忍ぶ川 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101135014

感想・レビュー・書評

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  • 何度読み返したことか。忍ぶ川の志乃さんの物語は永遠です。

  • 主人公が因縁めいた血との訣別を果たすあたりの心境を読むと、とても力が湧く

    「囚われる」ということが生きていく上で必ずしも意味を持たないとわかったとき、人間はそこから抜け出せるんだと思う

    生と死は難しく考えることではなく、こういう自然な繰り返しの上に成り立っているのかも

  • 図書館で借りたが、一度なくして大騒ぎだった。見つかったが、読み始めるとあっという間に読み終わった。深川をあまり描いていないのに、雰囲気にものすごく下町らしさが表れていた。(雪国とマッチしていた?)

  • 表題作「忍ぶ川」と、その続篇に共通していえるのは、志乃がいい。
    こんな女性は、理想ですね。

  • 表題作が一番まえにあって、読後感最高の作品である。だが、それ以降の作品があまりに現実的すぎて高揚感が一気に無くなるというろくでもない構成である。

  • 表題作の「忍ぶ川」と「初夜」「帰郷」はある男女の出会いから、夫婦となったその後までを描いたもの。陰気になりがちなストーリーを寸でのところで明るく爽やかに描いていて、とても健全な印象だ。
    この3編と「恥の譜」「幻燈畫集」は作者自身がモチーフとなっている。特にあとの2編は、5人もいる兄姉のうち4人が尋常でない亡び方をした、いわば亡びの血というべきものに対する恐怖や恥を描き、前半の3編とは様相を異にしている。こころなしか太宰の「晩年」を思わせる短編集だ。
    最後の「驢馬」だけはモチーフもまったく違い、満州人留学生の目を通して見た大戦下の日本を描く。ちょっとおぞましい。
    ☆芥川賞

  • 芥川賞受賞の「忍ぶ川」、その続編の4作を含む7作の短編集。忍ぶ川は昭和初期の作者の体験を基にしたお話らしい。好きな女性と出会い、問題を乗り越えながらも幸せに結ばれる。昭和初期という事もあり描写が細かく書かれているが少しイメージしにくい。何でもない日常のお話、という感想で個人的には何かを感じ取れる作品ではなかった。

  • 短編集。
    「忍ぶ川」「初夜」「帰郷」・・・自身の体験をもとにした青春小説。
    「団欒」・・・上の設定を少し変えた、少し暗い話。
    「恥の譜」「幻燈書集」・・・自分の家族をもとに、兄弟が何人も不幸な人生を送る一家の話。
    「驢馬」…太平洋戦争中、日本に留学した満州人の話。

  • 夫婦の出会いから結婚、そしてその後までを描いた作品。
    男性目線でありがちな

    初々しい妻→出産を経て強くなる妻→妻と言うより母

    「出会った頃に戻りた〜い」みたいな。

    リアルに描かれていて 確かにあくびが出た。

  • 戦後間もない東京を舞台にお互い暗い過去を背負った二人が貧乏生活の中で生きていく、最後は普通の夫婦になって行くハッピー・エンド的に終わる。
    主人公は青森の昔資産家の6人兄弟の末っ子。兄二人は失踪、姉二人は自殺、残る姉も目が不自由。暗い血を背負う。相手の女性志乃は父親の事業の失敗から家族は栃木の田舎で神社の廃屋で暮らしているという極貧の生活者であった。
    志乃はしっかり者で明るく、主人公も相手の気持ちを思いやる優しさを持っていた。しかしその暗い血故、最初の子供は堕ろさざるを得なかった。

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著者プロフィール

三浦哲郎

一九三一(昭和六)年、青森県八戸市生まれ。早稲田大学文学部仏文科を卒業。在学中より井伏鱒二に師事した。五五年「十五歳の周囲」で新潮同人雑誌賞、六一年「忍ぶ川」で芥川賞、七六年『拳銃と十五の短篇』で野間文芸賞、八三年『少年讃歌』で日本文学大賞、八五年『白夜を旅する人々』で大佛次郎賞、九一年『みちづれ』で伊藤整文学賞を受賞。短篇小説の名手として知られ、優れた短篇作品に贈られる川端康成文学賞を、九〇年に「じねんじょ」、九五年に「みのむし」で二度にわたり受賞。他の著作に『ユタとふしぎな仲間たち』『おろおろ草紙』『三浦哲郎自選全集』(全十三巻)などがある。二〇一〇(平成二十二)年死去。

「2020年 『盆土産と十七の短篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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