夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101027418

感想・レビュー・書評

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  • 5篇からなる連作短編集。5作とも関連した物語。どの話しも思いどおりにならない日々のなかで、それでも希望が見える終わり方。表題作の「チョコレートグラミー」の意味に胸が熱くなります。気丈な静子ちゃんのおばあちゃんの想いに涙が出そうになりました。またそれぞれのストーリーにひとひねりあり毎回、あっと思わされました。よかった。

  • どきっとする表現がたくさんあった
    各話、最初と最後が二度見する表現

    「手で叩かれたら痛いって分かる でも同じことをできる手を自分も持ってる」
    じゃあ、その手をどう使うか?
    って、ぜひ子どもに話したい

    学生のバイトは良いことか悪いことかを自由研究の題材にする って笑ったわー

    啓太が誰か とか、
    どうしてバイトをするか とか 
    芙美さん
    ええっ!って、展開が最後までとまらない一冊で、
    いつの間にか先入観を持ってる自分を言い当てられたかんじ

  • 読み終えてしばらくボー〜っとしてジーーんとして涙が溢れてきた。せつないお話なんだけど幸せな気持ちにしてもらえるようなお話でした。サキコとりゅうちゃんの恋のお話、サキコと啓太の親子関係、他、何度も読み返したくなるお話達でした。町田そのこ作品が大好きです。

  • どの話も苦しかったけど、最後には怖さや不安を抱えながらも自分で決断し、一歩踏み出す姿に、人の心の奥底にある強さを感じた。怖くても、自分で決めることの大切さを教えてもらった気がする。
    そして、味方であってほしい人にそうしてもらえないことは本当に辛い。けれど、味方でいてくれる人が一人でもいることで、人はよりパワーをもらえることを思うと、縁を大切にしたいなと思った。
    啓太と晴子、宇崎くんと唯、桜子さんと清音が特に印象深い。

  • 5編の連作短編集
     カメルーンの青い鳥
     夜空に泳ぐチョコレートグラミー
     波間に浮かぶイエロー
     溺れるスイミー
     海になる

    町田その子さんのデビュー作を含む人気短編集で、その人気も納得の内容だった。

    特に驚いたのは各短編の書き出し…
    解説で吉田伸子さんが絶賛されていたが、書き出しの吸引力の凄さが物語に一気に惹き込まれる理由だろう。最初の一文読んだだけで、ぐっと魅せられてしまった。
    更に、登場人物が短編で繋がってくる具合もさり気なく、作り込み過ぎない所が好みだった。

    さてさてネタバレは避けるとして、私は特に『カメルーンの青い鳥』と『波間に浮かぶイエロー』が印象に残った。

    どの物語も、自分の生きる場所、生きやすい場所を求めているという軸が共通していて、それぞれが悩みもがきながらも、自分の生きる道を自分で選択していく様が切なくて儚い。

    時に胸が苦しくなる感覚に襲われながらも、登場人物の弱さや清らかさを愛おしく感じた。
    また、短編全体に広がる瑞々しい描写が何とも心地良く、それでいて水の中にいるかのように掴みどころのない不思議な読後感だった。
    本作は特に女性が好みそうな内容だと思う。

  • どうしようもなく金欠で、それでも読みたかったので書店で新刊で買ったこの本。
    「頼むから買って良かったと思わせてくれ!」
    なんて、貧乏臭い小汚ない思考でページをめくった。

    始め、冒頭の始まりに心惹かれる。けど、まだ始まったばかり。
    ひとつ目の短編「カメルーンの青い魚」が終わる。
    切なさとちょっとした優しさをもらったけど、こういった話の連続なのだろうか? と不安を覚える。

    二つ目「夜空に浮かぶチョコレートグラミー」に入る。
    まだ心は少し曇っているが、途中で気づく前の短編との絶妙な繋がりに、心晴れ口角が上がる。ページをめくる速度がすいすいと早くなる。
    そして、二つ目が終わる。勇気を貰った。

    そのまま勢いよく「波間に浮かぶイエロー」へ。
    ゾッとするような冒頭と、そこからは考えられないくらい騒がしい、個性的すぎるキャラの登場。
    のめり込み、読み進め、最後はまっすぐで深い愛と少し残る切なさに感動を覚えて、余韻の波がどこまでも押し寄せる。

    この頃にはもう、「頼むから買って良かったと思わせてくれ!」なんて邪な気持ちはなくなっていた。
    続きが読みたいだけじゃない。もっとこの人の作る話を読みたい。この人の作る物語を味わいたい。終わってほしくないって気持ちさえ、芽生えていた。

    四つ目。「溺れるスイミー」
    物語が最後に向かうにつれ、どうしようもなく悲しい気持ちが押し寄せてくる。どこまでもどこまでも、ただどうかこの物語の登場人物みんなが、幸せになってほしい。ただそう願い、悲しみに涙が溢れそうになった。

    そして、あっというまに五つ目「海になる」へと流れ着く。
    主人公の身に振りかけるあまりにもひどい、本当にひどい仕打ちに怒りを覚えた。5つの物語を通して、どの話にも、切ない別れのようなものがあり、それが美しくも悲しくあった。だが、怒りを強く感じたのはこの作品だけだ。
    しかし、そんな怒りも物語が終わるにつれ解消され、そして最後にはこの5作を通しての1つの希望のような何かが残る。
    僕は、そんな希望めいた何か素敵な物語を5つ貰ったんだ。そう思いながら、この本を閉じた。

    ほんとに読めてよかった!!
    物語に出てくる人々の、弱さや強さ、優しさに苦しみ。色んな物を感じ取って、そして自分の心に残すことが出来た。この小説を買ってよかった。この小説を読めてよかった。もっとこの作者の作品を読みたいと思ったし、何度もこの本を読み直したいと思った。
    それくらい、好きな小説だと思いました。

  • 「52ヘルツの鯨くじらたち」に興味を持ちつつ、町田その子さんの初読。
    予備知識なく読み出して、連作短編と気づき、少しずつ登場人物の重なりを楽しむ。一編一編がきちんと独立して完成している。特に環さんへの想いを芙美さんに託したちょっとしたどんでん返しには驚くと同時に泣けた。最後は誰が出てくるのかと思ったら、晴子!
    解説にもある始まりの一文のつかみがよい。各お話の主人公の女性たちはそれぞれ辛さを抱えているけど、最後に何十年も経って希望を見せてもらえて良かった。

  • クジラ、ぎょらんと読破し3冊目で町田その子のデビュー作。これが町田その子の原点なんだと感慨深く読みました。今も引き続き描かれる、それぞれの人にあった居場所。そして必ず登場する優しい知人や関係者たち。人生で迷子になっている人の気持ちに、そっと寄り添うような優しさや人の温もりを感じる本でした。連作短編集だが、ある人物の重なり方、連なり方が絶妙なバランス。構成にも驚かされるものがあります。

  • いずれも苦しく切ない人間たちの物語だけど、些細な一筋の光を見せてくれる作品でした。
    人間の小さな一歩が美しく描かれています。描いている方の優しさを感じました。
    他からどう見えるかは関係ない、希望は自分で見つけるものですね。

  • 町田そのこさんのデビュー作だそうです

    一人の人物に関わりのある短編集

    どれもせつないけど、それぞれが幸せになってくれたらいいなと、心から思えます

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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