- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101135014
感想・レビュー・書評
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テーマは暗いのに、人間の強さを感じさせる短編小説群であった。日々の生活の厳しさに家族で向かい合いながら、一方で、自殺してしまった家族の存在が負い目となる。豊かさの中で、共同体や家族の崩壊が進んでいる二十一世紀の日本との違いが際立っていた。
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表題作だけ読む。お互いの不幸や苦労を乗り越えた上でのハッピーエンドが心地良かった。こういうカップルにありがちな、依存心も見当たらず、明るい未来を想像させてくれる。
ただ一点、主人公の口説き方が拙速過ぎて、『モテ力』や『婚活』の参考にならないことは、文学上の重大な瑕疵と言わざるをえない(嘘です…) -
表題作は、芥川賞受賞作。
明治から昭和戦前までの古臭い空気をまとった様な作風だが、本作はそれがしっくりとして良い。メロドラマっぽくもある。
「初夜」なんかも、続作に当たるのだと思うが、とても良かった。ただ、それまでで、他の短編は、「忍ぶ川」に散りばめられた要素を主題に書き下ろしたためか、味気無いというか、既視感に近い引き伸ばしを感じた。
そのためか、本作で独立した短編「驢馬」は、とても良かったと感じた。 -
2015/08/02 読了
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再読したい。
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【本の内容】
貧窮の中に結ばれた夫婦の愛を高らかにうたって芥川賞受賞の表題作ほか「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈画集」「驢馬」を収める。
[ 目次 ]
[ POP ]
8月末、79歳で死去した作家の三浦哲郎さんには伝説がある。
30年ほど前、小説の原稿を編集者がなくしてしまい、再度書いた。
間もなくして元の原稿が出てきて、編集者が照らし合わせたところ一字一句同じだった――。
真相は、書き直す直前、元の原稿は見つかっていた。
クビを切られることを覚悟して謝りにいった編集者に、「見つかったのは残念。句読点すら同じに復元する自信もあったのになあ」と語った三浦さんの言葉が誤伝されたらしい。
とはいえ、伝説には説得力があった。
「小説は文章」と思い定め、とことん推敲する短編の達人だったからだ。
妻との出会いから結婚までを描いた初期代表作「忍ぶ川」も文章が端正で、〈読むたびに心の中を清冽な水が流れるような甘美な流露感をたたえた名作〉である。
1988年の「文芸春秋3月号」に発表された読者アンケート「思い出に残る芥川賞作品」では、「太陽の季節」に次ぐ第2位。
新潮文庫は86刷162万3000部のロングセラーになっている。
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
表題作だけ、時々無性に読み返したくなる。
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第44回(1960年下半期)芥川賞受賞作。この回はなかなかに豊作で、候補作の中には倉橋由美子「夏の終り」や、柴田翔「ロクタル管の話」などもあった。ただし、選考委員のほとんどは本作を推している。作品の文体は私小説風であるが、そのようなタッチを意識して書かれた小説なのだろう。したがって、年代以上に古いタイプの小説という感じを受ける。第44回といえば、安部公房や大江健三郎よりも後なのだから。また、小説全体は、モノトーンに覆われ、ハッピーエンドであるにもかかわらず、ヒロインの志乃には薄倖そうなイメージが付き纏う。
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図書館で。この作品で芥川賞取られたんですね。
昭和初期のお話と言うことをあまり意識しないで読み始めた為、なんとなく最初から違和感を感じました。忍ぶ川だけならこういう純愛話も良いね、で終わった気がするのですがその後を読んでしまうとあまりいただけない感じが。
なんというかこんな理想的な奥さんいないんじゃない?みたいな感じがします。大体夫の方が子供がいらないと言っておいたくせに。奥さんもサバサバと掻把しましょうって辺り違和感が。喧嘩も口論もしないでその結論ですか?女性ってそういうところもっと悩む気もするんですけどね。大体奥さん側は子供欲しがってるわけだし…
という訳で無職の彼を否定しないで意見もせず、別居中は旦那実家で義父母姉と仲良く暮らし内職で生活費も稼いでくれる男性の理想のような奥様すごいなあと思いました。