不連続殺人事件 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.49
  • (19)
  • (32)
  • (51)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 712
感想 : 40
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101024035

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読了。
    坂口安吾が初めて書いた推理小説。江戸川乱歩などに絶賛された本書ではあるが、とにかく文章が読み辛い…。当時としては軽妙洒脱な語り口だったのかもしれないが、現代人からすると全くリアリティの無いやりとりであり、それ故に登場人物に感情移入することが全く出来ない。しかも、(トリックの要諦なので仕方ないけど)登場人物が多すぎて、登場人物一覧とかないと途中で訳が分からなくなる。個人的には犯人も「あー、やっぱり」って感じでイマサンでした。。。

  • 伊坂幸太郎の小説に坂口安吾「不連続殺人事件」のくだりがあり、新潟県出身なのに、知らなかったなあーと思って読んでみた。
    時代もあり、差別用語満載だが、安吾が読者に推理をさせて挑戦している(懸賞まで出している!)のが、ありえないミステリーなのではなく、本気度が伺えてとても面白かった。

  • 登場人物を覚えるのに苦労しました。
    「誰が犯人か推理してみてください、証拠をあげてトリックも全て正解した人には賞金を贈呈」と著者からの挑戦状があり、場面を自分なりに想像しながら読みました。
    その結果、違和感を覚える箇所はいくつかありましたが、あーそういう理由かぁーなるほどねぇとなるところもちらほら…自分は賞金には程遠かったようです。

  • 安吾の推理小説、はじめはその奇妙キテレツな人物の見本市を面白く読んだが、次第に登場人物と事件の関係におっつかなくなり、飽きてしまった。やっぱり、推理小説は苦手だな。会話などは相変わらず安吾で面白いんだが。しかし、海老塚の発狂シーンは白眉だった。

  • 本屋さんに置いてある小冊子「カドフェス2021」に掲載されていた本。著名な作家である著者がミステリーを書いていたことに興味がわいて手に取ってみる。
    人里離れた山奥の邸宅に、性格の変わった文化人の男女が集まり、次々と殺人事件が起きていく。本作が発表された時代なのか、登場人物の歪んだ性格の描写のためか、今では差別用語の連発に驚く。
    「木の枝は森に隠せ」の言葉のように、犯人たちは目的の殺人を達成する前にカモフラージュとなるように犯罪に手を染めていく。殺人の動機や実際にとった犯罪行動に突っ込みどころがあるかも知れないが、探偵役の巨勢博士が犯人を炙り出す最後の独白で、犯人同士の大喧嘩に違和感を感じ疑問を膨らませた点はなるほどと合点した。
    第2回探偵作家クラブ賞受賞作。昭和22年9月から翌8月まで雑誌「日本小説」に連載。

  • 初坂口安吾でした。
    独特でレトロな文章ですね。
    そして登場人物多すぎ&癖がすごい
    坂口安吾の周りの作家や芸術家はこんな人ばかりだったのかな?と想像してしまいます(笑)

    犯人は特に驚きはなかったけど
    終わり方も独特だわー

    1番面白かったのは巻末の安吾年表の17歳
    「父親の自伝を読み、そのスケールの小ささを知って軽蔑の念を抱くようになる」
    この一文が笑えました



  • 坂口安吾
    1906年〈明治39年〉10月20日 - 1955年〈昭和30年〉2月17日
    日本の小説家、評論家、随筆家

    舞台は第二次世界大戦から2年が経過した1947年(昭和22年)夏、N県(三輪山とか出てくるから奈良県よね)。県内有数の財閥・歌川多門邸で起こる、不連続殺人事件。
    名探偵・巨勢博士が「心理の足跡」を推理しながら動機を追跡してゆく物語。

    多門の息子一馬を取り巻く
    流行作家や詩人、劇作家、女優など
    その中で行われる恋多き奔放な恋愛関係
    ややこしくて(汗)、途中相関図みたいなものを自分で書いてしもた(笑)

    作者、坂口安吾の附記
    探偵小説解答募集 〆切 昭和二十三年四月十五日

    されているのが面白い
    巨勢博士が、多門邸に帰ってくる直前にやっと犯人と動機はわかった
    探偵は無理ね(爆笑)


    短編『アンゴウ』特別収録
    とても素敵な暗号(戦後のお話し)


    Amazon【内容紹介】~
    乱歩も清張も驚いた――。
    奇怪な人間関係、斬新なトリック。日本のミステリ史に輝く傑作!

