きいろいゾウ

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093861625

感想・レビュー・書評

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  • しあわせの裏側には

    しあわせのための悲しみがあって

    でもそれはやっぱりしあわせのため。


    そんなループは、理解だと思う。

  • 西加奈子さんに出会ったのが最近すぎて、新しい作品から読んでいるうちに手を付けるのが遅くなった1冊。
    映画化をきっかけに読む気に。
    よかった。
    独特の世界観が良かった。
    関西弁なのに静かな文体で、静かな文体なのにツマの周りの世界は賑やかで。
    お話後半から真綿で絞められていくように、読み進めるうちに追い詰められて息苦しくなっていく感じが心地よい。
    「カンユさん」「コソク」「メガデス」「ヨル」この独特の名づけセンス好きだなー!

  • (2013年1月5日読了)
    映画化される事を知った頃に、結構好きな作品のが多い西さんなので、既に読んだと思ってたけど未読だったので、すぐ予約して読んだ。
    あらすじには人間以外の動物や植物と話せる女性の話だとあったけど、それはまるで脇役のような、でも物語の重要な役割を担っている。
    主人公はツマとムコ。夫婦。幼い頃のツマが同タイトルの絵本を読んでいるシーン→ツマの語り→ムコの日記の順にそれぞれの話しが綴られている。。同じ場面がムコとツマ双方から書かれていて面白い。後半、日記でない部分もあったけど、基本的に二人の語りで綴られている。ムコの過去もある。
    苦しくなるほどに相手を思うムコとツマ。二人の掛け合いも面白かったし、ツマの天然さは素敵だった。
    他の登場人(?)物、コソク、カンユさん、メガデス、大地くん、アレチさん、セイカさん、平井さん、洋子などなども味があって楽しかった。(アレチさんについては、過去にも触れている)
    映画を観た方も、そうでない方にもオススメします。
    結局、私は観てないのだけど、いつか観たいと思う。

  • 柔らかいけど、時々鋭く痛いお話。

    しかし、西さんの本っていいなぁと思う。出てくる人が愛おしい。カニでさえも。

    静かな暮らしの中に静かに起こる嵐。
    こうやって日々が続いていくのは素敵。

    映画どうなるのかな。でもきっと、あったかい映画なのでしょう。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「あったかい映画なのでしょう。 」
      仰言るとおりでした、、、
      個人的には、リリー・フランキと緒川たまきが良かったです。。。
      「あったかい映画なのでしょう。 」
      仰言るとおりでした、、、
      個人的には、リリー・フランキと緒川たまきが良かったです。。。
      2013/03/18
    • ako.さん
      < nyancomaruさん
      映画ご覧になったのですね。
      私も観よう!と思っているうちに、気がついたら上映が終わっておりました。DVDを...
      < nyancomaruさん
      映画ご覧になったのですね。
      私も観よう!と思っているうちに、気がついたら上映が終わっておりました。DVDを待っているところです。
      2013/04/03
  • ツマとムコ、そんな名前の夫婦の田舎暮らしを西加奈子の文体でミミズ腫れのように浮かび上がらせた作品、というのが感想です。
    題名にもなっているきいろいゾウの話が時折出てくるが少し冗長で、全体の流れも俺には合わなかった。

    映画化で宮崎あおいと向井理だと聞いて色んな意味で驚きました…。

  • 前半は田舎のいろいろな声に耳を澄ませるツマと、優しくそれを見つめるムコの姿が想像できてあったかい。
    だんだんそのあったかい夏の空気から、物語の舞台は冷え込む冬へ読者を引っ張っていく。このまま、ほっこりとしていたいのに。
    だけど二人を好きになってしまっていたので、本を閉じられずに最後までつきあうことにした。

