広まっていく。
    新聞記者の赤星は、二人を知る人にインタビューを重ね、城野の出身地までも取材に行く。
    学生時代には天然記念物のテンちゃんというあだ名だったという城野。
    村では妙な噂が‥?

    一人称のお喋りでそれぞれ違った見方が語られ、ぐいぐい引き込まれます。
    この作者いつもの調子で、殺されたほうも性格があまり良くないとだんだんわかってくるため、案外軽い読み心地。
    この性格は身近にいてほしくないけど、ちょっと笑えます。
    普通に週刊誌の見出しを読む程度の意地悪さというか。おっと、こちらも影響されて辛口になってしまってるかも?
    この前に読んだ「母性」の濃さと比べてしまうせいかな。

    マンマローというツイッターのようなSNSの書き込みや、週刊誌の記事が、参考資料として最後にまとめてあげられています。
    これが今の時代らしい新機軸。
    それでなるほどとわかる部分もあるんだけど、すごい新事実とかではないので~ちょっと読むのが面倒くさい。
    これをもう少し減らして犯行にいたる事情など別な部分を書き込むか、中盤からばらして少しずつ紹介したほうがよかったように思えますね。

  • 怖い。
    『白ゆき姫殺人事件』というタイトルから小人が推理するメルヘンなミステリーを想像していた。
    表紙がちょっと怖いなと思っていたのに…。そっちが正解だった。

    湊かなえさんの本を読むのは初めて。
    簡単には休憩させてくれない文章だと思った。仕事中続きが気になって気になって…。
    証言と関連資料を交互に読む構成はとても面白かった。
    週刊誌に対して嫌な印象が増してしまったけれど。

    「しぐれ谷OL殺人事件」の犯人像の取材で語られるのは、バラバラな人物像。
    読んでいるだけで気分が悪くなるような悪口も、明らかに浅はかな決めつけも、心からの親愛の気持ちもあった。
    そうしてそれらが週刊誌の記事にまとめられた時にこんなにもねじ曲げられるなんて。
    ただただ怖い。気持ち悪い。

    「殺人事件」、「容疑者」という言葉に乗っかって証言をする人達。
    言葉を歪める記者。
    当事者の言葉をいったい誰が聞いてくれるのか。
    彼女が失ったものを考えると怒りがこみ上げてくる。

  • 素直に面白かったです。関連資料的な試みもされてて、今風で入り込みやすい。
    今の時代は、SNSが頻繁に作用されてるから、いいような悪いような。
    何が本当で、何が嘘なのかわからない世の中。
    関連資料がある分、映像にもしやすいですね。湊さんって凄いな。

  • これは怖い。

    ある殺人事件について関係者にインタビューしていく。

    それぞれの人の感じ方、見方の違い。
    同じ人なのに違う人。

    それに話の切り取り方によってどのようにも変えられる。
    さらにそれを読む人によってさらに変わる。

    自分の関係ないところで展開していく、自分の人物像。
    いろんな意味で怖いと思った。


    ブログや週刊誌記事、新聞記事を巻末に持ってきているところが良かった。


    (図書館)

  • 登場人物全員性格悪い。
    というか、自分が矢面に立たない境遇だとこんなに他者を悪く言えるか。
    特に女性の負の感情描かせるとうまい。
    章の構成がちょっと特殊だけどおもしろかった。

  • 湊さんお得意の手法。
    化粧品会社の美人社員が殺され、それについて週刊誌記者が事件関係者に話を聞く形式。
    すべて一人称で語り口調。

    最後の資料集を読むのが楽しかった…けど、ネットはこえぇ…自分が事件に巻き込まれたら、色々な事がパーッと広がってしまうのかな。みんな無責任すぎるよ、人のこと言う前に自己紹介したら?もちろん本名で。

    形式は面白かったんだけど、殺人事件の真相が物足りなかったので★★★

  •  小説と映画という別メディアが同時に提供される作品も、現代では珍しくなくなった。しかしこの小説は、普通に文芸誌に連載された後、最終章で明かされる真の結末だけは、何とWEB文芸「レンザブロウ」というサイトに期間限定で公開されたらしい。現代のメディア融合という、小説の手法のニューエイジぶりには少し驚かされる。小説を読んで、WEBページがプリントされた本書の最終ページに辿り着いたとき、読者がどう感じるのか試されているのかな、という気分になる。小説の原形に拘る気持ちと、無理をしてでも時代に着いて行こうかとの前向きな気持ちが混在する複雑な自分が。

