本を守ろうとする猫の話 (小学館文庫 な 13-5)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094066845

感想・レビュー・書評

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  • 作者は本当に本を愛しているのだと感じた。
    作中に挙げられた作品、まったく読んだことがなくて。
    自分の読書の浅さを痛感した。

  • 「本を守る」とはそういう意味か…。
    現代の売れてる本、またその本をこぞって買う人たち、「読書家」と自慢げに言う人たちの勘違いに、著者が訴えたい事など、この物語を通して毒?を吐き出してるんだな…と途中から読みながら感じてしまいました。その事もあり純粋に物語に入っていけたかと言うと、そうではありませんでした。
    最後の「解説にかえて」を読み「やっぱり!」と納得出来たのと、著者の伝えたい事もとても理解できるので、ま、これはこれでよしです。

    確かに身につまされる感覚もあり、自らを顧みるきっかけになりました。また中で出てきた名作も読みたくなったので、最後に書いてあるように、著者の思惑に乗せられたと言ってもいいかと(笑)
    この本は、本を読む人たちに対して、一石を投じる本だと思います。

  • 不登校の少年がある日ある条件を満たさないと見ることのできない喋る猫に出会う。
    日常生活から突如望まぬ冒険に連れて行かれる。
    お節介なクラスメイトが頼もしい仲間になっていく。
    とりあえずファンタジー好きなら嫌でもわくわくしてしまう要素しかない。

    いじめられっこではないが友達の少ない主人公の少年が不思議な動物と一緒に冒険に出るところは「ネバーエンディングストーリー」を思わせるし、冒険の中で出会う厄介な人達は「星の王子様」に出てくるそれぞれの星の王様に通じるところがある。

    この物語の冒険で対峙する相手は凶悪でも手強くもなくハラハラドキドキの冒険物語とはいえないが、子供向けのようなストーリー展開の中で、本好きのお祖父さんとその孫である主人公の少年の本に対する思いを綴るセリフが全てといっていいほど良い。
    とても共感できるし読みながらiPhoneのメモに書き留めるほどグッときた。

    ファンタジー好きや本好き上級者には少し温度の低めの本だが、純粋に本好きとしていろんな人に読んでほしいと思えた一冊だった。
    本をこれから読みたいと思っている子どもたちや本初心者の人たちにはきっと素敵な視点と知見を与えてくれるのでおすすめしたい。

  • 毛並みの立派なトラネコの出てくる有名な絵本ってなに?読みたい

  • 人を思う心を知るのが読書……とても素敵に響きました。

    誰かの夢や願い、考えを形にした本を読むことは、それだけたくさんの人の想いや思考に触れること。
    様々な世界に繋がる可能性の扉の開き方、キラキラした宝物に触れさせて貰ったような素敵な気分になりました。
    これからもたくさんの人の心を感じられるよう、本を読むことを大事にしていきたいです

  • 私は読書が好きだ。好きだからこそ10代の頃は速読して、本を読み漁り、知識を詰め込みたいと思った時もあった。そして、速読なんかして楽しいのか?と疑問を投げかけてくれたのは父だった。
    1冊を味わう意味、本から心を受け取る事。今失われつつある読書の意味を教えてくれる一冊。
    子供達に読ませたい。

  • 夏川先生が本が大好きなことが伝わってくる。

    私は本を読むのが、とても遅くて、でもそれでもいいんだよって背中を押してくれた気がした。
    それでいて、「難しい本に出会ったらチャンス」という林太郎の言葉に勇気をもらったので、たくさんの本に挑戦したいと強く思った!!