    にぎやかな声を聞き、会話をするツマとすれ違うようにムコは過去に沈みこんでいってしまう。ムコが東京に残した、ツマと同じように、けれど決定的に違うそこにないものにとらわれる女性。今度こそ助けたい。でも何が自分に伝えられるのか。
    女性にムコが語るクライマックスとツマが大好きな絵本の「きいろいゾウ」。鮮やかな鳥の彫り物とムコに残された色彩のない飛べない鳥。

    さようなら。ありがとう。こんなにこの言葉に奇跡を感じたことはない。美しいラストです。

  • 妻の名前と夫の名前がツマとムコと呼び合っているという
    これだけでもくすりと笑えてしまう夫婦だなと思いました。
    ツマは周囲の生き物の声を聞けてしまうという不思議な能力を持つけれど、
    その反面無邪気で夫に対していつも好きで好きでたまらないという
    気持ちがあって、まるで恋愛少女のように思えて可愛らしい人だと思いました。
    そんなどこか寂しい気持ちを抱えているのは、
    夫がツマに特別に何かしたかということではなくて
    日頃から夫の行動を見ていたからこんな気持ちになったのかと思います。

    同じ屋根の下に住んでいても少しの行動だけで気持ちが分かってしまうというのが夫婦なのかもしれないです。

    夫もツマと同じように好きな気持ちは変わらないと思うのですが、
    辛い過去のしがらみにかられているのか、どこか冷静に見ている感じがしました。
    けれど夫はツマに対しては何でもしてくれて、心優しく器の大きい人でもあります。
    お互いが大切に思うあまりに大事なことに目をそむけてしまっているというのが切ないところです。

    そんな仲の良い二人に突然の出来事が出来てしまい、
    気持ちが離れてしまうのかと一瞬ハラハラとさせられてしまいましたが、
    この出来事がかえって二人の気持ちをより強い絆になって良かったなと思います。

    恋愛小説だけれどどこかファンタジーのような要素も入っていて、
    今まで読んできた恋愛小説にはないタイプでした。

    小説の間に平仮名で書かれた「きいろいゾウ」はこれはこれで
    また良い絵本で別の物語を読んでいる感じです。

    最後に夫の記した日記に必要な物が書かれていますが、
    これに大きな文字であんな言葉を書かれてしまったら
    妻、女性としては最高に嬉しいと思います。

    二人の夫婦だけでなく、田舎に移り住んだ周りの人達の温かさが良かったです。
    おませな太地くんの言葉や手紙にもキュン とさせられてしまいました。

    夫婦とは?というのを違った切り口から描かれているのでとても新鮮で、
    改めて夫婦とはどうゆうものかというのを考えさせられました。

  • ただそこにいてくれるだけで、すっかり安心して眠ることができる。
    つらいとき、「大丈夫」と言ってくれる。
    きいろいソウにすごく会いたくなる、そして誰かのきいろいゾウでありたいと思う。

    すごく素敵なお話でした。満足★

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「きいろいゾウでありたいと思う。 」
      なれたら素敵ですね、、、
      辛いけど、それを乗り越えられる話だから好き。
      「きいろいゾウでありたいと思う。 」
      なれたら素敵ですね、、、
      辛いけど、それを乗り越えられる話だから好き。
      2013/06/11
  • 過疎の田舎でのムコさんとツマさんの、平凡な生活風景。
    情報化社会に生きている僕たちからすると、のんびりしていて穏やかで
    平和な世界に思えます。

    幸せになるために、あれもこれも必要であるかのような様々な情報が飛び交い、自分が幸せになれないのは何かが足りないからだと
    そんな気持ちにさせられる今の世の中ですが、
    幸せになるために必要なことは、たったひとつのこと。

    愛する人とともに寄り添うこと。
    ともに生きること。

    ただそれだけで、十分なんだと気づかせてくれる。

    幸せになるために必要なことは、新しく何かを得ることではなく
    それはずっとそこにあったのだと
    そんなことに気付く本です。

  • 作品全体に流れる空気感がよかった。
    西さんの本は初めて読みましたが他のものも
    読みたくなりました。

    .

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

西加奈子の作品

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