     本作は、映画化小説の発表の二年後に映画化されている。当時の刺激的なTVコマーシャルは、いかにも今風の派手なものだったが(YouTubeで確認可能)、レビューの方はどちらかと言えば悪評が目立つ。湊かなえの小説は、何らかの形で毒があり、それが読後に苦い舌ざわりとなって残るような部分があるので、すっきり爽やかな読後感は味わえない。キャラクターに多面性があって人間心理の醜い部分、エゴや粉飾などが透けて見えることが多いからだ。

     ましてや主に口語独白体によって描かれるため、手練れた熟練の作家による文芸ならではの上質な文章というものはまず味わえない。むしろ日頃本を読まない大衆を、ミステリ・グランドに引き寄せることを優先して選んだ作風と言っていい。ただ、殺人事件を材料にして構築される作中世界は、その分とても緻密丹念に用意されているから、ぎりぎりミステリーとして成り立たせ、しかもメディア融合というところにまで、手法の翼を広げることができるのだ。

     最終章は書籍においては、SMSやゴシップ週刊誌の報道記事を、文章スタイルではなく、WEBや記事のスタイルでそのままに見せている。これは小説なのだろうか? との声や反撥も無論少なくはないのではないか、と思う。しかし、それでもやってしまうのが、湊かなえという若き女性作家の度胸と勇気と開き直りのようなものなのだろう。前衛小説を代表していた安部公房のような作家とは多分に異なる意味で。

     作家自身のTVインタビューを見たとき、この人は庶民的だなあという印象を持ったものだ。作家の気配というより、その辺のどこにでもいそうな女性という空気感。文学少女の雰囲気は身に纏っていないのだ。だからこの人は最初から小説という形式を逸脱しているのかもしれない。その逆。小説という形にとらわれる必要がない。作品スタイルへの挑戦を、毎作のように試みてしまえるのだ。

     本作は、SNSや大衆小説でのあらぬ噂で混乱してゆく、OL殺人事件の顛末を描いてゆく。無責任な発言者や、非常識なレポーターや、意図的で警戒十分な周囲の人間たちの発言のみで、ページが埋められてゆく。その中で、読者は、事件の真実に近づいているかと思えば、遠ざけられているような印象もまた持つに違いない。人の、千差万別な言葉とは、真実を露わにすることもあれば、逆に隠蔽してしまうこともあるのだ。そんな作者の狙いに何度も足を掬われるようにして、読者もキャラクターたちも、騙され騙され結末に行進してゆく図を作者は執筆前に見ていたのだろうか。

     「白ゆき姫」であり、「白雪姫」ではないのは化粧品会社の石鹸が「白ゆき」であることから。容疑者であるOLの愛読書が「赤毛のアン」であり、夢見る少女としての青春時代。若き女流小説家ならではのそれらの少女趣味はあくまで仮面。仮面を被せられた人間たちの世界に紛れ、実際に描かれているのは、どこまでも暗い、人の心の闇であることは、いつの時代もあまり変わらない。。

  • 化粧品会社の美人社員が焼死体で発見される。同時期に同僚の女性が姿を消す。フリー記者の赤星は社内の人間や学生時代の友人などに取材をし、噂レベルや個人の見解を週刊誌の記事やSNSに書き込む。ネット上では、憶測が憶測を呼び犯人探しをするものの・・・
    資料という形で、タイムラインのようなものや週刊誌の記事が載っている。目新しさはあるものの、読むのには正直面倒なことも。
    電子書籍ではこの手法が有効的に使われるのだろうか?

  • とあるOLが殺され、その周辺の人々による噂話がマスコミやSNSによって勝手に容疑者として仕立て上げられていく様子が本編となっています。巻末には週刊誌やSNSなどを模した資料と称するものも付属して目新しさはあります。
    噂話ほどあてにならないものはない。けれど、容疑者とされた同僚はこれでもかとどんどん貶められていく。
    小さな頃の話から小中高大学とそれぞれの同級生の話も追加され、きっと容疑者扱いされた人はこんなふうにされるのだろうと思うと空恐ろしいくらいです。
    ただ、終わりではあっさり真犯人が捕まり、やや尻つぼみな感じ。この作者さんならではの人間関係の恐ろしさだけが後に残ります。
    映画は見ていませんが、正直観る気は起きないです。

  • 申し訳ないけど、おもしろくなかった。。
    これで映画化って、ある意味スゴイ。

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著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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