    探偵小説を愛し、戦争中は仲間と犯人当てゲームに興じた安吾。本作は著者初の本格探偵小説にして、日本ミステリ史に輝く名作である。その独創的なトリックは、江戸川乱歩ら専門作家をも驚嘆せしめた。山奥の洋館で起こる殺人事件。乱倫と狂態の中に残された「心理の足跡」を見抜き、あなたは犯人を推理できるか? 自らの原稿料を賭けた「読者への挑戦状」を網羅。感涙の短篇「アンゴウ」特別収録。

  • ただただ読みにくかった…。文体が肌に合わなかったという感じ。登場人物のイメージが被る人が多くて誰が誰やら?

  • 本格ミステリとして楽しめるだけでなく、ことばのテンポがとても良い。
    一方、巻末に収録されている「アンゴウ」は別の作者かと思うほどしんみりしてまたいい。

  • 目次
    ・不連続殺人事件
    ・アンゴウ

    ずっと読みたかった坂口安吾のこの本。
    ところが本の厚さよりも登場人物表に載る人物名の名前の多さにうんざりし、それが揃いも揃っていけ好かない人たちばかりなのにさらにうんざり。
    もう、夫婦や元夫婦が不倫やら何やらで、戦後の倫理観ってどうなってるの?って感じ。

    けれど、一つ一つの事件で誰が犯行可能で誰が不可能なのかを考えて読むにつれ、誰が犯人なのか、動機は何かがわからなくなってくる。

    犯人捜しの再会者発表の中で安吾が書いている。
    『犯人の間違った答案の多くは、消却法を用いられているが(中略)ところが、消却法による限り、必ず犯人は当たらない。いわば探偵小説のトリックとは、消却法を相手にして、それによる限り必ず失敗するように作られたものである。』

    なるほど、そう考えたことはなかったな。

    何度かさしはさまれる安吾からの挑戦状の最後通牒を読んだ後まで、犯人に気づけませんでした。
    最後の事件が起こった後、動機から逆算して犯人に辿り着きましたが、これでは遅すぎる。

    ちなみに尾崎士郎は「坂口安吾の小説はいつも「私」が悪者に決まっているから、「私」が犯人である」と推理。
    太宰治は「最後の海にたった一度、何食わぬ顔で顔を出すやつが犯人」と。
    どちらも「作者の挑戦状を受けるだけの素質がない」と安吾に一刀両断されている。

    文壇も巻き込みながら楽しんでいたようで、いい時代だったんだなあなんて関係ないことまで思ってしまった。
    だけど正解者の住所までバッチリ記載されているのもまた、時代なのね。

    事件のトリック自体はそれほど難しいものではないけれど、というか、それが安吾の狙いなのだけど、事件の真相は納得のいくものだった。

    そして「アンゴウ」。
    安吾だからアンゴウなの?なんてふざけたことを思いながら読んだけど、最後は胸にぐっと来た。

    主人公がたった一枚の紙を妻の不倫の証拠と断定するのは、それなりの理由があるにしても短絡的だなと思った。
    最後にアンゴウの意味を知ると、戦争が遺した傷のむごさ、戦争がまだ身近だったころの時代感覚などを考えさせられる。
    いい作品だった。

全40件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂口安吾の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
ピエール ルメー...
今村 昌弘
米澤 穂信
今村 昌弘
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×