    p.59 たくさん読めばいい訳じゃない
    「ただがむしゃらに本を読めば、その分だけ見える世界が広がるわけではない。どれほど多くの知識を詰め込んでも、お前が自分の頭で考え、自分の足で歩かなければ、すべては空虚な借り物でしかないのだよ」
    「本がお前の代わりに人生を歩んでくれるわけではない。自分の足で歩くことを忘れた本読みは、古びた知識で膨らんだ百科事典のようなものだ。誰かが開いてくれなければ何の役にも立たない骨董品に過ぎない。」
    「お前はただの物知りになりたいのか?」

    p.113.114 本を読むことは…
    「本を読むことは、山に登ることと似ている」
    「読書はただ愉快であったり、わくわくしたりするだけではない。ときに一行一行を吟味し、何度も同じ文章を往復して読み返し、頭を抱えながらゆっくり進めていく読書もある。その苦しい作業の結果、ふいに視界が開ける。長い長い登山道を登り詰めた先ににわかに眺望が開けるように」
    「読書には苦しい読書というものがあるのだ」
    「愉快な読書もよい。けれども愉快なだけの登山道では、見える景色にも限界がある。道が険しいからといって、山を非難していてはいけない。一歩一歩喘ぎながら登っていくこともまたひとつの登山の楽しみだ」
    「どうせ登るなら高い山に登りなさい。絶景が見える」

    p.243.244 本が教えてくれるもの
    「本はもしかしたら“人を思う心“を教えてくれるんじゃないかって」
    「人を傷つけてはいけない。弱い者いじめはいけないし、困っている人がいれば手を貸してあげなければいけない。そんなことは当たり前じゃないかと言う人たちがいます。でも本当は当たり前じゃなくなっているんです。当たり前じゃないだけでなく、“なぜか“と問う人たちさえいるんです。なぜ人を傷つけてはいけないか、わからない人たちがたくさんいるんです。そういう人たちに説明するのは簡単じゃありません。理屈じゃないんですから。でも本を読めばわかるんです。理屈で何かを語るよりずっと大切なこと、人はひとりで生きているわけじゃないってことが、簡単にわかるんです」

    p.260 難しい本
    「難しい本に出会ったらそれはチャンスだよ」
    「読みやすいってことは、それは柚木が知っていることが書いてあるから読みやすいんだ。難しいってことは新しいことが書いてあるって証拠だよ」

  • 本を守ろうとする猫の話 夏川草介

    第一の迷宮「閉じ込める者」
    第二の迷宮「切りきざむ者」
    第三の迷宮「売りさばく者」
    最後の迷宮
    目次からダンジョン攻略のようで、読む前からわくわくする。

    今とは常識も生活背景も異なる、はるか過去に書かれた作品が、今も読み継がれているのはなぜか。
    どれほど時代が変化しても、変わっていないもの、変わってはいけないものが書かれているからである。人間の本性にかかわる大切な事柄が記されているのである。
    最後に解説でそう言った作者に、私は納得した。だから本は面白い。自分が今まで知らなかった事をどんどん教えてくれる。
    そして、作中でその事にたどりついた林太郎は、やはり本が大好きなのだ、とも思った。

    作者によると、明確な名は書いていないが、何気ない景色や会話の中にも、多くの作家や作品へのオマージュやパロディを織り込んでいる。との事だ。私には分からなかったので、これをきっかけに、世界の名だたる名作から少しずつ手にとってみたいと思う。

  • 解説が素敵でした。
    解説に⭐︎ひとつ追加して、⭐︎3にしました。

    作品としては、
    児童文学としてファンタジーを割り切って読むか、
    本当に数多の本の知識を有した上で読むか
    いずれかの楽しみ方。

    ファンタジーとしてはとてもよくできた成長譚。
    個人的にはどちらにも属さなかったので、心から楽しむことができなかった。
    あとやたらキャラクターたちのセリフや動き、考え方がアニメ調で好きになれなかったのが大きいかもしれない。

    でも解説は素敵でした。
    名作を手に取ってみたい気持ちになった。
    作者の試みは成功している。

  • 猫と本の世界という猫、本好きにたまらない世界観。る向き合い方がさまざまあって考えさせられる。本と向き合う姿勢を見つめ直すきっかけになる。読んでいる最中に色々重なっていい距離感で本と向き合えそうな実感がある。

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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。長野県にて地域医療に従事。2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同作は10年に本屋大賞第2位となり、11年には映画化もされた。著書に『神様のカルテ2』『神様のカルテ3』『神様のカルテ0』『新章 神様のカルテ』『本を守ろうとする猫の話』『始まりの木』『臨床の砦』『レッドゾーン』など。

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