- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181752
感想・レビュー・書評
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ハドリアヌスの巻。ハドリアヌスというと、やはりテルマエ・ロマエの市村正親を思い浮かべてしまうので、最初の若者、青年の頃を読むと、こんな頃もあったんだ、などと思ってしまう。
ハドリアヌスはトライアヌスに続き、属州出身の皇帝。スペイン南部出身。トライアヌスも皇帝っぽかったが、ハドリアヌスも皇帝らしい、存在感、大きさを感じる。趣味、こだわりを強く持っているところは面白い。
しかし、「ローマ法大全」はすごい!故意の殺人、故意でない殺人、正当防衛による殺人と分けて、後二者を無罪の方向に踏み出したなんて、2000年前に既に”故意”に着目して責任要素としていたということか。科学技術は発展していなくても、国家システムとしては充分に進んでいたのだろうな。すごい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ハドリアヌスの巻。世界史の勉強では、防壁を作った人、という程度の認識しかなかったです。読んでみてわかったのは、ローマ帝国の各地を旅して各地で適切な対処をして回った人でした。まぁ、その中には防壁を作ったり防衛体制を強化したりといった仕事も多かったと思いますが、この時代にあの広大なローマ帝国の領地の各地を自分の目で見てきたってのは恐るべき精神力と体力だったろうと思います。
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ハドリアヌスの治世について。
統治するとはどういうことなのかが分かる一冊。 -
ローマの最盛期。ハドリアヌス帝の時代。
平和なローマを理想的に統治した皇帝。 -
ハドリアヌス帝治世の巻。トライアヌスの政治を引き継ぎつつ、ハドリアヌス自身の性格や趣向をその統治に反映させている。帝国内の視察巡業や、ギリシア文化への傾倒、皇帝としての責務など多岐にわたり同時並行で行うあたりはさすが賢帝と呼ばれるだけある。
ハドリアヌスの統治モットー「寛容」「融和」「公正」「平和」がまさにこの治世にしっくりきている。 -
読書日:2013年1月8日-9日
title in Italiana:SAECULUM AUREUM.
今回はTraianus Hadrianusの話です。
ヤマザキマリ著『テルマエ ロマエ』に登場するホモと噂のHadrianus帝の話です。
帝国を隈なく巡行する姿はJulius Caesarを思い出します。
彼は戦時、Hadrianus帝は平時という違いはありますが、
こんなに広範囲に諸都市を周ったのは平時では彼が初めてではないでしょうか。
時間の無駄は私も嫌いますが、こうも次々と同時進行で業務が出来るなんて的確な判断だけでは中々出来ない事だと感じました。
Greeceでの6カ月滞在時は少年時代からの想いが一気に解き放たれた感があって爽快でした。
少年時代にGreece文化に傾倒して代父二人から故郷に連れ戻されたり、
時間がないと言って女性の言葉を無視したら
「あなたには統治する資格がない!!!」と叫ばれて耳を傾ける等、久々に笑いました。
真円を描いたPantheon建造は現代のSoccer場や野球場等に活かされ、
二千年以上前の建造物が今も建築に影響を与えている事に驚きました。 -
●内容
・「ローマ5賢帝」の3人目、ハドリアヌス帝の評伝。先代のトライアヌスに抜擢され、一貴族から皇帝になった前半生を描く。
●コメント
ハドリアヌスの描写を通じて語られる、著者のリーダー観に得るものが多い。個人の美徳とリーダーの美徳との違い。指導者の徳について。
(引用)
・君主ないしリーダーのモラルと、個人のモラルは違うのである。一私人ならば、誠実、正直、実直、清廉は、立派に徳で有り得る。だが、公人となると、しかも公人のうちでも最高責任者となると、これらの徳を守りきれるとは限らない。ラテン語では同じく「ヴィルトゥス」(virtus)だが、私人ならば「徳」と訳せても、公人となると「器量」と訳したのでは十分でない場合が少なくなく、しばしば「力量」と訳さざるを得なくなるのである。
・献身とは辞書によれば、自身の身命を差し出すこと、自分を犠牲に供すること、となるが、死んで生きること、でもあると私は思っている。そして、そのようなことまでしてくれる人を持ったということ自体が、指導者の「徳(ヴィルトゥス)」であると思うのだ。 -
腐女子ならローマ史を知らなくても、この名を知らぬ者はいない
と思っているハドリアヌス帝の登場である。実際、腐女子でも
知らぬ人は多いんだけど。笑。
10歳で父を亡くしたハドリアヌスの後見人になったのは、後に
皇帝となったトライアヌス(先帝)とアティアヌス(後の近衛軍
団長官)。
基礎教育を受けさせようと首都ローマに呼び寄せれば、エリート
階級には不可欠だったギリシア語を学ぶのは勿論なのだが
ギリシア文化全般に傾倒して行く。
ローマの男ならば質実剛健でなければならぬ。ふたりの後見人
にとっては、ギリシア文化=軟弱なのだ。「このままではネロに
なってしまうっ!」と思ったかどうかは知らぬが、14歳になった
ハドリアヌスは故郷へ送り返される。
これで安心と思いきや。今度は狩に熱中して、やはり後見人
ふたりを心配させる。極端から極端に走ってるなぁ。
このハドリアヌスの皇帝就任には疑惑が残っている。先帝
トライアヌスが死の床で後継指名をしたのだが、それは本当に
皇帝自身が口にしたことなのか。著者の指摘を読むと、怪しさ
いっぱいの指名なんだよなぁ。
さて、笑い話。ある日、皇帝となったハドリアヌスは公衆浴場へ
足を向ける。そこで目にしたのは以前、自分の下で百人隊長を
務めた老人が、石鹸だらけの体を浴場の壁に擦り付けていた
姿だった。
話を聞くと、垢すりを雇う金がないとのこと。皇帝は以前の部下に
費用付きで垢すり専用の奴隷をふたりも贈った。
次の日、皇帝が再び浴場に出向くと背中を擦り付ける老人たちで、
壁が埋まっていた。
時代や国が変わろうと、人間のこういうところって変わらないんだなぁと、
妙に納得しながら笑ってしまった。 -
11/4/4
5賢帝3人目、ハドリアヌス帝。パルティアからの撤退、トライアヌス帝の重臣の粛清、ローマ全土への旅行、ローマ法大全。パルティアからの撤退を決断したのはさすが。ユルスナルの文章が素晴らしすぎる。是非、『ハドリアヌス帝の回想』を読んでみたい。