- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101171012
感想・レビュー・書評
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ずっと気になっていた筒井さん作品。
図書館で手に取った時、あまりにも年季の入った様相にびっくりしたけど、これまでにどれだけの人に読まれてきた本なのかと思うとそれだけでワクワクした。
かなり昔の作品になるけど、時代を感じさせずどの話も面白く人間の恐ろしさや浅ましさが赤裸々に描かれている。
人の心を読めるテレパシーだなんて羨ましい能力だと思うけど、知りたくもない他人の心を覗けば不用意に傷つけられたりすることもある。こんなにも人の狂気にばかり触れていたら、自分まで狂ってしまいそうだなと思うけど、冷静でちょっぴり残酷さもある七瀬のしたたかな振る舞いが良い。
続編も出ているので合わせて読んでみたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・テレパシーを持つ18歳の女性が、8つの家族をお手伝いさんとして渡り歩くという設定が面白い。
・中学生の頃に読んで面白いと感じ、3部作全て読みました。
・約40年ぶりに再読しましたが、内容は全く覚えていませんでした。
・どの家族ももともと問題を抱えていて、主人公がお手伝いさんとしてその家庭に入るタイミングで表面化し、いろんな事件となるところに遭遇し関わる。
・今読んでみると、子どもには勧め難い内容もあるし、どの話もハッピーエンドではないため(勧善懲悪のようではありますが)大人にもあんまりお勧めしにくい。
・テレパスの女の子という設定は、爽やかな家族とは相性が悪いのかも。
・昔の作品なので、少し今とは常識が違うことを感じました。男尊女卑的なところ。
・亡くなる瞬間の人の意識を感応する2つのシーンは壮絶でした。
・誰もが遭遇しうる心の闇が描かれていて、ある意味面白かったです。
・登場人物の心の声が全て文字化されているので、普通は言動から心の中を推測しながら読みますが、それをしなくてもいいところも面白かったです。 -
七瀬シリーズは筒井作品の中でもトップクラスに好きです。
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表と裏の顔を他人に見透かされてたとしたら。
ぞっとするシチュレーションである。
登場する家族はそれぞれ問題を抱えているが、倫理に反すると建前では言ってしまえるが、ある程度想像に難くない範囲にあるとも言える。
それぞれ個人的な秘密をして抱えるべきものが七瀬の視点によって白日のもとに晒されているだけで、また七瀬の介入によって紛糾に陥るだけでこんな家族は身近な存在ではないだろうか。
テーマは現代に通ずるところが多分にある。仕事人間の定年、妄想嫉妬狂いの妻、完全を装う家族等々。人間の業がつぶさに描かれていて、著者の力量と他作品との振り幅に脱帽。 -
筒井康隆の作品はナンセンス加減で割と個人的な評価が分かれてしまう。
本作はとても面白い。
今でこそテレパシーモノに新鮮みはないが、作者のブラックなアイデアと表題通りの面白い構造でページが進んだ。
テレパシーを持つ人間から浮き彫りにされる人間の汚さ、誇張こそあれ真実味のある内容だった。 -
今までタイミングがなく、初筒井康隆。超能力ものとは言え、バレないように家事手伝いとして暮らすため、あまり派手な描写はないのが興味深い。他人の思っていることが流れてくる描写も、はっきり文章にはならず、断片的だったり分離していたり、上手いなと思った。平凡そうに見えても裏は下衆い人も多く描かれ、改めて人を信じられなくなりそう。
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生まれながら、人の心を読むことができてしまう七瀬さん、その能力をひた隠しながら、家政婦として働いている。雇われた家庭の悲喜交々を受け取ることになる。心が健全な家庭には雇われることはあまりない。人間の、できれば人に知られたくない心の動きが七瀬を通して詳らかになる。
続編もあるようだ。是非読んでみたい。 -
七瀬3部作。
高校生の時に読んで、忘れられない作品。
大人になって読んでもやっぱり面白かった。
こういうのは本当にすごい。